ピンクサーモン色の孤独~カフカ『変身』を読んで~
"ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目覚めたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。”
俺たちは自分の信じたいものしか信じないし、自分たちが美しいと思いたいものしか美しいと感じられないし、自分たちが目にしたいと思うものしか見ることは出来ない。
その結果として、それぞれの性格や感性、そして時には芸術を作ると思う。いや、そう信じている。
けれど俺はそれについて考えると、どうしようもなく不安になる。はたして俺は目の前の人々やものごとを、一体どれほど捉えることが出来ているんだろう。例えば、目の前に100点満点限りなく100点の絵画というものが存在するとしたら、どれほどの点数を自分は付けることが出来るだろう。どれだけの点数分の秘められた感情や鮮やかさを認めることが出来るだろう。
これらは俺をどうしようもなく俺のことを孤独にさせる。そして孤独の最も厄介な点は、誰にも共有出来ないということだ。
だから僕たちには言葉や文字が残った。朝起きた時、醜い毒虫になっていない限りは。
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