辛い日々に看護師さんからの有難いお電話

お葬式の後、
子供を亡くした今、
すぐ普通の生活に戻れないだろうと
お義母さんが私の気持ちを汲んでくれ、
少しの期間、
私だけ実家に帰る事になった。


辛くて、悲しくて、心が塞がって
何もやる気が起きない。



家にいても気持ちが暗くなるので
外に出てみるのだけど
あちこちで親子連れを見かける。



赤ちゃんを見るのが辛い。



娘のいないこの世界を生きるのが
とてもしんどい。



この気持ちが楽になる日は
くるのだろうか。



家の事は母がしてくれたのだけど
母も私と同じ位、
落ち込んでいて
何度もため息をつく。



知り合いからの電話も
泣き声で話している。


その為、
家の雰囲気が暗くなっていき、

” ここにいたら余計、気持ちが落ち込む・・・”
と思い、
予定より早めに
自分のマンションに帰ってきた。



昼間、一人でいる時、
娘の写真を見ると涙が出た。



毎日、毎日、思い出しては
泣いていた。



雲くんは時折、
笑顔を見せながら
今日の出来事などを話したり
何事もなかったかのように見えた。



何で笑顔で話せるんだろう
と思ったりもしたけれど
二人で暗くなっていたら良くない
と思っての事だろう。



娘の話をすると
また気持ちが暗くなってしまうだろうと
夫婦で娘の話はしなくなっていた。



私を心配して
友達が呑みに誘ってくれた。

気持ちは有難いのだけど、

” 四十九日法要も終わってないし、
そっとしといて・・・。”

と思った。



まだ呑みに行く気にはなれなかった。



でも、私は娘の事を
誰かに話したいという
矛盾した気持ちがあった。

「私にも娘がいたんだよ。」

「娘はとても可愛くて、
こんなに頑張ってたんだよ。」

そんな話がしたい。



出来れば
同じ思いをした人と
気持ちを分かち合いたい。



そんな気持ちでいる時、
産科の看護師さんから電話があった。



出産の時に担当してくれた
看護師さんだった。



私の事を心配してくれて
娘の話を聞いてくれた。



この機会にと
聞きたかった事を聞いた。

「次の妊娠まで1年空けるように言われたけど
それはどうしてですか?」

・出産した場合、育児で大変な時期であること。
・お母さんの体を回復させるため。

そんなような理由だった。



1年以上、
期間を空けた方が母子ともに
リスクが低くなるようだけど、
私には時間がない。



半年間、空けてもらえれば良いとの言葉に
私は半年後、
不妊治療を再開しようと決めた。



その日以降も看護師さんは
4、5回連絡をくれた。



どうしてそこまでしてくれるのだろう
と思ったけれど
仕事の一環なのかなと思っていた。



看護師さんとの話の中で

「娘が最期、どんな感じだったのか知りたい」

と話すと、

「それなら」

とNICUの看護師さんに繋いでくれた。


NICUの看護師さんに

「先生にも来てもらいますか?」

と言われたけど

クレームをつけたい訳ではないので

「先生はいいです。」

と答え、
後日、NICUの看護師さんと会う約束をした。




産科の看護師さんから電話を頂き、
何度か娘の話をしていく内に
私の

「気持ちを分かち合いたい」

「娘の事を話したい」

という気持ちは少しずつ消化され、
とても救われた気持ちになった。



後からNICUの室長さんに
電話を頂いた話をすると

「自主的にやったんでしょうね。」

と言っていた。


義務でやっていたのではなかったんだと知り、
改めて感謝の気持ちで
いっぱいになった。



本当にあの時の看護師さんには
感謝している。

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