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彼は色盲の品証マン

品質保証部のその男はどこかで見たAV男優みたいな顔をしている。ルパン3世のような顔つきと髪型。
自分は高スペックな仕事をして不必要なほど深掘りする。オレが評価されるのは当たり前だみたいな顔。そこまでいらんやろというところまでお金かけて分析する。
分析と言っても研究所とか、サンプルを持って行って一件数万円ほどで依頼するだけ簡単やん。で、アウトプットは何なんってところまでくると、興味無くなったのか匙を投げるのである。
そんな品証マンなんだが彼には身体的ディスアドバンテージがある。赤と緑の区別がつかない色盲なのだ。品証マンとしてはあってはならない体質なのである。誤解の無いように言っとくが、色盲の人全体を差別している訳ではないのでお間違い無いように。

彼は、持ち前の深掘り体質を買われて中国の子会社の工場勤務を命ぜられた。中国品質がダメダメなのと誤品欠品。大規模な表面処理不良が発生したからだ。
だいたい上海近郊は、いや中国では、メッキはパチモンで、メッキ風の表面処理である。まるでミリン風味みたいな。
彼は休みなしに協力会社を廻って必死に解決しようとしてもう少しというところで悪い癖。匙を投げてしまった。あとは知らんって。

そうこうしてる間に役員に目をつけられ、彼はなにをやってるのか?って、早々に上海から日本に戻され、元に戻すのだけではなく左遷みたいな物流部門に幽閉される。
いや、なんでこんな仕打ちをされるのか?って彼は悲しんでいた。わたしにとってはザマァなのだが。だって嫌いだから。

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