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DASH(Q-DASH)、HAND20


概要

整形外科に携わっているOTとして、対象者のADL、IADLの評価をしつつ、ニーズを聴取し対象者の求めるUseful handへ導くことが重要と考えられます。
その際に使用される評価方法として情報収集がある。情報収集のパターンとしては3種類あります。

  1. 非構成的質問

  2. 半構成的質問

  3. 患者立脚型質問紙

1.非構成的質問
面接に相当します。
前提として、面接を行う前には機能評価での数値を元に予測される対象者の困難となり得る可能性がある作業についても同時に質問することが重要になると考えます。また、面接の中で対象者とのラポール形成を構築することで更なる情報が引き出せる可能性があると思われるのでその点にも注意しつつ私は行っています。

2.半構成的質問
言葉の通りである程度、質問事項などを固定はしているものの完全には固定していない形式です。
評価方法としては2種類あります。
①カナダ作業遂行測定:COPM(Canadian Occupational Performance Measure)
②手の機能評価表 共通書式11:日常生活動作検査(日手会)

①COPM
作業遂行に対する対象者の認識の経時的変化を評価することを目的に作成された個別的尺度で、対象者が中心となる実践モデルです。評価自体はインタビュー形式で行われます。

②手の機能評価表 日常生活動作検査(日手会)
20個のADL項目について、4つの評価基準と問題部位、その原因について評価します。

3.患者立脚型質問紙
従来ハンドセラピィ領域では、治療成績を表現するアウトカムとして関節可動域測定や筋力評価、知覚評価など機能的な側面に焦点が当てられてきました。しかし、近年では対象者(患者)中心の医療を実践、提供すること、また運動器疾患の治療目標が対象者(患者)の生活改善であることから、色々な患者立脚型評価が開発されています。
患者立脚型評価とは、対象者(患者)自身で評価することです。

①DASH-JSSH
②Q-DASH
③HAND-20

④PRWE-JSSH(Patient Rated Wrist Evalution)
⑤SF-36
⑥CTSI
⑦MHQ
⑧FIHOA

今回題材にもあるように整形疾患の対象者に頻繁に使用されるものとしてDASH、Q-DASH、HAND20があるのでその3つについて詳しく説明させてもらいます。

DASH、HAND20


①DASH-JSSH
上肢の運動器に障害を持つ対象者の能力低下を自己評価します。
内容:機能障害・症状(Disability/symptom) 30問(23問/7問)
    スポーツ・芸術(Sports/music) 4問、仕事(Work) 4問

使用方法:検査1週間前の状態として最も適している項目に○をつけます。また、実際に行なっていない動作もあるため、その際は行った際にどのようになるかを想像しながら回答してもらいます。また、左右や障害の部位に関係なく、その動作自体が可能であったかどうかを記載してもらいます。

採点方法:各項目の合計を回答項目数で割り、その平均値から1を引き25をかけて100点満点で換算します。機能障害・症状では3項目以上、スポーツ・芸術と仕事では項目全てに回答がない場合は無効になります。0点ほど障害が軽く、100点に近づくほど障害が重度になります。


引用:一般社団法人 日本手外科学会/DASH

②Q-DASH
Q-DASHはDASH-JSSHを簡略化したものになります。
そのため、DASH-JSSHでは全ての項目数の合計が30項目であったのに対し、Q-DASHでは11項目となります。
項目数が減ってるんだったらQ-DASHだけでいいんじゃない?って思いますよね。
Q-DASHはその名の通り時間が無い時、対象者(患者)の負担を軽減するためにも使用しやすいと思います。しかし、点数のみではなく項目内容から何ができていないのか、困難になっているのかを考察する場合には項目数が少ないため使用しにくいのです。その場合はDASH-JSSHを利用します。
このようにそれぞれの用途によって使い分けることが重要だと考えられます。


引用:一般社団法人 日本手外科学会/Q-DASH

③HAND20
NPO法人ハンドフロンティアが作成している評価表です。
DASHは国際的に用いられる用紙のため、それを日本用に落とし込むためにイラストも入れて作成したのがHAND20となります。
20項目の上肢機能を評価するADLから構成され、各項目ごとにイラストと短文が挿入されています。 
DASHと比較するとイラストも挿入されているため分かりやすく高齢者での回答欠損例が少ない。
また、DASHと同等の高い信頼性、妥当性が得られています。

計算方法:加算点数割る、回答数かける10で合計点数が算出されます。100点満点です。


引用:一般社団法人 日本手外科学会/HAND20


引用:一般社団法人 日本手外科学会/HAND20

注意点

  1. 1人で書ける環境で記述する(質問があれば対応。他者がいると集中できずエラー処理があるため)

  2. エラーがないか受け取った際に確認する(書き損じなどが生じるため)

  3. DASHとHAND20では内容が少し異なる
    (DASHは動作自体に支障がどれだけあったかを回答する。HAND20は内容にどちらの手を使用した時の状態かの記載がある)

  4. 点数計算を間違えないようにする(加算時、合計点を計算する場合にエラーが生じるため)

  5. 点数が高い、低いでどう捉えるか理解する
    (DASH、HAND20共に点数が高値の場合に困難さを生じていることを覚えておく)

  6. 点数以外だけではなく内容を確認する(点数だけではなく内容が重要なため念頭におく)

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