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アオキスーパーがMBOを公表 ー 直近ではPBR1倍割れの銘柄ですが・・・・


今年もMBOが増えそうですね

数日前の日経新聞にも記事がありましたが、愛知地盤の食品スーパー中堅のアオキスーパー(9977)がMBOを公表しました。MBOは昨年に続き、本年も増えそうですね。
上場していると間接費の負担が重く(決算、IR関連の人件費(いわゆるSGAコスト)が大きいですね)、またアクティビストに狙われた日には、弁護士などの専門業者を雇うコストも発生するので、上場の意義の乏しい企業は今年も上場廃止が増えていくと思います。
プレスリリースは次のとおりです。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00087/72100c8a/37a2/4b52/9fb0/f64d4b8a43a4/140120240105511311.pdf

1月5日のアオキスーパーの株価終値は2,640円で、株探ではPBRは0.7倍となっており、PBR1倍割れ銘柄ですね。最近、PBR1倍割れ企業のMBOの際のMBO価格がクローズアップされています。

市場価格にプレミアムを付けても、その価格ですら依然としてPBR1倍割れであり、割安なまま市場撤退するのは何事であるか!とか、直近に購入した株主は一定満足しても、過去に高値で株式を購入した株主の利益は考えていないのか!といったのが問題とされる理由です。

MBO価格の妥当性のざっくりとした分析

そこで、今回のアオキスーパーのMBO価格もそういう観点から不満が出るものなのか、ざっくりレベルで分析してみたいと思います。

アオキスーパーのMBO価格は、普通株式1株につき、金3,800円となっています。この3,800円の価格でPBRをざっくりベースで計算したいと思います。数値は直近の同社の24年2月期の3Q決算短信の数値から拾っています。

純資産:21,574百万円
発行済株式数:5,674,105株(=期末発行済株式数-期末自己株式数)
1株当たり純資産:3,802円

これをベースにPBR(=株価(3,800円)÷1株当たり純資産)を計算すると0.99倍ですね。3,800円のMBO価格は、1月5日の株価から44%のプレミアムですが、PBRで見るとおよそ1倍ということです。PBR1倍は最低のラインですから、1倍ジャストで許されるかというとそれは違うのですが、最低ラインにはなんとか到達しているといったところでしょうか。

次にアオキスーパーの過去の株価との比較ではどうでしょうか?
2021年1月に3,590円を付けていますが、これが最高株価のようですね。過去の株価との比較においては、3,800円について株主からの大きな不満は出なさそうな感じですね。
結果としては、MBO価格の3,800円は過去最高株価を上回り、直近株価からも大きく上回る価格であるので株主からは不満が出る声は少なそうな感じですね。
けど、MBO銘柄は投資家にとって本当に美味しいですね。MBO実施は完全にインサイダー情報なので、事前に情報は分からないのですが、MBOしそうなPBR1倍割れ銘柄を拾っておくのもありかも知れません。

(ご参考)過去のMBOに関するnote記事を再掲します

過去にnoteでMBOに関する記事を2度ほど掲載していましたので、ご参考までに再掲します。ご関心のある方はお読み頂ければ幸いです。

①MOBの際に個人投資家が見るべき視点を簡単に書いています

②大正製薬のMBO価格に投資顧問会社が意見表明をしたときの記事です