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秋の京は今日もきっとデート日和

記念すべき彼女との初めてのデートの舞台は、秋の京都だった。

当時、お金に余裕がなかった僕は前日の夜、高速バスで東京を出発した。

そして、早朝、京都駅前にある高速バスのバス停で待っていた彼女の姿を認めた僕はまず彼女のいでたちに驚いた。

その気持ちは彼女も同じだったことは、彼女の表情を見たらすぐに分かった。

そして、お互いにほぼ同じタイミングでこう叫んでいた。

「えっ〜!○○さんもPコートなの!?」

そう、僕らは図らずも初デートでペアルックをしていたのだ。

でも、恥ずかしさよりもまず、この小さな奇跡を素直に喜ぶ二人がいた。

そして、なんだかこの初デート幸先いいかも、という僕の予感は見事に的中した。

早朝の冷たい空気のせいで少し頬が赤らんだ彼女と一緒にバスで、まずはデートの最初の目的地である南禅寺に向かう。

ちなみに今回のデートコースは、

南禅寺→何やら秘仏のあるお寺→岡崎の動物園

どれも京都で多感な学生時代を過ごした彼女のおすすめスポットだった。

ただし、その日、彼女が京都で一番好きな場所で、後年、僕たちが式を挙げることになる下鴨神社に行ったのかどうかは記憶が定かではない。

距離的に流石に遠いからね〜。でも、僕のことだから、たぶんむりやりたくさん歩かせたような気もする(笑)

それはともかく、その日のハイライトは、間違いなく岡崎周辺を二人でトコトコ歩いていたときに、民家の軒下に薄緑色したかわいい小鳥たちが群れをなしている姿を見て、二人で、

「何、このかわいすぎる小鳥は!まるで奇跡みたいにかわいいね」とはしゃいだことだ。

後でググったら「メジロ」という名の割とありきたりな鳥だということが判明したんだけど、あのとき二人が好きでよく聴いていたのが


なぜあなたがそばにいるときにかぎって、突然、鳥たちが目の前に現れるのかしら?
(Why do birds suddenly appear every time your are near)

という歌詞で始まるカーペンターズのclose to youだったから、まあいい大人がはしゃいでも仕方ないよね(笑)

このエピソードや出会い頭のPコートも含めて、実はその日、小さな奇跡がいくつか起きていたんだけど、そんな奇跡を起こしてくれた神様に対して、おちゃめな神様という意味で、

「ちゃめ神様」

と呼んで感謝していた彼女のことをとても面白くてかわいい人だと思ったこともよく覚えている。

夕方になり、その日、嵐山に住む弟の家で夕飯を取る予定だった僕は、バス停で河原町行きのバスに乗る彼女を見送った。

いや、見送るつもりだった。

しかし、気づいたら僕は彼女と一緒にバスに乗っていた。

その後も別れづらくて、結局、金魚の糞みたいにまとわりついて、彼女が終電を迎える間際まで、二人で夜の河原町を徘徊した。

最後に過ごしたカフェの前で僕は彼女を見送った。

そして、僕は今晩の宿にするマンガ喫茶を探すことにした。

いや、そのつもりだった(part2)。

しかし、気づいたら、なぜか僕は阪急電車のホームにいて、奇跡的に見つけることができた電車のドア付近にたたずむ彼女の手を強引にホーム側に引きよせていた。

その後、無言で鴨川に向い、河川敷に横並びに座って真っ暗やみの川を見つめる。

そして、その暗闇にまぎれて初めて彼女とくちびるを重ねた。

このまま夜が明けるまでこうしていたいと思っていたけど、さすがに秋の京都の夜は寒すぎて、僕らは暖を取るために鴨川を後にした。

そして、初めて…(以下、略)

次の日、夕方に帰る約束を反故にして朝帰りしたせいで

「いい歳した大人が何しとんねん!」

と弟と弟の奥さんからこっぴどく叱られたのも今となってはいい思い出だ(笑)

ちなみにこの記事は、盟友もとい迷友おひたちさんのこの素敵な記事に触発されてかき揚げたものである。

というわけで、おひたちさん、ありがとう。そして、スプラの記事全然読まなくてごめん。

でも、よくよく考えると、彼の記事は僕の企画への参加記事だから、やはり前言撤回だな。 

というわけで、オレ、グッジョブ!

いつもありがとう!





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