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映画紹介「嫌われ松子の一生」

こんにちは2号です。
シナリオライター的な仕事をしていると「好きな映画は何ですか?」とかよく聞かれますよね。まあ自己紹介にはちょうどいいんでしょうけど、そんなのいっぱいあって答えられないとか、「ほら、あれ、あの人が出てた、あの監督の」みたいになっちゃうとか、色々学びましてそういう質問されたときに答える3つの作品を常に用意しています。
今日はその中の一つ「嫌われ松子の一生」(2006年公開)をご紹介いたします。

この作品、リアルタイムでつくばの映画館で一人で観たんですけど、馬鹿じゃないのってぐらい後半ずっと号泣したんですよ。しかもその日に限ってハンカチ忘れて滂沱の涙を流し続け、エンドロール終わるや否や違う意味でトイレに駆け込んだという作品です。

ざっとあらすじを説明しますと、福岡で中学の教師をしていた川尻松子が教え子の盗難事件をきっかけに教職をクビになり、家を飛び出し、風俗嬢になり、ヒモの男を殺害しと、どんどん転落していく人生を描いたお話です。

結末としてはゴミ屋敷の住人と化し、近くの河原で何者かに暴行されて死にます。(これはネタバレには当たりません)

こんなに暗い内容なのに、画面はずっとPOPでキュートでカラフル、音楽も同様にミュージカル仕立てでBONNIE PINKさんやらAIさんやらスカパラの谷中敦さんやらトップアーティストが大集合! そうよ木村カエラちゃんだって出てる!

役者陣なんて、もうすごい人いっぱい出演しすぎてて紹介しきれませんっ。
ですので、私的に好きな3人だけご紹介。

主演の中谷美紀さんは美しすぎて怖い。不幸な境遇の時ほど、迸る美しさ!

これはまだ序盤です。後半もっと美しくなりますからぜひ観てね!


それは松子の生き様そのものを体現していて、松子は劇中、いろんな男に殴られては抱かれますが、男たちの気持ちがわかるような気がしてしまいました。
だって本当に息を飲むほど、女の私でも欲情するほど美しんですもの。


そして、松子が獄中で知り合う親友の沢村めぐみ役の黒沢あすかさん!

姐御かっけーです

かっこいいです。黒沢さんは声がいいですよね。すごくいい、色っぽいという簡単な表現じゃ足りなくて、憂いがあるけど希望があるみたいなそんな感じです。
黒沢さんのことを当時、一体どんな役者さんなんだろうと片っ端から調べた気がします。劇中のド派手なイメージとは違い、黒沢さん本人はとっても柔らかな雰囲気の方で、またそのギャップも素敵です。


さあ、そして劇中にはしょうもない男ばっかり出てきますがやはり貧乏神みたいなクズ男を演じさせたらこの人しかいません! 我らがクドカン先輩です!

自分を太宰治の生まれ変わりだと思い込んでいます。どうかしています。

松子が最初に出会うクズ男、八女川徹也役の宮藤官九郎さんです。松子を殴るし、ソープで働かせようとするし、言ってみればこいつのせいで松子の人生が取り返しのつかないことになると言っていいでしょう。でも八女川のライバルとして登場する岡野健夫役の劇団ひとり(あえて呼び捨て!)はもっとクズです。人として本当に最悪。八女川なんて純粋だし松子のこと殴りながらも愛してたもんね。

そんなこんなで、この後も続々とクズ男がいっぱい出てくる「クズ男祭り」みたいな映画ですが、やっぱりこの原作をこの映像で世に送り出した中島哲也監督が本当にすごいと思いました。このお話は言ってみれば悲劇ですが、ミュージカル仕立てで作ってくるとか、えええ?って周りの人たち思いますよね。悲劇を悲劇風に撮らないのが本当にかっこいい。(原作者の山田宗樹さん、どう思ったんだろ)
2006年公開の作品ですが、暴力もありエロもありテンポもよく、Netflix?と思ってしまうぐらいの演出で観るものたちに「幸せって何?」「愛って何?」って洪水のように問いただしてきます。今、観たらどうかな?と思ってこの記事を書くにあたってもう一度観ましたが、ちっとも古く感じない。今観てもオシャレよ。
観た人も観てない人も、ぜひ観ていただきたい!

そして、私のあの涙は何だったのか。あの頃、まだ独身だった私。
「このまま私も一人で松子みたいに死んでいくのかもしれない」という恐怖だったのかな。松子が劇中「殴られても一人でいるよりはマシ」的なことを言います。孤独から逃げようとしてクズ男に縋って、殴られても愛し続ける松子。その愛に恐れ慄いて去っていく男。そう考えると女の本当の敵は”孤独”なんではないでしょうか?

      幸せとは孤独じゃないこと。愛とは孤独にさせないこと。


この映画はそんなことを教えてくれたような気がします。
そうか、あの頃の私は孤独だったのか。だから怖かったのか。その涙だったのか。

さあ、当時の自分の気持ちも整理できたところで、お開きとしたいと思います。
(あっ、この作品はNetflixでは配信してません。U-NEXTなどでどーぞ)
ではまたね! 2号でした。



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