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【読書感想】真田の具足師と幸村を討て!を続けて読んでみた

皆様、こんばんは。
昨日8日は亡き母方の祖父を偲びつつ、メンタルクリニックの通院と凪良ゆうさんの『星を編む』『流浪の月』や町田そのこさんの『夜明けのはざま』、望月麻衣さんの『京都東山邸の小鳥遊先生』、河邉徹さんの『流星コーリング』、最後に毛色が違いますが荒木健太郎さんの『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし 』の全てサイン本をいつもの紀伊國屋書店梅田本店さんで買わせていただきました…まだ積読と自身の調べ物の史料全然残ってるのに幸せの量だけ増やしてますね。

しかも、冲方丁さんの『月と日の后』文庫になってるの、ワンチャンサイン本出ないかな、などと厚かましく思ったのと、他に買う予定でいたつもりの本が初回特典あるけどサイン本じゃなかったため、うっかり失念してしまっていたので、うん。
寝不足もだけど最近の心身に似合わずキャパオーバーなことしてた反動だな。
などと思いつつお店を後にしました。

ちなみに、凪良ゆう先生の本が文庫本まで全部サイン本だったので、新刊以外でまだゲットできてない作品ある方は一度足を運んで見てもいいかもしれません。
たまにひっそりサイン本残ってる作品とかもあるから、本屋巡り侮れない。

さて、長い前置きはここまでにして早速表題の件、いってみましょう!

真田の具足師、とは武川佑先生が奈良の実在した具足師の岩井与左衛門を中心に戦国大好きな人なら多分好きだろう忍者や真田家の主君だった信玄公の話もチラホラと描かれています。
私は、この作品から具足師の仕事を朧気ながら知りましたが、もし家康が真田にスパイをしろ。と言い、与左衛門が一緒に潜入した相手が彼女じゃなければ、そして真田で出会ったあの人たちがいなければきっと初代岩井与左衛門は、主人公であり今とは異なる史実になっていただろう。
そして、家康に一矢報いるような赤備えなど作らなかった。そのことに史実と創作の妙を感じました。
また、1番最後に与左衛門が残した具足があの事件で使用される!という余韻がどこまでも真田信繁という男と源三郎という男を喪わせた徳川に最後まで抗おうとする彼の意志を見ました。
こうして見ると与左衛門の奈良で家を追い出され、自分の指では具足を作れない。
けれど、彼の知識が経験が周囲に影響を与え、大切な誰かを守る男へと成長していく物語を真田家と共に描いていることが楽しく、そして哀しかった。
きっとそれは滅びると知って尚、己の矜恃やそれまで犠牲になった人々の生き様をムダにしないと言う点に共鳴した信繁と与左衛門の魂の悲痛な叫びを見た気がしたからだと感じた。

一方、後日書く予定ですがほぼ数日違いで購入した今村翔吾さんの『幸村を討て!』を真田の具足師読了後すぐに読みました。
こちらは、連作短編のような作りになりつつ、間に兄 真田信之の幼い頃の信繁との回想などが挟まれる形とタイトルのイメージからは異なった雰囲気でした。
しかし、やはり今村翔吾さん!
実は真田幸村という名は公式な文書などでは未だに見つかっていないので、江戸時代辺りから知られた名だとか、もしかしたら大阪での戦いの時だけ名乗ってたのでは、なんて説もあるのでどう幸村と名乗らせようとするのか。
ここに、信之の回想や各関係者の視点で少しずつ真田の真の目的を暴いていく。
なんか、ちょっと歴史ミステリー?って思わせる要素がとても面白い。
特に徳川家康が内心武田信玄を恐ろしいと思うと同時に、憧れていたが故に、仕えていた真田昌幸へと羨ましさと嫉妬、など複雑な感情で見ている一方、息子の信之には父とは違い好ましく思っている。
それが次男坊で大した実戦経験もない幸村などと名乗る輩を当初軽く見ていたのに、背後に昌幸をあるいは得体の知れない何かを感じ恐怖し、大坂の陣が終わってからある話しを信之にして疑いを隠さない。

そんな等身大の人間らしい家康を通して見る真田家は、真田の具足師の時よりも残酷さは少なく、最後の最後まで真田に手玉に取られている人として描かれていることで、両者同じ真田家を中心に大坂の陣までを描いているはずなのに、一人一人の詳細なイメージが異なるから面白い。

本当は比較するような読書感想文など不愉快かとも思ったが、ぜひ真田好きには両方を読んで大枠の皆が考える真田家からは外れず、個々人の性格もある程度共通しているなのに、誰の視点で物を書くか、何を主軸として語るか、もちろん作家の作風もあるだろうが、それでも抱く印象が異なる不思議さを改めて語りたかったので、唐突に文章にしてみました。

まだまだ積読もあるし、時折気まぐれで読書感想文もあげるかもしれませんが、今回はひとまずこの辺で。

次回もまたどうかよろしくお願いいたします。


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