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パンセクシャルの僕が好きな人と幸せになりたくてもがく話。③

パンセクシャルの僕が好きな人と幸せになりたくてもがく話。③

①はこちら。

ある日、僕はうすば君のいない所でゲームを基盤に、酷く傷付けられた。
それは傍からすれば大した事では無かったのかもしれないし、僕が大袈裟過ぎたのかもしれない。

るる君がその該当フォロワーを連れてきたんだけど、簡単に言うと尊厳を踏み躙られた。
この界隈にいて初めてだった事もあり、僕はそれなりに落ち込んだ。
もう野良とゲームはしたくないなあ、ぼんやり思う程度には。

「何でそんな考え方になるんですか?意味わかんない、はいはい頭カワイソーww」
「るるさんにはいつもお世話になってて~、あ、うみさんの話は聞いた事ないんですけど~wwるるさんに依存してる人ですよね?Twitterでよく見まぁす♡」

大分表現を和らげてこれである。
僕の中で展開するロジックを何度伝えても、彼女は聞き入れる気がないようだった。ただ僕を踏み躙りたかっただけなんだろう。
後に聞いた話では、るる君と仲良くなりたい人だったらしい。嫉妬故だったのかもしれない。

マウントを取られてるようにも感じたし、ただ僕をるる君の前で下げたいだけにも見えた。
るる君の親友は僕だし、そこはこれからも変わるつもりはないけれど。

るる君に伝える。
この人とはもう遊びたくない、野良ももう行く気はない。必要以上に気を遣わせたい訳じゃ無いけど、あの人の話題を僕の前では出さないでほしい。このゲームを嫌いになりたくないんだ。

るる君は理解できないようだった。考え方が違うひとつの個なんだから仕方ないんだろうけど、当時の落ち込んだ僕にはそれがまた結構なダメージになった。
別にるる君にその人と遊ぶな!とか言いたかったわけじゃない。
るる君に泣き付きたかっただけなのかもしれない。今となっては少し薄れた記憶なので、僕も覚えていなかったりする。

それでも、僕は明確に野良で遊ばなくなった。るる君に誘われても、うすば君に誘われても。るる君、うすば君、一度以上遊んだ方、のいる所にしか行かなくなった。
うすば君とるる君からすれば、いい年したおじさんが拗ねてるだけに見えただろう。

ある日、るる君は僕が仕事で遊べない日にうすば君を誘ってその女性と三人で遊んだようだった。
それに関しても別に制限するつもりも、出来るとも思ってない。僕の前でその話題を出さないでいてくれたらそれでいい。
けど、うすば君が、るる君がその女性の味方に付いたら嫌だな、…と。
僕は生まれ持ってのネガティブで、仕事しながらそんな事を考えていた。
るる君との友人関係が終わるなんて考えた事もないのに、それとこれとは違う話なんだよな。

終わったるる君は「すごく楽しかった!またうみ君も遊ぼう!」と言った。
けれど、その女性の名残を残してそういわれる事も悲しかった。どうしてかはわからない。

うすば君は翌日僕と遊ぶ予定があった。
そこで言われた言葉。
「昨日の女性からオフのお誘いあったんすよね」
「でも、俺このゲームに結構拘り強いじゃないすか。仲の良い人とかじゃないと一緒にやりたくないなって思ってて」
「断ったんすけど、うみ君にもそのお誘いってきてます?」

「僕その人の事ブロックしてるから…(震え声)」

「あー…やっぱり?何かふわっとるる君から聞いたんすよ。」
「うーん…そうだね、うん。別にるる君やうすば君があの人と遊ぶのは僕の言及するところじゃないしどうこう言ったりしないよ、安心して。気遣ってくれてありがとう。」

うすば君良い奴だなあ…。僕がここ最近執拗に野良を避けてたからきっと気にさせちゃったんだろうな。好きだなあ。噛み締めていたその時。

「いや、俺からしたらうみ君のが仲良いじゃないすか。そんなうみ君が嫌なら、別にその人と遊ぶ必要もないんで。まあ今後野良行って何かあったら俺が守りますよ。俺と基本動きましょ。」

………えっ?!
こ、この子今10以上年上(と思しき)おじさんに守るって言ったの…?!いや待ってその後基本一緒に動くって意味で言った!?情報量が多い!!
聞き間違いかと思ってもう一度。

「え、守ってくれんの…?僕自衛は出来るよ?自衛出来るからこそ今避けてるんだし、」
「あ、いや、俺が守れば自衛する必要もないじゃないすか。嫌な事ないようにします。」

聞き間違いじゃなかった……?!
この子、うすば君は自分の信念を曲げない子。こうと決めたらてこでも動かない子、でもあるんだ。それはここまでの付き合いで重々に理解していた。
これ、本気で口にしてんだうすば君。
じんわり、泣きそうになる。別に可哀想だと思われたかった訳でも、悲劇のヒロインを気取りたかった訳でもない。でも、うすば君が味方になってくれるのか。…それは、ちょっと虚勢が剥がれちゃうなあ。

うすば君からしたら大した事じゃ無いのかもしれないな。ただ、野良も含めて多人数で遊びたかっただけかもしれないな。それでも、今うすば君が言った「守る」はきっと、彼なりの本気なんだな。
落ち込んでた僕には充分過ぎる程の言葉が、僕の中に浸透していった。

「うわ、…滅茶苦茶沁みたよありがとう、野良も少しずつ行こうか。」
「うみ君が謝る事無いっすよ、るる君から聞いただけっすけど、俺はそう思うんで。」
「ただおじさんに言う言葉としてはどうだろつね!?wwwメンタル弱くてごめんやでぇ…」

思わせぶりな子だ。仲良くなる内に話してくれた事だけど、何度かゲイの方に言い寄られた事があるんだと。
その中の一人、一番直近の方が随分グイグイ迫った、らしいんだ。
柔らかい対応をする子なので、もしかしたら押したらイけると思われてしまったのかな。
その方が歩みを進めすぎたのが悪い。そんな事をしたらいけない。それはゲイや、パンセクシャルじゃなくとも当たり前の事だ。相手の合意が得られないのに好意を押し付ける事はストーカーなんだよ。
…うすば君の態度が呼び寄せたのもあるかも、しれないけど。

それでも僕は、そのお相手さんの気持ちが嫌という程理解出来てしまった。期待したくなるような、うすば君の言葉たちに。
仲良く、なり過ぎたのかもなあ。

好きで、愛しくて、少し泣いた。言葉では笑って茶化して返したけど、夜寝ながら何度も反芻した。
僕はちょっと不眠の気があるんだけど、いつもとは違う眠れなさだったような。気がする。

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