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[書評] 神風怪盗ジャンヌ

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・エッセイスト として、
自らを定義しています。

私の読書は専ら Kindle なので、
しばしば催されるセールは見逃せない。
先日はマンガ関連のセールがあったので
対象ラインナップを眺めていたら
とても懐かしい作品を見つけた。

少年時代に読んだときにはとてもハマったが、
不惑に近付きつつある今読んでも
あまり楽しめそうもないような気がする。

そんな思いがありながらも、
当時の感動に、そして
強く印象に残った「あの言葉」に
もう一度再開したい。
そんな思いから購入に至った
少女マンガである。


甘さと勢いと

「甘ったるい」
これが二十数年ぶりに
この作品を読み返した
嘘偽りない感想である。

それはそうだ、少女マンガ雑誌「りぼん」にて
連載されていた作品である。
惚れた腫れたに興味が湧いてくるような
多感な女子をメインターゲットにした
マンガだもの、ハードボイルドなはずもない。

初めて読んだ当時ですら甘々だと思ったが、
それから干支が2周もすれば
その甘さには歯が疼くに近い感覚すら覚える。

特に最終盤なんか、少年ジャンプでは
未来永劫お目にかかれなさそうなほどの
甘ったるい展開が繰り広げられる。
なるほど、「りぼん」のターゲット層には
ど真ん中ストライクな作品であろう。

それはさながら 昔アメリカで食べた
「どんだけ砂糖入っとんねん!?」
とツッコみたくなったお菓子のようだ。

それでもこの作者特有の疾走感溢れる展開と
端々に挿入されるコミカルなギャグのおかげで
苦もなく最後まで読み返すことができた。

そういえば読んでいた当時も、
恋愛描写以外にも この軽快なギャグも
ツボにハマったことを思い出す。
特にデフォルメされたキャラクターが愛らしい。

四半世紀近く印象に残る言葉

怪盗ジャンヌとなって世を騒がす
主人公・日下部まろん には
東大寺都(とうだいじ みやこ) という
同級生の親友がいる。

いい大人になった今更に
このマンガを手に取ったのは、
ずっと印象に残っていた
彼女のあるセリフに
また逢いたくなったからなのだ。

まろんを傷つける人は
誰であろうと許さないって
言ったでしょ?

日下部まろんを傷つける人は
たとえ東大寺都であっても
許さないのよ
あたし!

神風怪盗ジャンヌ
第27話 あのね、本当はね
より

「大切な人を傷付ける人は許さない」
それは特別凝ったセリフとは思わない。
傷付ける人は許さないだろうし、
傷付けようとする者からは守りたい。

ただ、その「許さない」対象に
「自分自身」も含むということに、
なぜだか当時の私は いたく感心した。

私は幼い頃から 虐待といっても
差し支えないような育てられ方をしたため、
自己肯定感がとても低い子どもだった。
だから、自分自身に対しては
叱咤や批判こそすれ
ポジティブな感情を抱くことは
ほとんどなかった。

一番最初は
「いつか自分もこのセリフを言えるほど
 愛する人に出逢いたいな」
と思春期にありがちなことを考えたものだが、
何度か反芻するうちに いつしか
「たとえ自分自身であろうが、
 自分のことを傷付けるような者は
 許さない」

と解釈を拡大して捉えるようになった。
その当時、まだ自分のことを「大切」と
考えていなかったのにもかかわらず、である。

だから 必要以上に
自分を傷付けるようなことを
考えてしまうときにも、
このセリフを思い出して踏み止まることが
できるようになった。

このマンガの
このセリフに出逢っていなければ、
私はもっと自分に辛く厳しく冷たく
当たってきただろう。

仮にその世界線を辿ったとき、
私はこの年齢まで生きて来られたであろうか。
残念ながら、3周目の生まれ干支を
迎えられていた自信はない。

その意味では、私が考えていた以上に
私の人生を支えてくれた作品であり
セリフであったといっても決して過言ではない。

まとめ

大人になった今、初めて読んだとしたら
「THE 少女マンガってカンジだね」
程度の感想で終わってしまうかもしれない。

だが 人との出会いに
タイミングがあるように、
本との出会いにも
タイミングというものがある。

少年時代に出会ったからこそ、
私にとっては心の支えとなる言葉をくれた
かけがえのない作品なのだ。

ちなみに子どもの頃に私が読んでいた雑誌は
コミックボンボンと週刊少年マガジンだった。
このマンガを貸してくれた妹には、
この場を借りて感謝を申し上げたい。

こんな人にオススメ!

・少女マンガが好きな人
・自己肯定感が低い人
・特に小学校高学年くらいの少年少女

こんな人には合わないかも…

・(典型的な)少女マンガが苦手な人

お読みいただき、ありがとうございました。

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