負けず嫌い

 先日、とある女性歌手のヒストリー番組があった。
 楽曲を担当していたディレクターが、彼女は負けず嫌いだったと回想していた。
 プロとして歌う姿勢へ向けた称賛の言葉だった。

 「負けず嫌い」という言葉は、向上心がある努力家、競争心が強い人、高い目標を持つ人、プライドが高い人、見栄っ張りな人など、良くも悪くも取れそうな言葉だ。

 ぼくが日常で目にしてきた負けず嫌いの人たちは、虚栄心が強く、人の上に立つ願望があり、自分の間違いの指摘を嫌い、自分が見下すことが出来る人に対してだけ負けず嫌いを発揮する。
 権力を傘に無礼な言動を繰り返し、人徳など感じられず、自分の思いや考えを他人に押し付ける人たち。まことに嫌らしい人たちが、自分の周りには多かった。

 ぼくは、自分に対しての「負けず嫌い」ならば、それは良いことだと思う。
 例えば「書くこと」、それは、自分と向き合うという日ごろの努力の積み重ねであり、深く考えることは謙虚さを生み、周囲へのリスペクトに気がつくきっかけになっていく。
 でも、負けず嫌いは紙一重で危険な刃だ。頑張りすぎて、頑張り続けていると、自分が壊れていく。
 だから、自分を褒めて休ませてあげることも、とっても大切なことだ。

 自分に対しての負けず嫌いは、優しさと思いやりに満ちた暮らしを彩るアイテムの一つになると考えるのは、ぼくだけだろうか。


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