トラブルつづきのドライブノォト*後編
洲本の大浜海岸でブランコに乗って、
さて、南あわじにそろそろ向かおうかと車に乗り込んだとき、
さっきはなかった重たい鉛色の雲が広がりはじめていました。
あら、やっぱり天気予報通り、雨が降るのかしら、と
エンジンをかけて出発。
五分もたたないうちに雨は降り出し、
道路に落ちている落ち葉やゴミが空に舞い上がり、
三時過ぎだというのに薄暗くなり、
空には稲妻が走り、
嵐の様相となりました。
いやいや怖い、竜巻とかになりそう、ヒョウとかふりそう、
やばいやばいやばい、と、
通り過ぎていく車にならってわたしもライトをつけました。
昼間に人さまの車のドアに、がこんと当ててしまった沈んだ気持ちはずっと引きずっていて、嵐の中を慎重に車を走らせました。
南あわじ、福良(ふくら)に到着すると、
さっきまでの荒れたお天気が嘘のように晴れ、
夕方の散歩に出ると、ドラマティックで見事な、
燃えるような夕焼けに目を細めました。
一時間ほど、知らない町並みを歩いていて、
ふと思う。
「あれ?車のライト、きってきたっけ?」
と。
ホテルの駐車場に車をとめてからの行動をバックするけれど、ライトを切った記憶が一切ありません。
福良に着いてから一気に晴れたから、
ライトのことなどすっかり忘れていた!
やべ!バッテリーあがる!
もの思いにふけりながら、
ゆっくり散歩を楽しんでいたわたしは、
一気に韋駄天に変貌し、
すごい勢いと形相でホテルの駐車場に戻りました。
わたしのレンタカーの前では何やら女性が二人います。
いや、まずいやろ、これ、と思って駆けていくと、
やはりライトが点いたままでした。
女性二人はホテルのフロントの方(外国の方)で、
「ライトが点いてる車があるというから見に来たんです」
とのこと。
いや、途中で思い出して!と、
焦りながら車に乗り、エンジンをかけると無事にかかりました。
女性二人は「やったー!良かったー」と拍手してくださいました。
いや、良かった、
思い出せてよかった。
それにしても今回も出会う人は優しいなぁと、
少し涙ぐみそうになりながら、
ライトを切り、エンジンを止めたのでした。
翌朝。
今日の予定は、10時10分出発の渦潮クルージングに出て、
福良マルシェで買い物をして、
今まで通ったことのない逆の海岸線を通って高速にのる、
予定でした。
9時40分、
ホテルを出て福良マルシェの隣の無料駐車場に車を止め、
エンジンを切りました。
そのとき、
何か、小さな「違和感」を感じたのです。
ん?というほどの。
なんだろ?と思い、念のためエンジンをかけ直しました。
かかりません。
「!!!!!!!」
もう一度トライ。かかりません。
完全にエンストしています。
ホテルから福良マルシェまで、問題なくかかったのに、
時間差で昨日ライト消し忘れたエンストが今きたってことなの!?
時間差ってあるの?!と思いながら、
慌ててレンタカーの緊急連絡先に電話をしました。
「ライト消し忘れましたか?」
と聞くので、
「昨日!」
と、答え、しばらく待って係の人が変わり、
「JAFが到着するのが三十分ほどかかります」
と、言う。
そのとき9時45分。
予約している渦潮クルージングの出航時間が10時10分。
間に合わん。
「あの、10時10分の渦潮クルージングが、、、」
と言うと、(何言ってんだ)の冷たい空気が一瞬流れたのち、
「JAFは時間指定できないんで」
と、当然ながらドラスティックな回答がかえってきました。
いや、当たり前ですね。
「すみません、もちろん車の近くで待ってます。よろしくお願いします」
と、電話を切りました。
そのとき9時50分前。
わたしはリトルカイトに謝りました。
「ごめんね、リトルのために設定した渦潮クルージングだけど無理やわ。ネット予約の2500円は無駄になるけど、しょうがないわ。
わたし、もうえいわ、もうまっすぐ、帰るわ。来た道をまっすぐ、もう一直線に帰るわ」
そう伝えました。
実は、
渦潮クルーズは、
わたし自身はそう乗りたいものではありませんでした。
ホテルと近かったし、
福良マルシェにも近かったし、
何より、はちきんちゃんのリトルカイトが好きそうだなと思い、
リトルカイトのために設定したイベントでした。
帰ろう帰ろう。
エンストなおったら帰ろう。
わたしは三十分、JAFを待つつもりでいたらなんと、
9時55分 JAF到着。
うえ!?はや!と、JAFのおじさんに説明していたら、
おじさん、
「あ、わかりました!ギア、パーキングに入れてませんね!」
と笑顔で説明。
ええええ!?ライト消し忘れのバッテリーあがりじゃないの!?
ギアをパーキングにいれて再度エンジンをかけると、
わっしょーーい!
とばかりに、健康的な良い音を出す。
泣きそうな気分。
●潜在意識(からだのリトルカイト)→"いつもの工程できてないよ!”
違和感を発信する
●顕在意識(頭のアダルトカイト)→違和感はキャッチするも、昨日のライト切れてなかったことに紐づけをして、思い込みをする。思い込みが真実でしかないと思い込む。
サインをして、JAFが去ったのが10時2分。
10時10分の出航、間に合うのではないか、、、。
9時50分からの、
怒涛の流れから、
わたしはリトルカイトがこのように言っているように感じたのです。
「このポンコツーーー!いつまでめそめそしてんのよ!」
「何、まっすぐ帰ろうとしてんのよ!行くわよ!」
わたしはリトルカイトのメッセージを受けとめたような気がして、
うっすら笑いながら渦潮クルージングの港まで走りました。
最後の乗客でしたが、
なんとか間に合いました。
それでは、
写真では伝わりきれませんが、
迫力ある渦潮クルージング
お楽しみください。
クルージングが終わってからは予定通り、
走ったことのない海岸線をとおって、
伊さなぎ神宮にも寄りながら、
トラブルつづきのドライブノォトを完了したのでした。
最後までおつきあい、ありがとうございました。
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