マガジンのカバー画像

大学で、なぜか能楽部に入った話。

7
文芸部に入るはずが、なぜか能楽部というディープな世界に入ってしまった話。思い出しエッセイです。
運営しているクリエイター

記事一覧

鵜飼の仕舞で鵜ノ段です、と言われても。/大学で、能楽部に入った話。(06)【エッセイ…

~これまでのあらすじ(超手短に)~ 文芸部に入るつもりが、たまたまいた能楽部の見学に行く…

Bran-Co渡辺
2年前
5

最初のカマエで、挫折しそうなんだが。/大学で、能楽部に入った話。(05)【エッセイ:…

「まずは、カマエから!」 能の師匠らしき男性は、舞台の真ん中で意気揚々と告げた。 舞台と…

Bran-Co渡辺
2年前
5

いや、見学初日→即稽古とか聞いてないんですが。/大学で、能楽部に入った話。(04)【…

「座布団! 座布団!」 「どうぞどうぞ!」 「こちらへ!」 ついさっき『予想外の展開!!!…

Bran-Co渡辺
2年前
6

稽古場は、まさかのプールサイド。/大学で、能楽部に入った話。(03)【エッセイ:あの…

「口で言うより、見た方が早いと思う」 出会ったとき(→前々回)の、アンニュイな雰囲気はど…

Bran-Co渡辺
2年前
2

「喜んでくれるかな」が・・・/大学で、能楽部に入った話。(02)【エッセイ:あの日…

「能・・・」 『能』と書かれた看板を手に持つメガネの男子学生と、 「・・・はい」 彼に、…

Bran-Co渡辺
2年前
4

おかしい。文芸部に入るはずが・・・/大学で、能楽部に入った話。(01)【エッセイ:…

(よし、帰ろう) ゴールデンウィークに突入する直前の金曜日、私はぐるりと生協(*)内を見…

Bran-Co渡辺
3年前
5

大学で、なぜか能楽部に入った話。(序)/あの日、私と京都は。その3

それは、まだ―― まだ、百万遍に、立て看板(通称タテカン)が遠慮なしにずらずら並んでいた頃で。 まだ、取り壊し前の大学闘争時代の建物が、かろうじて残っていた頃で。 まだ、4月に格安コピーで印刷した大量のビラが、大講義室の机に地層をつくる頃で―― ――ただ、手書きだった履修登録が、パソコンによる登録に変わっていく頃で。 それまで一切関知されなかった出席が、じわじわ取られるようになる頃で。 タテカンとセットで、なくてはならない石垣が、取り壊されるとかいう話が出る頃で―