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二十そこらの若造がいまさらG線上の魔王をプレイしての感想

「G線上の魔王」という作品をご存知であろうか?
この記事を見ている多くは知っていてクリックしたものだと思うが説明させてほしい。
また、本記事は、エロゲーをプレイしてこなかった未プレイ者への布教という側面もある。


G線上の魔王とは

2008年に発売されたエロゲー(アダルトゲーム)であり、優れたエロゲー作品に送られる賞である美少女ゲームアワード(現:萌えゲーアワード)2008年度の大賞を受賞した作品である。シナリオライターは、根強い人気のあるエロゲー「車輪の国、向日葵の少女」や漫画「無能なナナ」の原作者である るーすぼーい氏が手掛けている。

Fanzaの「G線上の魔王」から

浅井京介は一介の学園生。友人たちや妹とバカをやりながら昼を「学生」らしく平穏に過ごす彼は、夜は義父の片腕として辣腕を振るう「ビジネスマン」の顔もあった。そんなある日、学園に時期外れの転校生、宇佐美ハルがやって来る。奇妙な言動で何となく京介たちとつるみつつ、時折鋭い知性を覗かせるハル。そんな彼女をわずかに警戒しはじめた京介に向かって、ハルは彼の裏の顔を見透かすように次の問いを発した。

“魔王”、知らないか?

後日、仕事をこなし続ける京介に一通の奇妙なメールが届く。とある古典を模したと思しき短い文面の件名は「The Devil」。そして街の闇に浮かび上がり、義父の「ビジネス」を妨害し始めた“魔王”らしき存在。義父の命令を受けて“魔王”の炙り出しを始めた京介はハルと共に、彼らを挑発するように引き起こされる事件を、そしてその影に蠢く“魔王”を追うこととなった。

wikipedia参照

主人公の京介とヒロインである宇佐美ハルが魔王と呼ばれる知能犯が起こす数々の事件を頭脳や心理戦を駆使して解決しようとする推理小説のような作品である。
イメージとしてアニメ「コードギアス」の頭脳戦を思い浮かべてほしい。起こる事件が我々が知る犯罪事件になったような感じである。しかし、それは規模が縮小して派手さがないかと言われればそうではない……

作品との出会い

いわゆる、Z世代と呼ばれる私がなぜこの作品にたどり着いたのかの経緯を話していきたい。とは言ってもそんな大層な経緯はないのだが……

きっかけはとある動画であったと思う。その動画の内容は、「車輪の国、向日葵の少女」が面白いと絶賛するものであった。

その時期、アニメ「シュタインズ・ゲート」を視聴して、虜になった私はもっと作品について知りたいと思い、インターネットを駆使して調べた。その際、ゲームの1ジャンルにノベルゲームというカテゴリがあることを知ることとなる。
そして、当たり前であるがシュタゲの原作はノベルゲームであること、シュタゲの続編「シュタインズゲート0」が発売されていたことを把握する。その当時はアニメ化していないことから早速PS4版を購入し、プレイ開始。
文章と絵、音楽が共鳴して私たちプレイヤーに面白さを何倍にも増幅させ食らわしてくる。普段の読書とは違った体験に度肝を抜かれ、ものの数分でノベルゲームの奥深さにやられる。以降は名作だと言われるゲームをちょこちょこプレイしていくことになる。
購入に際して、セールをよく開催して安くゲームが手に入るFanzaやDLsiteを利用することになるのだが、そこで「車輪の国、向日葵の少女」のシナリオライターが「G線上の魔王」も手掛けていることを思い出して(セール対象であったことも背中を押して)買った次第である。

私のノベルゲーム遍歴

私がプレイしたノベルゲームを順に列挙してみた

シュタインズゲート0→さよならを教えて→planetarian ~ちいさなほしのゆめ→マブラヴ→マブラヴ オルタネイティヴ→ぬきたし→ぬきたし2→終のステラ→Summer Pockets REFLECTION BLUE→G線上の魔王(現在)

感想

本作品は次々と手の込んだ事件が起こる。
誘拐事件や殺害予告、爆破事件、はたまたテロなど大小さまざまな犯罪が繰り広げられ、それらはすべて「魔王」と呼ばれる者の策謀が張り巡らされている。主人公たちは現場や証言を基に躍起になって解決にいそしむが、「魔王」(犯罪者)によってすべて空回り、手のひらで踊らされる。

事件の糸口がつかんだ、あと一歩で「魔王」を捕まえられると先を読んだ行動をしても、相手は先の先を読んで逃げられる。あまつさえ、その思考や行動の浅はかさを嘲笑われる始末。

事件のどれもこれも、鮮やかな犯行でプレイ中のプレイヤー(私)は大いに惑わされる。今度こそ主人公サイドが事件や「魔王」の身元を解き明かせるのではないかと思われる場面があるのだが、オセロのように簡単に覆る。
しかも、一連の犯行は全力ではなく遊びのつもりだったという。

こうも相手をおちょくり、警察にばれない、または警察にばらせない状況にもっていって犯罪を行うという頭の切れるキャラクターを見たことがない。プレイ中、彼の手口の完璧さから一種の崇拝者となっていただろう。

しかし、主人公サイドも負けていない。宇佐美ハル(ヒロイン)は、何とか犯人を捕まえるべくちょっとした現場の変化や違和感から事件の全体像を把握して、相手の次の一手を推測する。それはかなり犯人に肉薄することになる。
事実、「魔王」の共犯者の犯行を未然に防いでいる。

ヒロインである宇佐美ハル

次々と事件に関わるデータが開示されていくが、それらは所詮、データの束であって分析処理するなどして一定の意味を付与しなければ使いようがない。宇佐美はそんなデータ群から事件解決の糸口となる情報に変換し、それを土台に推理や頭脳戦を仕掛ける。
圧倒的なまでの知能強者同士の戦いに酔いしれることになった。

本作品は所々でクラシック音楽が流れる。主人公の京介が大のクラシック好きで、タイトルをつける際にもじったであろうバッハの「G線上のアリア」やワーグナーの「ワルキューレの騎行」など数々の名曲が流れる。
私はクラシックに疎いので、曲の名前や真意が分からないのだが、ご存じの方がプレイすればさらに深みを増すと思われる。

この作品は、最後の最後まで気が抜けない。こんなもんかと油断したあなたに衝撃の一撃を複数くらわせることとなるだろう。
これまで書き記したこと以外にもまだまだ、多くの要素がこの作品を名作たら占めている。

プレイしたことない人、特にエロゲを触ったことのない、無縁だった方に
初めての作品としてぜひとも遊んでいただきたい。ストーリーに重きが置かれ、エロは最小限であるためプレイしやすい。
また、エロゲの持つポテンシャル、凄みや一つの作品に腰を据えて向き合うことで得られる満足感やプレイ中の興奮をぜひ体験してほしい。
そして、プレイ後に、本作品のキャッチコピー「命をかけた、純愛」の意味が痛いほど理解することとなるだろう。

「G線上の魔王」公式サイトより

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