誰かのためじゃない、君のために僕は生きるんだ
昔から、曲がったことやインチキが大嫌いで、社会の不正を暴くためにジャーナリストになったオレ。
しかし、ペンは剣よりも強し、も今は昔。
結局、多勢に無勢でズタボロに敗北してしまったオレは、気づいたら、闇落ちして、悪の手下になっていた。
そんなときにヤツはふらっと現れた。
そして、オレが忘れかけていた良心を事もなげに再び甦らせてくれた。
だから、二つ返事で寝返って、ヤツと一緒に、昔の仲間たちを華麗に撃退した後、思わず下を向いたとき、ふと隣のアイツを見ると
ヤツもまたオレと同じようにうつむいていたんだ。
そのときだった。
ああ、コイツもおんなじだ
って思ったのは。
でも、そんな風に思ったのも束の間、ヤツはラスボスと戦った末に、あっという間に逝ってしまった。
というか、最初からヤツがそうするつもりだったこと、なんとなく気づいていた。
「ふん、また一人かよ」
とオレは悪態をついて、その場を後にした。
そして、性懲りも無くオレはまたひとりで戦っている。
けど、ひとりだけど、ひとりじゃない
そんな不思議な感覚もある。
「あとは任せたよ」
最後にそう言ってから、なぜかヤツはずっとオレの心に居座り続けている。
自分のために頑張ることにはもうほとほと疲れ果てたはずなのに、そんなオレの今の視界はいたって良好だ。
「いくぜ、相棒!」
そう声をかけて、オレは颯爽とオートバイで走り出した。
了
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