「お買い得」って、何が本当にお得なんだろう?

お洋服を買うのも、日々の食材の買い物も、「セール」とか「X%引き」にとかく弱い私です。たとえば地元のSafewayという大手のスーパーでは定期的に「すべてのワイン30%引き」という太っ腹セールをやってくれてて、ワイン好きな私は喜んでまとめ買いに走ります。

でもこの「30%引き」ってどの値段から引いてるのか曖昧なので、実は30%引きの値段が他のお店の通常の値段と同じこともあります。それを知っていても、この「30%引き」で買った時はそれでけでなんとなく、気持ち良くお金を払っている気がします。

というわけで今日は、セールで買った時のウキウキした「お得感」が実はお店に上手に操られたまやかし、という話題です。

前菜:最近の購入経験談
メイン:カリフォルニア州に怒られた安売り王「Overstock」
デザート:Overstockが実はシリコンバレー的でイケてる理由

ではまず最近買ったパスタ・マシーンを一つの例にしたいと思います。

オンラインで色々調べたあと、すぐに使いたかったので地元のキッチングッズ専門店(Sur la Table)に行きました。お店での値段は$99。こんな感じです。Amazonだと色違いもあってしかもちょっとだけ安い話をすると「オンライン価格は全部マッチングするよ」とのこと。しかもちょうどその時は「全商品15%引き」の特別店頭キャンペーン中だったので、安くで手に入れることができました。お店に足を運んだ甲斐がありました。(プチ嬉しい。)

最近のNew York Timesの記事でル・クルーゼのお鍋のオンライン・オフラインお値段分析がありました。私の実際の経験もだいたいこんな感じです。
 ル・クルーゼ オンラインショップ:$200
 Amazon:$260-60=$200
 他オンラインサイト:$250から20%引き=$200

同じ$200でも「ディスカウントがあった」っていう気持ちになれるならそっちの方が何となくいいですよね。

もう一つ、Amazonの例。

雨続きのシリコンバレー、我が家で一つ困ったのは「ねずみ被害」です。外置きの車の中に避難してエンジンの中に巣を作ってぬくぬくと暮らしているようで、うちは2台立て続けに被害にあいました。中のワイヤーを噛みちぎられ、エンジンがスタートしない非常事態も。。。

ねずみ退治に「高周波音装置」を入れるのはどうかな、とAmazonで早速探してみました。数ある商品の違いが良く分からないのと、値段がどれ見てもなんらかの「ディスカウント」があって、何が適正な値段なのか、全く分からない。。。

何でもオンラインで買えるようになって、こういうケースは増えるばかり。

「ディスカウント表示」って本当なのかどうか分からない、ただのまやかし・詐欺じゃないか、と消費者保護の観点からお咎めを受けたケースもあります。

上で引用したNew York Times記事にも出ててOverstockの例が一番有名なので、詳細を見てみました。

Overstock.comは1999年、ドットコム・バブルの後半期にスタートしました。世の中に溢れる「Overstock goods(過剰在庫品)」をオンラインで売る」ことに目をつけたものです。

ブランド品も含め、とにかく何でもかんでも小売価格よりすごく割安で変えて、返品対応も良くて、私も何回か使いました。順調に伸びを続け、2002年にNASDAQ上場、年商$1.5Billion(FY2014)を超える会社です。

Overstockのサイトでは「他で買うと何$、Overstockで買うと何$」と比較が出るのですが、この比較対象値(Advertised Reference Price)が不明瞭、とカリフォルニア州公正取引委員会から訴えられました。

裁判の結果、Reference Priceって何よ、メーカー推奨価格?小売平均価格?平均値のデータはどこのもの?これらを明確に消費者に提示せよ、との判決になりました。ご興味ある方はここからダウンロードできます。93ページにわたる力作です。裁判所命令にそって60日以内に価格表示方法を変えなさい、と言われ、$6.9Million (7.8億円)のペナルティー支払いを命じられました。(2014年2月)

「判決の内容に非常に不服である。我々の価格表示方法はオンラインコマースにおいてゴールドスタンダードであり、お咎めを受ける理由はない」とCEOは話していました。2015年には控訴手続きが進んだようですが、控訴判決はまだみたいです。

Amazonでもどこでも「List Price」と「販売価格」がいつも一緒に表示されて、しかもそれがどこにもかしこにも出てくるので、何がお得なのか分からなくなりますね。なのである程度統一されると確かに世の中の役に立つのかも。一消費者としてOverstockのケースの今後はちょっと興味あります。

最後に、Overstockにまつわる面白い話。

大手シリコンバレー企業でバリバリ仕事をこなす、とてもかっこいいA子さん。彼女がある日、友達の紹介でB男くんとデートに行きました。初デートはまあまあ、可もなく不可もなくという感じで進んでましたが、この会話で彼女の気持ちは大きく揺れたらしいです。

A子:そのシャツ、いいわね。どこで買ったの?
B男:褒めてくれてありがとう!実はOverstockで買ったんだよ。
A子:(え。。。Overstockって、実はこの人セコイのかしら。。。)
B男:あ、あとOverstockではBitcoinで買ったんだよ!

Bitcoinでお買い物をしていると聞いて、それだけでA子の評価は大きく(良い方に)変わった、とのことでした。(Bitcoin(仮想通貨)についてはこの「いまさら聞けない」まとめが良くまとまっています。)ちなみにOverstockはBitcoinが使える数少ない大手オンラインコマースサイトなのです。

「セールで買ったの!」でなく、自分なりの納得感を鍛えた「賢い」コンシューマーになりたいな、と思う今日この頃です。(でもいつまでも「安かった」「おまけでいいものがついてくる」系の話に弱い私ですが。。。)

今日も読んでいただき、ありがとうございました。次回は「Shift」というシリコンバレーの新しい中古車販売サービスについて書きたいと思っています。


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シリコンバレー弁護士のノート

シリコンバレーでスタートアップから大企業まで、広い弁護士経験を持っています。法律関連のネタや、ビジネス交渉に登場するフレーズやキーワードをひろっていきます。
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