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初めて好意を持たれたときの思い出

好意を持たれて感じた居心地の悪さ

中学時代は、初めて人を好きになっただけでなく、初めて人から好意を持たれたこともあった。
その男子、Bくん(仮名)は、直接好きだと言ってはくれなかったが、私を好きだと公言していることは知っていたし、第三者から「両想いでしょ?付き合わないの?」とからかわれることもあったし、彼を見ていて
「私を好きなんだな」
と感じる言動はたびたびあった。
私がかわいかったとか、モテポイントがあったかというと、そうではない。当初、Bくんは私に強烈な敵意を持っていた。私と彼は成績が拮抗しており、彼は私に負けることを非常に悔しがっていた。あそこまで敵意を持たれたことはあとにも先にも一度もない。
人間は不思議なもので、強烈に意識しすぎると、相手のことが好きなような気がするものである。Bくんは私への意識を「恋」と錯覚してしまったのであろう。誠に気の毒な話である。高校生以降であれば起こらない錯覚だと思うが、いわゆる中2病真っ只中の年齢だもんね、そういうこともあります。

Bくんの好意に対して私がどう感じていたかというと、非常に居心地が悪かった。Bくんは見た目は普通かそれ以上だが、背が高く威圧感があり、性格は俺様であった。
私は同じクラスのAくんのことが好きだったのだが、このAくんは細身かつおとなしめな性格であった。高校・大学以降に仲良くなる男友達も、みんな威圧感のないフランクかつ紳士的な人ばかりであった。
つまり、Bくんのようなタイプとは合わないのだ。この人から好意を持たれることをかなり負担に感じていた。好意を持たれた末に、何をされるかという恐怖もあったかもしれない(自意識過剰・苦笑)。

3年生にあがるときにクラス替えがあり、Bくんとは違うクラスになった。このクラスのカースト上位は、おとなしくて真面目、ゲームの話をしているような優しい男子たちであった。Bくんのように私と成績が拮抗している男子もいたが、とてもいいヤツだった。2年生のクラスでBくんの子分だった男子もいたけど、彼らもうまく優しい男子に溶け込んでいた。
このクラス、女子同士はいろいろあったが、男子は本当に優しいので、居心地は良かった。


Bくんとのその後

成績が拮抗していたくらいなので、Bくんとは、私立、公立とも、同じ高校を受験した。私立高校の受験から帰るとき、駅のホームでBくんと一緒になった。私は咄嗟に「ヤバい」と思い、電車を1本見送ることにした。同じ電車に乗りたくなかったのである。電車に乗り込むとき、Bくんが私を振り返ったが、私は目をそらし、その電車には乗らなかった。この私立高校には、2人とも合格した。
本命は公立であったが、ここには私が合格し、Bくんは不合格であった。彼の不合格はみんなが驚くくらい意外なことだった。
その後、彼とは大学受験のために一浪したときの予備校で再会するが、クラスは違うし、話す機会はなかった。なお、当時の彼からは、私に対する好意を感じることは一切なかった。もう19歳だったので感情をあからさまにしない術も身に着いている年齢ではあるが、それを差し引いても、もう私に興味はなかったと思う。彼も高校で新たな出会いがあり、私がタイプではないと気づいたのであろう。
その後、同窓会ではたまに顔を合わせるが、酒の勢いで誰にでもからむ私が絶対にからまないようにしている唯一の人物である。なんか気まずいし、やっぱり苦手なんだよね(爆)。あと、飲み会での態度と発言がいまいち不愉快で、相性が悪いと言わざるを得ない。

もしBくんと同じ高校に行ったら告白されたり、付き合っていたかというと、それはなかったはずだ。新たな出会いがあれば、彼は私への興味を早々に失っただろう。
どんなタラレバを考えても、彼とは縁がなかったように思う。
いま彼は故郷で家業を継いでいるが、それはおそらく高校進学時には決めていたことであり、その時点で
「絶対に地元を出ていくぞ、東京さ出るぞ」
と決めていた私とは、交わらない人生であろう。
この記事で書いた初恋の人のAくんと違い、「ああすべきだったな」という後悔もない。私立高校の受験の帰り道、同じ電車に乗らなかったことを「あの避け方は良くなかったなー」とも思わない。

ただ、居心地の悪さを感じつつも、14~15歳の私が、少しだけときめいたことがあったのも否定はしない。そういうお年頃だったのだから、それは仕方ないことだった。

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