子どもの性的トラウマから社会へ

子どものトラウマ体験は、その後の発達に大きく影響する。成人になるまでにPTSDや複雑性PTSDになるだけでなく、摂食障害や境界性パーソナリティ障害、双極性障害、統合失調症、性同一性障害、うつ病、など、正直、何が起きてもおかしくない。そのくらい、子どものトラウマというのは公衆衛生上最大の問題なのだ。しかしながら子どものトラウマは、被害者が自覚的に言語化し、表現することは非常に難しく、さらには大人社会が隠蔽する可能性すらあるのが現状なのである。その点、子どもは遊びなどの表象レベルで破壊的表現などのトラウマ再演を行うことが多く支援者はそれを必ず見逃さず、今ここで、の支援を展開していく必要があるのだ。ここで、何かおかしいと感じながら、トラウマアプローチをしないということは、まさに職務放棄だと思うのだ。公認心理師ができて、アウトリーチ活動が重要視されたはずだ。トラウマ,特に性的虐待には,ある相反する特徴があることを私の経験と知識から見解する。それは,とても気持ちが悪い性的不快感と性的快感の併存である。まず断っておきたいのは,これは自然な反応であり,サバイバーに一切の非はないということ,性的虐待は圧倒的な迫害である。しかし,圧倒的な迫害であるのにかかわらず,このような性的快感を覚えることは,非常に矛盾に満ちており,罪悪感や恥辱感を味わうこともある。さらに,特に男性側によくあるが,これを逆手に取り,利用し,弄び,蹂躙する者がいるような社会が現実だ。さらに,この相反する性質に無自覚なまま,売春などの性的搾取に自ら再演し,進んでしまう者もいる。しかし,それはそのような環境に追いやった加害者が圧倒的に悪なのだ。また,このような性的虐待の性質が解離を促進しているようにも思うのだ。社会的文脈に移る。この再演は,性の市場経済化と意思決定の帰属の誤り,自己責任論によって維持されている。多くの人々の権利やイニシアティブを侵す,公衆衛生上の重要な課題であるはずなのにだ。まず私たちがすべきは性産業提供者が潜在的にも,顕在的にも,彼らの自由意志であるかのような強制という根本的問題を覆す必要がある。

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