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最強のラテン音楽を求めて|もっと腰をフレディ編|Liner-note

昭和男子たるもの、そろそろハードサルサことSalsa Duraのことも書かないとな。いつまでもなよなよとサルサ・ロマンティカの話題ばかりじゃ、エディ・パルミエリの魂も浮かばれまい。

Salsa Duraはカタカナ表記はサルサ・ドゥーラとなって、なんかダサいのでスペイン語のまま書く。テンポを速めたダンス性の高いサルサのことさ。ブーガルー(ラテン風のR&B)やティンバ(キューバ発のハードサルサ)なんかも、Salsa Duraと親和性の高い言葉だな。

そもそもSalsa Duraは、NYのファニアレーベルから生まれたムーブメントといっても過言でない。サルサをデスカルガ(ジャム・セッションのこと)形式に適合させる過程の副産物だね。

じゃあバンドを紹介しよう。そう、Salsa Duraはボーカルよりもバンドの音楽性重視なのだ。


最初はお膝元のNYのバンド、スパニッシュ・ハーレム・オーケストラ/Spanish Harlem Orchestraから。デビューアルバムは2002年10月リリースだから、小生のなかではわりとニューフェイスなのだ。ファニア亡き後、「サルサ再建運動」を牽引してきたバンドだと書いてある。プエルトリコ系のオスカル・エルナンデスが結成。

ところで、スパニッシュ・ハーレムは、マンハッタンのイースト・ハーレムの一画で、NY最大のラティーノ・コミュニティのひとつ。イースト・ハーレムはプエルトリカンが多く、”El Barrio”とも呼ばれるらしい。

セレクトするのは「Salsa Pa'l Bailador」という迫力満点のリズム隊とブラス・セクションのハーモニーがここちよい一曲。


続いてはソノラ・カルセーレス/Sonora Carruseles。コロンビアのメデジンで1995年に結成された人気バンド。彼らもまたイケイケです。コロンビアらしいスピード感と、曲によっては下手すりゃ田舎臭いアレンジのトロピカル・サウンド。それでいて踊りやすいと定評がある。

carruselesというのはメリーゴーラウンドのことらしい。なつかしのカルーセル麻紀も同語で、この場合は勤めていた店の名前からとったもの。その名に違わず、めくるめくアンサンブルでダンスフロアをハイにする。

数あるレパートリーのなかから「Arranca En Fa」をお届けしよう。彼らの曲はあまり歌詞に力を入れてないような気がするな。


ニューヨーク、コロンビアと来たら、トリはプエルトリコで締めてもらおう。エル・グラン・コンボ/El Gran Combo(de Puerto Rico)に。なんとまあ、1962年創設の老舗サルサ・バンド。当然メンバーはときどきで入れ替わり、都度都度で著名なサルセーロを輩出してきた。ロベルト・ロエナ(ボンゴ奏者)、アンディ・モンタニェス(ボカリスタ)らはバンドを卒業後も大活躍した。「サルサの大学」という異名はだてではない。

1926年生まれ、コルティーホ楽団出身のバンマス、ラファエル・イティエールが奏でるピアノに重厚なホーンが絡む。彼が幼かった頃、プレーナやボンバのリズムとヒバロの精神が常に身近にあった。これだけの歴史があるのでメンバーが故人になるのは右肩上がりだが、どうやらバンマスはご存命のようですよ。

硬軟おりまぜた数々の勝負球のなかから、2001年の「Me Liberé」を傾聴しましょうよ。すごく楽しそうに歌ってるよ。あいつと別れてせいせいしたぜ的な内容の歌詞だが、人生のいろんな場面で応用が効くという意味では、憂歌団の「出直しブルース」と双璧をなすのだ(小生の場合はね)。

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