ニトリとイケアのはしご旅
週末、久しぶりに息子と2人でお出かけした。
目的地は、目黒にある寄生虫館。虫好きの息子が以前から行きたいと言っていた場所だ。
しかし、ここではそこでの感想は割愛したいと思う。もしかしたら食事しながら読んでいる人もいるかもしれないからね。
そして、30分くらいで寄生虫館を見終わった後、それ以外の予定を全く立ててなかった僕らは、これからどうしようか、と話し合う。
そしたら、息子が
「ニトリに行きたい!」
と言い始めたから、「なんで?」と一瞬思ったけどGoogleマップで調べたら、徒歩10分圏内の場所にあったから、とりあえずそこに向かうことに決めた。
それは実は僕にとっても大変ありがたい選択だったからだ。
というのも、そのニトリのある通りは通称目黒インテリアストリートと呼ばれる、インテリア好きの僕が好きそうなヴィンテージインテリアショップが軒を連ねる通りだったからだ。
というわけで、それらのお店をたびたび寄り道しては、ちゃっかり僕も自分の趣味を楽しみながら、無事、目的地に到着したと思ったら、息子からこんな衝撃的な一言が発せられた。
「あれ?ここあの北欧のおしゃれなお店じゃないよ」
「君、それニトリやなくてイケアや!」
と秒でつっこみつつ、普段は割と大人びている彼がまだこーゆー子供っぽい勘違いをする姿に僕は内心、「かわいい!」と胸をキュンキュンさせていた。
しかも、イケアに行きたかった理由を聞くと
「ホットドッグが食べたかったら」
というこれまたかわいらしい理由だった。
これは行かないわけにいかないよね!
と、僕はここで再びGoogleマップを取り出して、調べてみたところ、
どうやらここから一番近くの店舗は渋谷にあるようだった。
「ちょっと電車乗ったりするけど、大丈夫かな?」
と息子に尋ねると、「ぜんぜん大丈夫」って即答したから、僕らは渋谷を目指して、元来た道を引き返した。
そして、この道中、ずっと息子と他愛のない会話をわちゃわちゃ交わしながら、僕は内心、これがおそらくこの日のハイライトだな、と思っていた。
それくらい純粋に楽しい時間だったんだよね。
それが自分でも不思議だったし、そして、何より我ながら安上がりだなあ、とも思った(笑)
うん、何も大枚叩いて特別な体験なんかしなくても、愛する人が隣にいるだけで、人って幸せになれる生き物なのかもしれない
なんてね。
そんなこんなで感覚的には割とあっという間に僕らは正しい目的地であるイケア渋谷店に到着した。
そして、ここでもまた僕は着くなり、驚きの表情を浮かべていた。
なぜかというと、そのイケアが入っていたビルこそ、まさに若かりし頃の僕が足繁く通っていた場所だったからだ。
そこは、1990年代にいわゆる渋谷系という音楽ムーブメントの発信源となった当時の音楽好きにはちょっした聖地みたいな場所で、僕もこのビルの一階の視聴コーナーで、本当にたくさんのリコメンドを浴びるように聴いていたのだった。
……。
「お父さん、どうしたの?」
ハッ!
いかんいかん、思わずあの時代にタイムリープしていたみたいだった。
しかし、彼の一言で無事、現代に戻れた僕は、息子と2人フードコーナーのレジの行列にならんだ後、それぞれの食べたいものを購入した。
僕はラムネ味のソフトクリーム
息子は、待っている間に壁に映し出されていたCMが気になったらしく、ベジドッグを選んだ。
そして、レジ隣の小さなカウンターで横並びになって食べる。
しかし、一口かじりつくなり、隣の息子の表情がみるみる曇り始めた。
「なんか中のやつがやわらかくて、こんなの全然ホットドッグじゃない」
「そっかあ、じゃあ、お父さんのラムネソフトと交換してみる?」
「うん、そうする」
そして、今度は一口食べたあと、
「おいしい!」
って言ってくれたから、ホッとした。
というか、さっきまで君、ラムネ味のソフトクリームなんかありえない、って言ってなかったけ(笑)
ちなみに、ベジドッグも確かにホットドッグとは別物だけど、ホットドッグと思わなければ、普通に美味しかったから、また食べようと思った。
突然、
「コーンの先までアイスが入ってると思う?」
と意地悪そうな顔を浮かべて息子が話しかけてきた。
それに僕も彼と同じくらい悪そうな笑みをニヤリと浮かべながらこう答える。
「いや、間違いなく入ってないね」
そして、どさくさにまぎれて、彼の頭をなでる。
うん、今日はどうやらハイライトが2回あるスペシャルデイだったみたいだ。
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