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最強のラテン音楽を求めて|ロマンティカが止まらない編|Liner-note

オレがコロンビア・サルサのファンなのは公然の秘密だ。そしてサルサ・ロマンティカ好きなのも公然の秘密だ。さらに、オレのラテン音楽フリークとしての活動期は1992〜2008年頃だ。

そうなると犯人は絞られた。マイ・フェイバリットはオルケスタ・インテルナシオナル・ロス・ニーチェス(以下Los Niches)とロス・ティタネス(以下Los Titanes)ということになる。

…まあそれはちと誇張なのだが、でも好きなのは確かだ。日本人で五指に入るだろう(市場が20人ほどだから…)。ただ、持ち歌全部を追いかけたことはない。甘ったるいから5,6曲でもお腹いっぱいになる。

ではLos Nichesから。名前からしてグルーポ・ニーチェの息がかかったバンドで、リーダーのハイロ・バレーラが1987年のサルサの都・カリのフィエスタの際に組成したバンドが母体となっている。トランペット奏者のファビオ・エスピノーサ/Fabio Espinosaとティンバレロのアレハンドロ・"ピチリロ"・ロンガ/Alejandro "Pichirilo" Longaを中心に、グスタボ・ロドリゲス/Gustavo Rodríguez、フリオ・セサール・オルドニェス/Julio César Ordóñez、エクトル・ビベロス/Héctor Viverosなどのボカリスタが在籍した。

1988年『Tocando Madera』でデビュー。2枚目の『Salsa Por Siempre』所収の“Si Supieras”や“Que Nunca Me Falte Tu Amor”のメロディが好きだ(曲の構成には若干不満あり)。どちらもボーカルは、ポパヤン育ちのグスタボ・ロドリゲス。特段の技術はなく、まさに歌謡曲レベルの繊細な歌声。これぞロマンティカ。数年間の在籍でソリストとなり、第一弾はそこそこ売れたんじゃないかなと思う(ダイアナ・セルナとのデュエット曲とかね)。

En vivoとあるがクチパクだ。エンディングあたりが謎の編集のビデオとなっているが、深く考えないでほしい。


Los Titanesのほうはだいぶ先輩で、結成は古く、1981年にアルバムデビューしている。バランキージャ出身の音楽プロデューサーで、ニーチェにも在籍したアルベルト・バロス/Alberto Barrosによって設立。サウロ・サンチェス/Saulo Sánchezをはじめ、その長い歴史のなかで悪くないボカリスタを迎え入れてきた。

背が低くポッチャリ体型で、どこかの芸人みたいなオスカル・ケサダ/Oscar Quesadaがオレのお気に入り。“Sobredosis”や“Zodiaco”なんかを顔をテカらせながら歌う姿がキュートで素敵です。なかでも“Por Retenerte”は珠玉。ロマンティカ時代ってこういう容姿とミスマッチのスイートボイス系ボーカルが君臨することも多く、なんかほのぼの感があるね。


ついでに、お隣のベネズエラからアドレセンツ・オルケスタ/Adolescent's Orquestaを追加注文しとこう。1995年デビューの遅れてきたロマンティカ世代、いや10代の女の子を熱狂させた若いボカリスタたちの振る舞いはアイドル系サルサだと呼んでよい。今回紹介の3バンドのなかでは最もオレとピークタイムが同期している。

セカンドアルバムの『Persona Ideal』は、すべてのトラックがトップ10入りする大ヒットとなり、一世を風靡した。その看板曲“Persona Ideal”を聞いてくだされ。歌詞が涙モノです。

サウンドの特徴として、トランペットがなく、シンセやバリトンサックス、バイオリンなど他のバンドにはあまりない楽器編成がみられ、テンポは軽快だが、厚みのある音ではなくラテン味は薄め。しかし、この手のアンサンブルを追随するフォロワーユニットが生まれたのも事実。

このバンドがベネズエラから出てきたのは驚きで、というのもオスカル・デ・レオン/Oscar d' León以外に目立ったサルセーロの輩出がない不毛の地だと思っていたんだよな〜。中南米をはじめ世界各国をツアーで飛び回り、日本での公演もあったらしいよ。


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