蚊のいない夏の雑感


 今年の夏は蚊と遭遇した記憶がない。
 暑くてたまらない夏だったし、蚊も動き回るには暑すぎたのだろう。
テレビからは「とりあえずポップなビートで逃げ出したい・・」とハマいくコンビが歌う「ビートDEトーヒ」が流れてきて、まさにとりあえず暑さから逃げ出したいという気分の夏だった。

 蚊は気温が二十五度から三十度くらいに活発な活動をするらしいが、今年は夜中も三十度を超えていたためか、朝夕のみならず夜中も蚊と遭遇しなかった。蚊は昼間には葉陰にじっと身を潜めていて、涼しくなる夕方や朝方に身にまとわりついてくるものだった。今年はその代わりに蜂がブンブンと飛び回り、こっちが蜂から逃げ惑うことが結構あった。

 気候は壊れてしまったのか。

 蚊と遭遇しない夏は衛生的で歓迎するが、気温が高すぎて生きづらい。エアコンは夜中もつけっぱなしだったし、それでも眠れなくて夜中にベッドから這い出て氷菓を食べたこともこれまでの記憶には無かった夏だった。おかげで、氷菓を食べる時に後頭部が痛くならないよう上手に食べられるようにもなった。  

 部屋にエアコンが無かったら、熱中症でくたばっていただろう。そして今は夏の終わりを感じている暇などないくらいに急激に気温は下がり、秋の終盤かとも感じてしまう。例年どおりに味覚の秋やスポーツの秋、紅葉の秋などが訪れているのだろうけれど、気持ちは、もう冬の入り口に立っている。

 近年、物価高騰、ジャニーズなどの芸能界での出来事、ウクライナなど他国での戦争など世界中で様々なことが起き、社会があちらこちらで壊れてきているとも感じる。それに加えて気候変動など、もう勘弁してほしいというのが本音である。「ビートDEトーヒ」の歌のように、たまにはどこかへ逃げ出したいとつぶやく自分がいたことを、先日、思い出してしまった。

 

 

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