大大大ベストセラーだし、もちろんタイトルは知っていたんですけど。後学のために目を通しておくかくらいの軽い気持ちで読み始めたんですけど。
著者の人柄のせいなのか……すごく感動してしまいました。
感動したっていうのちょっと恥ずかしいのですが、でも、著者のようにユーモアと謙虚さのある人でいたいなとかなり本気で思いました。
クイズに惨敗
まず巻頭でお目見えするのはチンパンジークイズ!
3択問題なので、適当に答えても33%の回答率になるはず(つまりこれがチンパンジーにも劣るボーダーライン)。
で、私の正答率、2 / 13問
・・・・・・
全力でなにかに謝りたい。しんどい。
問われるのは、世界が直面しているといわれる人口増、貧困、男女格差や環境の問題。
「そりゃ、当然こうでしょ?」と自信満々で答える解答は、ことごとく間違いになります。
もう一度言いますけど、ことごとく間違いになります。
「それこそがファクトフルネスだ」と、冒頭から読者の頭を殴るようなインパクトある著者のつかみが最高。
エピソードがとにかく良い
私たちは知らないことに対し無自覚であり、しかも知らないことを知っているかのように悪気なく振る舞っている。
いかに事実を正しく見極める目を持ち、状況に応じて正しく使うかが重要。
というのが本書の趣旨だが、それ以上に随所に挿入される著者の経験したエピソードがすばらしくて、私はそこに大いに感動してしまった。
いいなあと思った箇所はたくさんあるが、そのごく一部を抜粋する。
ニーズの盲点
たとえ見誤っている観点が「ユーザーの母数取り方」という根本であっても、思い込みに気づくのはこうも難しい。
同じ勘違いをしていないだろうか?
事実は、事実を目にするまで気づかない(さらに悪いのは、見てもなお認めない層も一定数いることだ)。
本物のビジョン
彼女のすごいところは、自分がすでに生きていないだろう時分までの長い時間軸で、本気で達成しようとしているビジョンをひいていることだ。
こんな利他的な思考を、どうやったら持てるだろうか? 圧倒的な人間の器。とてもかなわないと思う。
注意深く見れば、FACTは目の前にある
国民に対する関心と愛なくしては、この観点に気づくことも、しっかりと観察することもできない。当事者として課題感を持ち、解決に向けて真摯に事にあたる首相の態度に、感銘を受ける。
失敗した時に必要なのは「犯人捜し」ではない
起こってしまったことを検証・分析するのは、解決につながる糸口を探るためであって、過失を責めるためではない(過失をきちんと裁くことが別途必要な場合もあるが)。逆に犯人捜しのようになるのが気まずくて、原因追求を曖昧にしがちになることもよくある。そういう時には「次に生かすために」という目的をきちんと共有することが大切なのだと思う。
平和をもたらすのは人と人の個人的な関係
心から共感するポイントだった。
個人的な体験としても、実際に触れ合う体験を介して異文化で育った人を直に知ることの必要性を痛感している。あの国の国民性は……あの国はああだから……そんな世間の流言飛語も、実際に自分が出会ったことのある人間に置き換えたら「そうではない」「そうとも限らない」と別な見方ができるから。
まとめ
記事のはじめに書いたように、心が熱くなるような瞬間が時折訪れるような読書でした。
それは、著者が出会った人たちを「〇〇人」のような括りでなく「〇〇さん」個人として交流し、その人たちから学び取る姿勢を一貫して示してくれているからだと思います(著者が病床で書いた本ということもあり、カミングアウトともいえる内容も含んでいるので、ますます身をつまされます)。
私は、どれだけ目の前の人をその人自身として正しく見ているのだろうか?
このストーリーに触れて、今まで出会ってきたすてきな人について書きたくなりました。
その話については、次の記事に書こうと思います。
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