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3中国の人獣共通感染症(伝染病)の歴史 新型コロナの起源

写真:上海 浦東の高層ビル群(撮影地:外灘)
・清浄の思想を持たなかった中国人
・武漢研究所起源説と新型コロナウイルス
 中国の隠蔽工作 遺伝子配列を発見した上海の研究所が発表の翌日に閉鎖
・中国のコロナ隠蔽工作で後手にまわったWHO
・コロナ発生3か月前に武漢で実施された新型コロナウイルスの防疫訓練
・中国への各国からの損害賠償請求の可能性はあるのか?
・日本に比べて欧米で新型コロナ患者が増大した理由

 清浄の思想を持たなかった中国人
なぜ中国では伝染病が多く発生し感染が広がるのでしょうか? ①人口密度が高い。②都市部での家畜の頭数羽数が多い。 ③公衆衛生の観念が希薄、不潔。 ④野生動物や珍味の摂食。 ⑤市場で生きた家畜(鶏など)がその場で絞めて売られている。⑥伝染病が発生の隠蔽。以上の6つの主要因によるものと先にのべました。

実際に筆者は2003年ころからほぼ10年間、日中合弁会社の経営にかかわる事になり、北は内蒙古自治区や遼寧省、南は広東省、西は新疆ウイグル自治区のカザフスタンとの国境近くまで多くの地域を回りましたが、当時から現代にいたるまで、中国は公衆衛生の観念が希薄で不潔であると肌で感じました。

いまでもゴミのポイ捨てが多いこと、唾や痰を吐く人が多い事、公衆トイレが非常に不潔な事や道端で用便する人がいる事など驚くことの連続でした。最近は公徳心のある中国人も増えてきて、北京や上海などの大都市部では多少綺麗にはなりましたが、ゴミのポイ捨てはよく見かける光景です。

「シンガポールは、中国系の人々が7割以上ですが、中国とは大きく異なって清潔で美しい街並みを維持しています。なぜでしょうか?」 私が1985年に初めて訪問したシンガポールで、日本の商社のシンガポール駐在員にこの質問をした時の答えは、次の通りでした。
「リークワンユー首相(当時)は非常にうまく中国人の悪い習慣を止めさせているのです。中国人が犯しそうなことを全て軽犯罪として罰金を徴収しています。中国人にとってお金は命の次に大切です。誰もが罰金を払いたくないので、シンガポールは綺麗になりました。」というものでした。その答えを聞いて「なるほど」と合点がいきました。

余談ですが、シンガポールの軽犯罪(罰金)は、日本人旅行者でも気を付けないと取り締まりに遭う危険性があります。 2020年5月現在で、シンガポールでやってはいけない例を示してみましょう。

電車・地下鉄内での飲食は最高1000ドルの罰金です。日本でもペットポトルを電車内で飲む方がいますし、子供にチョコレートやスナック菓子を食べさせる親がいますが、シンガポールではダメです。ちなみに1シンガポールドルは75円(当時)ですので1000ドルは7万5千円の罰金になります。

それ以外にも横断歩道・歩道橋を利用せずに道路を横断50ドル、鳥へのエサやり1000ドル(公園でハトにエサをやってはいけません)、公衆トイレで利用後に水を流さない1000ドル、ゴミのポイ捨て1000ドル(ポイ捨ての再犯は最高2000ドル+清掃作業です)、喫煙場所以外での喫煙1000ドル、ツバや痰を吐いたら1000ドル、深夜10時半から朝7時まで屋外での飲酒1000ドル、家庭の不注意の水溜りなど蚊の発生を防止する行為を怠ると1万ドルの罰金、ガムの持ち込み5000ドル、タバコの無申告持ち込み1万ドルなどなど

例えば、喫煙以外の場所でタバコを吸って1000ドル、吸い殻をポイ捨てで1000ドル、つまり吸ってポイで、2,000ドル(15万円)の罰金が科せられます。 もしそれが未申告で持ち込まれたタバコであったら追加1万ドル(75万円)、合計90万円の罰金という事になります。タバコのポイ捨てにかかる罰金を甘く見てはいけません。

このようにシンガポールは、特に不道徳な一部の中国人や外国人が犯しやすい行為に対して様々な刑罰を科して国を美しく保っているのです。ある人はシンガポールをFine Countryと呼びますが、Fine(立派な)国という意味がある反面、Fine(罰金)の国ということもあるようです。これは、赤道直下で、疫病やマラリアなど熱帯の風土病が発生しやすいシンガポールだから、少しでも気を抜くと、清潔な環境が破壊されるのを厳しく律している事と思います。

なお、シンガポールが罰金で禁止していること、すなわち電車内で飲食をし、道路を勝手に横切り、鳥や動物にエサをやり、トイレの水は流さず、ゴミをポイ捨てし、路上でタバコは吸い放題もちろん吸い殻はポイ捨て、唾や痰を道端に吐いている光景は、筆者の経験では、中国の都市の裏道に入ればよく見る事ができます。

ここでは、筆者はなにもシンガポールの事を解説しようとしているのではありません。中国人の習慣によって清潔な環境が汚されている現実を述べているだけです。そして、伝染病が蔓延する素地が汚れた環境の中にある事を述べたかったのです。

武漢研究所起源説と新型コロナウイルス
 
さて、新型コロナ肺炎では世界中に大きな人的、経済的な被害が出ましたが、欧米各国では程度の差こそあれ、中国に対してコロナ禍を引き起こした責任を追及する声が上がっています。
 
その責任追及の争点は、一つは「中国科学院の“武漢病毒研究所”(武漢ウイルス研究所)から、ウイルスに感染したヒトまたは動物(コウモリか?)が、新型コロナ肺炎を人々に感染させ、それが世界に蔓延してしまったのではないか」という武漢研究所疑惑。もう一つは「中国が早期に新型コロナウイルス肺炎がヒトからヒトに感染する事を知りながらこの事実を隠蔽して、結果的に世界中に新型コロナ肺炎を大流行させてしまったのではないか」という事実です。
 
中国人研究者の論文によると、2019年12月1日に確認された最初の感染者や、最初の感染集団の3分の1以上の人々は海鮮市場と繋がりがなく、また、市場ではコウモリが売られていなかったということだそうです。 私自身はこの論文を読んでいないので、分かりませんが、たぶん本当だろうと思います。
 
私は、10年前に武漢に行ったことがありますが、武漢でコウモリを食べるという習慣は聞いたことがありませんし、北京、上海などの大都市の海鮮市場・食肉市場でコウモリが売られていたのを見た事もありません。 中国人の友人たちにコウモリを食べた事があるかと聞いたところ、ほとんどが顔をしかめて「そんなもの食べた事はないし、食べたくもない」と言われました。
 
 コウモリを食べる地域は、中国でも非常に限られており、雲南省、広東省など中国の南西部の一部だけだったはずです。また、鳥インフルエンザがヒトに感染するためには、相当な数の生きた鶏に濃厚接触しなければなりませんし、ブタ経由でヒトに感染することもあると聞いた事がありますが、これも生きた動物と濃厚接触しなければ容易にヒトには感染しないはずです。

私には武漢の華南海鮮卸売市場がウイルスの起源であるとは思えません。とはいえ、華南海鮮卸売市場の閉鎖は続いており時とともに「ここが起源か否か」の証拠が既に無くなってしまったと思われるため真相は闇の中になってしまったと考えられます。

 中国の隠蔽工作 遺伝子配列を発見した上海の研究所が発表の翌日に閉鎖

次に中国による隠蔽工作の問題ですが、こちらは多くの証拠が残っています。一例をあげると、有名な話ですが、2019年12月末に中国の李文亮医師(故人)がSARSと同様な肺炎が人から人へと感染しているとSNSで医師仲間に連絡した時に中国の武漢市政府は連絡を受けた医師もろとも呼び出し訓戒処分を行ったため、初動の封じ込めができなくなりました。
 
連絡を受けた医師仲間が、当局からの処分によって医療活動が制限されることを恐れて、感染が広がっている事を知りながら口を閉じてしまったのです。 最初に医師仲間に通知した李医師は自らが新型コロナ肺炎に感染して亡くなりましたが、中国国内で大きな社会問題化したため、中国政府から訓戒処分の取り消しと名誉回復がなされました。これは大変異例な事です。
 
しかしながら、李医師に続いて新型コロナ肺炎について研究し発表した中国人研究者のほとんどは中国当局によって口封じされてしまいました。
 
フランスのRFIの報道(2020年2月29日付け)によると、サウスチャイナモーニングポストの報道で、上海公衆衛生臨床センターの張永鎮教授と復旦大学公衆衛生学部が率いるチームが1月5日にCOVID-19の遺伝子配列を発見し、国家保健衛生委員会に報告したとの事でした。

その際、当局が情報の拡散を防ぐため、当局の指示があるまで発表を控えるように要請されていたようですが、一刻も争うような感染拡大に対処するため、張教授のチームは、当局には肺炎ウイルスに対して対処する意図がないものと判断して、1月11日に遺伝子配列を開示することにしたとの事でした。驚くべきことに1月11日に新型コロナのゲノムを発表した上海の研究施設は、翌日閉鎖され、発表したチームや初期に感染拡大を報じたジャーナリストは、姿を消してしまったとも言われています。

それを伝えるRFIの記事(中国語)は以下のWEBにあります。
 上海实验室发表全球首个病毒基因排序翌日突遭当局关闭 (rfi.fr)

記事とその翻訳は次の通りです。
(引用)
上海实验室发表全球首个病毒基因排序翌日突遭当局关闭

上海一家实验室的研究专家发表世界首个武汉新病毒基因组序列之后的第二天,突然遭到当局关闭。据南华早报消息报导,上海公共卫生临床中心和复旦大学公共卫生学院张永贞教授带领的团队,1月11日在virologic.org网站上发布了世上第一个新的冠状病毒基因序列,但当局在翌日却以“整改”的理由关闭该实验室。发表时间: 29/02/2020 - 10:17

根据报道,张永贞的上海团队在1月5日已经发现了有关的基因排序,并已向国家卫健委报告,还建议当局采取适当的措施防止扩散,但团队等到1月11日仍未见国家当局有任何行动才决定公开基因排序。

有拜这次发表的病毒基因排序之赐,世界各地的研究人员公开分享了更多患者的完整病毒基因组序列。目前已有53名患者的完整病毒基因组序列在GISAID(全球共享禽流感数据倡议组织)中共享。

报导引述接近中心的消息人士声称:“上海公共卫生临床中心临时关闭,但没有解释原因,我们曾经四次申报要求重开,但一直都没有得到回覆。”

消息人士又说:“这次关闭对科学家和他们的研究有很大的影响,因为他们正在与时钟竞赛,尽快找到控制这次冠状病毒的方法。”

报导指,受到影响的实验室属于生化保安第三级设施,也是第二最高安全戒备级别,刚刚才在1月5日通过“合格评定国家认可委员会”每年一次的检验。该实验室同时在1月24日获得有关所需的批文,对冠状病毒进行研究。

报导指,下令关闭实验室的是上海市健委。南早曾五次打电话到该单位巡查有关事件,但没有人接听,向上海市健委发出的书面传真,也如毛牛入海。

但事实上,根据大陆传媒报导,在张永贞团队发表了全球首个病毒排序基因之后的第二天,由国家卫生和健康委员会领导的一个小组还在全球共享流感病毒数据库“[全球信息援助组织”中,发布了来自不同患者的另外五个病毒基因组序列。

国家卫健委当时还表示将于世卫组织WHO分享张教授所发表的病毒基因排序。南早指,这个信息后来却透过官方指定的中国科学院武汉病毒研究所向WHO发出。

南早报到指,张永贞的上海团队在1月5日成功为这次武汉病毒排列基因,时间上还早过中国官方宣布在武汉发现不明肺炎两天。张的团队在1月5日同一天亦向国家卫健委报告有关的发现,并且建议在公共场所采取“相关的防御和控制措施”,因为他们样本采集来源的病人,病征都非常严重,而且之前这种病毒在蝙蝠身上发现。

南早指出,张的上海团队觉得当局显然无意就病毒一事对社会大众采取任何行动,于是才决定在1月11日公开发表病毒的基因排序。

在那个时候,中国的人民还被告知武汉从1月3日起已经再无新确诊病例,而且没有明显人传人的迹象。

接近张永贞团队的一个消息来源说:“这并非有关任何个人的荣辱,这是面对一种过去未为人所悉的呼吸道疾病,尤其是春运期间有大幅度的人口移动。”

(翻訳)
上海の研究所が世界初のウイルス遺伝子配列を発表、その翌日当局によって突然閉鎖

上海の研究所の研究者らが新型武漢ウイルスの世界初のゲノム配列を発表した翌日、当局によって突然閉鎖された。 南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)によると、上海公衆衛生臨床センターと復丹大学公衆衛生学部の張永貞教授率いるチームは、1月11日に世界初の新型コロナウイルスの遺伝子配列をウェブサイトvirologic.orgで公開した。しかし、当局は翌日「是正」を理由に研究所を閉鎖した。
公開時間: 29/02/2020 - 10:17

報道によると、張永振氏の上海チームは1月5日に関連遺伝子配列を発見し、国家衛生健康委員会に報告し、当局に対し蔓延を防ぐ適切な措置を講じるよう勧告した。 しかし、研究チームは遺伝子配列を公開することを決定する前に、国家当局からの行動を確認するために1月11日まで待った。

今回発表されたウイルス遺伝子配列のおかげで、世界中の研究者がより多くの患者の完全なウイルスゲノム配列を公開することになった。 53人の患者の完全なウイルスゲノム配列は、GISAID(鳥インフルエンザデータ共有のための世界的イニシアチブ)で共有されている。

報告書は、同センターに近い関係者の話として「上海市公衆衛生臨床センターは理由も説明されずに一時閉鎖された。再開を4回申請したが、一度も返答がなかった」と伝えた。

同関係者は、「このコロナウイルスをできるだけ早く制御する方法を見つけるために時間との戦いをしている科学者とその研究に、今回の閉鎖は多大な影響を与えている」と付け加えた。

報告書によると、影響を受けた研究所は2番目に高いセキュリティレベルであるレベル3の生化学セキュリティ施設であり、1月5日に国家適合性評価機関の年次検査に合格したばかりである。 同研究所は1月24日、コロナウイルスの研究を行うために必要な承認も得ていた。

報告書によると、研究所の閉鎖を命じたのは上海市衛生健康委員会だったという。 南華早報は関連事件を視察するため同部隊に5回電話をかけたが誰も出ず、上海市衛生健康委員会に送った書面ファックスも全く返信の無いものであった。

しかし実際、本土メディアの報道によると、張永貞氏のチームが世界初のウイルス配列決定遺伝子を発表した翌日、国家衛生健康委員会のグループもインフルエンザウイルスのデータベースを世界規模で共有し、さまざまな患者のゲノム配列が公開された。

国家衛生健康委員会は当時、張教授が発表したウイルス遺伝子配列決定結果を世界保健機関(WHO)と共有するとも表明した。 南華早報は、この情報は後に正式に指定された中国科学院武漢ウイルス研究所を通じてWHOに送信されたと指摘した。

南華早報は、中国当局が武漢で未知の肺炎の発見を発表する2日前、1月5日に張永貞教授の上海チームが武漢ウイルスのゲノム解読に成功したと報じた。張教授のチームは同日、1月5日にも国家衛生健康委員会に関連調査結果を報告し、公共の場所で「関連する防御および制御措置」を講じるよう勧告した。なぜなら、サンプルが採取された患者は非常に重篤な症状を示しており、ウイルスは以前にコウモリから発見されていたからだ。

南華早報は、張教授の上海チームは、当局が明らかにウイルスに関して国民に対して、何らかの行動を起こす意図がないと感じたため、1月11日にウイルスの遺伝子配列を公表することにしたと指摘した。

その当時、(当局から)中国国民は、1月3日以来武漢で新たな感染者は確認されておらず、人から人への感染の明らかな兆候は見られないと知らされていた。

張永貞教授のチームに近い関係者は、「これは個人の名誉や不名誉に関するものではない。特に春節期間中に大規模な人口移動があるため、人々はこれまで知られていなかった呼吸器疾患に直面することになる」と語った。 
(翻訳終わり)

 これを読むと、人の命より自らの立場を重視して、ぐずぐずしている間に先に遺伝子配列を発表され面子が潰された国家衛生健康委員会と共に、中国当局(中共宣伝部)が、同じく自身の保身優先のため、人民の生命はさておいて、中国国内で情報統制を行い、武漢肺炎、COVID-19、武漢ウイルス研究所、SARSなどの単語の入ったメール、SNS、WEBなどを全て削除しアクセスできないような隠蔽工作を行って来た事がよくわかります。

中国ではSNS、WEB、メール、衛星放送テレビなどで大規模なキーワード検索が新華社や環球時報、中央电视台(CCTV)など全ての上位機関である中国共産党宣伝部によって行われており、当時は新型コロナ関連の情報はほとんど全てが削除されていました。また衛星放送でNHKやBBC、NBCなどでコロナに限らず中国当局に都合の悪いニュースが一時的に中国で視られなくなることは今でも頻繁にあります。

なお、この記事はフランス政府外務省の発行するRFI(ラジオ・フランス・インターナショナル)のウェブからの引用です。そのため中国の検閲には引っかからないで読む事ができました。さすがに中国当局もフランス政府の記事までは検閲が出来なかったのです。
 
米AP通信は2020年4月15日、中国当局が新型コロナウイルスの深刻な脅威を2020年1月14日に 中国国家衛生健康委員会の馬暁偉主任が地方衛生当局との会議で、「2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行以来「最も深刻な危機」で「衛生上の大問題となる恐れがある」との認識を示した」との認識を示した文書を入手したと伝えています(China didn’t warn public of likely pandemic for 6 key days. Apr.4,2020)
中国がヒト-ヒト感染を発表したのは1月20日でしたが、14日には深刻な危機と認識していたにも関わらず、WHOにはそれまで通知していなかったのです。

中国の隠蔽工作に騙され後手に回ったWHO

このような中国による隠蔽工作はWHOを騙すのには大きな効果があったようです。当時、WHOの新疾患部門の責任者であるマリアヴァンケルホーフは、コロナウイルスの人から人への伝染は限られており、主に家族内の小さなクラスターであったと語り、「私たちには今のところ持続的な人から人への感染は認められない」との認識を1月14日に述べています。結局のところ、WHOは十分な調査をせずに中国の発表を鵜呑みにしていたのです。世界中に新型コロナが蔓延して、多くの人々が亡くなった後に「人から人への感染が認められた」と発表しても、完全に後の祭りでした。
 
新型コロナウイルスがどこで人に感染したのか、起源について米中で論争が続いていますが、米国のポンペオ国務長官(当時)が、2020年5月3日に米ABCテレビの” This Week”で発言した。「新型コロナが武漢の研究所に由来するという大きな証拠がある」とか、それ以前にあったトランプ大統領の「新型コロナが中国の研究所から発生した証拠を確認した」との発言も、もちろんトランプ政権の対応の遅れをカバーしたいとの意図があるのは明白です。なにしろ2020年11月には大統領選挙が控えていた訳ですから、このままの状態では、選挙に悪い影響があるのは明らかでした。そのため、中国に大きな問題がある事を強く指摘していたのです。

筆者には、武漢研究所疑惑については、米情報機関が、武漢研究所から新型コロナウイルスが事故によって流出した可能性を示唆する証拠を握っているようにみえます。加えて米紙ワシントン・ポストが2020年4月14日に報じた「2年前の外交公電によると、在中国米国大使館の科学専門家を2018年1月から数度武漢研究所に派遣し、武漢研究所の安全運営上の問題が指摘されていたことが、武漢研究所からの新型コロナ流出説の最終的な証拠にはならないものの、大変疑わしい」も武漢研究所起源説の論拠になっているといわれています。
 
また、隠蔽工作による中国情報を信じたWHOは、新型コロナウイルスは武漢研究所から流失したものとの事を否定し、「ウイルスの遺伝子配列は人口的なものでは無く自然起源のものである」と述べたとの事です。私は、遺伝子配列が人工的なものではなく自然起源のものであったとしても武漢研究所からの流失否定の論拠にはならないと考えます。なぜならば、武漢研究所のコウモリが人工的でなくても自然起源のウイルスに感染していたはずだからです。
 
2002年11月に発生したSARSコロナウイルス(SARS-CoV-2)は、当時は広東省のジャコウネコ(ハクビシン)によるものとの説がありましたが、現在ではコウモリがヒトとジャコウネコのSARSの共通の起源であった事が知られています。

再度述べますが、そのコウモリもジャコウネコも新型コロナの発生した冬の武漢では自然界に存在していない事や武漢華南海鮮市場では販売されていなかった事から、中国政府が発表しているように海鮮市場が新型コロナの起源だとは思えません。
 
 コロナ発生3か月前に武漢で実施された新型コロナウイルスの防疫訓練

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