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電話の声って、なんでいつもと違って聞こえるのだろう

小学生の頃、どうしても母に確認したいことがあったときに、彼女の勤める職場に電話することがあった。

そして、そのときに応対する女性の声がすごく上品で綺麗な声なのでなんだかタジタジしていたら、実は母親だった、なんてことがしばしばあった。

で、僕だと気づいた途端、

「ああ、太郎やったんか…」

といつもの大阪のオバチャンに戻るのもお約束だった。

このときの僕の心情は、まだ幼い頃は、自分の知らない母親のちゃんとした一面を知れて、大人ってすごいなあ、と素直に感心していたけど、高学年になるに連れて、

「なに、気色悪い声色つこうとんねん。奥歯ガタガタ言わせたろか?」

という若干、否定的なものに変わっていった。

で、なぜ突然、こんなどうでもいい記憶を思い出したかというと、昨晩、妻の実家に帰省中の息子の声を電話越しに聴いて、

「あれ?いつもの声と違うなあ」

と思ったからだ。

もちろん今までにも彼と電話で話したことはあったけれど、もともと電話嫌いな息子なので、いつもすぐに切られてちゃんと電話の声を認識できてなかったのだ。

しかし、この日は、たくさん話してくれたから、その違いがよく分かった。

例えば、まだ声変わりをしてないから当たり前といえば当たり前の話なんだけど、耳にあてたスマホのスピーカーから聞こえてくる彼の声は男の子というよりも女の子みたいだった。

そして、その日、体験したことを話したり、うちにいる猫のマルやカブトムシの様子を確認する息子の語り口は、おもわずこちらが惚れ惚れしてしまうくらいちゅうえい、いや、流暢だった。

どこぞの誰かさんみたいに、噛むこともなかったし←

たぶん、いつものガサツな感じじゃなくて、こんな風にきれいな日本語て話していたことも、彼の声を女の子と思わせる一因だったのかもしれない。

そんなわけで、母親と同様に、息子のいつもの声と電話の声とのギャップに思わず驚いたわけだけど、あのときと明らかに違うのは、「知らなくていいことを知ってしまった…」という妙なバツな悪さが一切なかったことだ。

まあ、息子は、別にわさどよそ行きの声色を使っていたわけではないんだから、そんな風に感じるはずはないんだけどさ。

というか、わざと声色を変えるという点においては、自分が他人のことをどうこう言える立場にないことにさっき気づいた。

というのも、最近、音声配信などで録音した自分の声を後で確認する機会が増えたのだけど、あんだけ母親のことをディスってたくせに、おまえこそ


話す相手によってめちゃくちゃ声色変わってるや外科医、いや内科医!

いやあ、ほとんど無意識とは言え、血は争えないものですね〜。

映画って本当にいいものですね〜。

……。



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