見出し画像

生活行為向上マネジメント(MTDLP)


MTDLP(Management Tool for Daily Life Performance)開発の経緯

生活行為向上マネジメントは作業療法士の1つの臨床思考過程を説明したものであり、本人にとって「やりたい」と思っている生活行為に焦点を当てたマネジメントツールと言われています。


図1.生活行為向上マネジメントのシンボルマーク(引用:日本作業療法士協会)

何故、このようなツールを協会が作成されたのか...それは、今後更なる高齢社会になることが予測されますが、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように地域包括ケアシステムが求められています。

活動と参加、自立支援の具体的アプローチとして、日本作業療法士協会では2008年より、「高齢者の持てる能力を引き出す地域包括支援のあり方研究事業」老人保健事業推進費等補助金に取り組んでいます。

6年間の継続的事業受託により、作業療法の基本的な枠組みを分かりやすくす示すとともに、「作業している人は元気で健康である」という理念を具体的に国に提案する方策として生活行為向上マネジメント(MTDLP)は開発されました。

また私の個人的な意見としては、臨床現場では作業療法士の立ち位置が分からないことが多々あると思います。特に新人セラピストは理学療法士、言語聴覚士との違いを導き出すことに苦労を要すると思います。

私もそうでした...更に患者、家族からは「作業療法士って何ですか?」「なんで作業療法士になろうと思ったんですか?」と聞かれた時に困ることはないでしょうか?私は何度も聞かれて作業療法士の意味を考えていくことで徐々に答えられるようになったんですが...。

作業療法士自身が分からなければ、他の方に理解できるはずもないと思います。また、この状態が続き飽和状態となれば作業療法士自体が消滅していく可能性が示唆されたのではないかとも思われました。

生活行為とは?

生活行為とは「個人の活動として行う排泄する行為、入浴する行為、調理をする行為、買い物をする行為、趣味活動をする行為」。「人が生きていく上で営まれる生活全般の行為のこと。生活全般の行為とは、セルフケアを維持していくための日常生活活動(ADL)の他、手段的日常生活活動( IADL)、仕事や趣味、余暇活動などの行為全てを含む」。と言われています。

通常の場合、作業療法士は「作業」という言葉を選択するが、一般の方には伝わり難いため、一般の方でも理解しやすいようにあえて「生活行為」という言葉を選択している。

生活行為を分類すると多岐に渡ります。よく使用しているADL、IADLの他には

  • 生産的生活行為:賃金を伴う仕事、畑など

  • 余暇的生活行為:趣味、読書、パソコン、写真、お花、歌、散歩、スポーツ、旅行など

  • 社会参加活動:高齢者クラブ、町内会、お参り、ボランティアなど

24時間365日のクライアントの生活行為を確認していくと様々な生活行為が存在する。また、生活行為向上マネジメントの実践ではクライアントの意思や思いを理解することが重要とされます。

重要とされる理由としては、意思・思い=「やりたい」と思っている生活行為を目標に取り組むことが日々の作業習慣化から新たな生活行為を動かし、経験や達成感を伴って習慣化と広がりを生む可能性を持っています。

プロセスとシート活用

MTDLPを使用するには決められたシートをプロセスに沿って使用します。

図2.生活行為向上マネジメントのプロセス(引用:日本作業療法士協会)

7段階のプロセスで構成され、3つの基本ツール(生活行為聞き取りシート、生活行為向上マネジメントシート、生活行為申し送り表)を使用します。

MTDLP研修

MTDLPは各々の都道府県で研修会が施行されています。また、都道府県により規則が異なると思いますが概ねは参加資格として日本作業療法士協会員であり、都道府県作業療法士会員である方が対象となると思います。

現在は、COVIDの影響によりWeb開催となっている場所が殆どだと思われます。

研修の流れ:

  1. MTDLP基礎研修

  2. MTDLP実践者研修(発表者・聴講者となりグループワークスタイルとなるため症例報告をする場合があります。発表者は主催者側が選択する流れになると思います。)

研修時間としては、場所により異なると思いますが私の県では

  1. MTDLP基礎研修:9:00−17:30

  2. MTDLP実践者研修:19:00−20:30

となっています。

日本作業療法士協会も推進しているため、興味がある方は是非受講してみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?