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プロの漫画から学ぶ漫画の描き方7

※この勉強法は劇薬です。

もの凄いしんどいです。

時間もかかります。

初心者には早すぎる勉強法です。

最低でも視線誘導を意識したり

コマの中の情報量を調節したりしながら

漫画を製作してる人でなければ

ついていけません。

その上

ぼくは丁寧に教える気がありません。

それでもいい人は覗いていってください。



まずやることは

プロの漫画を軽く模写することです。


売れてる作家

上手い作家

自分の目指す作家

どれか参考にしたい漫画を選んでくださいね。


ポイントは長期連載してるものより

読み切りのほうが良いということです。


読み切りは

1話完結なので長期連載より作り込まれていて

作家の技術がふんだんに詰まっています。

あとは

新人時代のものより

連載を経験したあとの漫画のほうがいいです。

どの方も

新人時代よりはるかに力をつけています。



第7回です。

今回は5ページ、5コマ目です。





5ページ

5コマ目 


コマの中の情報は

「ふきだし」「執事の顔」「窓枠」「外の建物」


視線誘導は

「ふきだし」→「窓枠」→「外の建物」→「執事の顔」の順。


コマの形は横に長い四角形。
このコマの形が、視線誘導を補助する役割を果たしてもいます。


そしてこのコマは、3つの切り口から3つの要素を分類分けして構築されている多重構造のコマでもあります。


まず1つ目の切り口は、このコマは3層の階層で構築されているということです。

1層は「執事」と「ふきだし」
2層は「窓枠」
3層は「外の建物」


なぜこんな構造にしているのかと言えば、それは6コマ目との連動を意図しているからだと考えられます。

これについては次の6コマ目で述べようと思います。


2つ目の切り口は、このコマは窓枠によって3分割にされているということです。

大まかに分割内容を説明するとこうなります。

「ふきだし」のある窓枠
「外の建物」のある窓枠
「執事の顔」のある窓枠



3つ目の切り口は、3分割された窓枠の中にある3つの情報(絵)です。

「ふきだし」
「外の建物」
「執事の顔」


これら全てを統合すると以下の通りになります。

「1層目」の「1つめの窓枠」で区分けされた「ふきだし」
「3層目」の「2つめの窓枠」で区分けされた「外の建物」
「1層目」の「3つめの窓枠」で区分けされた「執事の顔」


これら3つの切り口3つの要素から、このコマは成り立っています。

合計9つの情報。

これはマジカルナンバー7±2(ミラーの法則)にしたがって作られた仕掛けだということが伺えます。

マジカルナンバー7±2(ミラーの法則)
マジカルナンバーとは、人間が瞬間的に保持できる情報の数は「7±2」であるとするもの。アメリカのハーバード大学の心理学者、ジョージ・ミラー教授(George Armitage Miller)による1956年の論文「The Magical number seven, plus or minus two」で登場し、人間が短期記憶に保持できる情報の数は7±2(7を中心としてプラスマイナス2、つまり5~9)であることを主張していると解釈されることが多い。認知心理学の研究の先駆けとなった。「マジカルナンバー7±2」「ミラーの法則(Miller’s law)」とも呼ばれる。
短期記憶とは人間が瞬間的に保持できる記憶のことで、数十秒しか記憶されず、また情報の容量の大きさにも限界がある。ミラーは、保持する情報の単位を「情報のかたまり」として「チャンク(chunk)」と呼び、短期記憶で保持できるチャンクは「7±2」であるとした。ただし該当するのは日常的なものに限定される。


シマウマ用語集

窓枠を7±2に仕切ってあるのも、これを意識してのものだと考えられるのではないでしょうか。

ただ真ん中の3つの仕切り(1つは隠れてるが)が、大きく縁取られてることが気になります。

こちらの方はマジックナンバー3を引用しているのではないかと思います。

人間は「3」という数字に対し、安定していて丁度いい、という感覚を持つとされる。
マジックナンバー3の法則では、物事の説明をするとき、具体例を3つ挙げると説得力が増すとされ、これは2つだと乏しい・足りない、4つでは多すぎる、3つが丁度いいと感じる人間の心理傾向があるためである。

ENGINE

上で述べた3つの切り口と、3つの要素もこれに倣っているのだと考えられます。

3つの要素3通り揃え、計9つの情報で構成されたのが、この5コマ目の特徴です。


次は、視線誘導についてもう一度詳しく掘り下げたいと思います。


流れとしては

「1つめの窓枠」→「2つめの窓枠」→「3つめの窓枠」です。



「1つめの窓枠」

まず導入部分は「ふきだし」で、中の言葉は「左様でございましたか」となっています。

ここで疑問に思うことがあるのですが

左様で
ございました

です。

なぜこの並びなのでしょうか?


1行目

はじめの言葉の数は3つ。

これはマジックナンバー3を、引用しているのだということが考えられます。


2行目

次の言葉は、ふきだしの1番下まで。

そしてすぐ下には窓枠。

さらに2つの窓枠の中心のラインがすぐ左側にあります。

これは「1つめの窓枠」に「左様でございました」を収めたことになるのではないでしょうか。


3行目

なぜか「か」だけが、最後に1つだけあります。

よく見てみると、これは2行目で述べた「1つめの窓枠」のラインを超えているのが分かります。

つまり「2つめの窓枠」の中に掛かったことを意味しているのです。

そして、すぐ左隣に窓枠があります。

これが視線誘導の役割をしてくれています。

方向は左の真横。

これができているのも「か」が1つだけだったからです。

窓枠と同じ高さにあるから、スムーズに視線誘導ができたと考えなければいけないでしょう。

もちろんこれは計算して、配置したものだと考えられます。


次は「ふきだし」の外です。

「ふきだし」の下に、ほんの少し外の景色が見えています。

これはふきだしの言葉と、外の景色を同時に視認させることが目的だと思えます。

これは、5コマ目の全体を見たときの印象と、「1つめの窓枠」を見たときの印象に差異を感じさせないようにしているのではないでしょうか。

揃えることで、不快感を与えないようにしていると考えられます。


「2つめの窓枠」

「ふきだし」が若干はみだして、侵入してきていることに注目しなければなりません。

これは見方によっては、ドロステ効果に見えなくもないです。

ドロステ効果とは?
ドロステ効果とは、1枚の絵の中に、それと全く同じ小さな絵が描かれ、それが繰り返されていく特殊なタイプの絵を指します。このシュルレアリスム写真の効果はミザナビームと言う言葉でも表され、大きな画像のレプリカを、その画像自体の中に組み込んでいます。小さな画像の中には、それと同じですが更に小さな画像が組み込まれ、その中には更に小さな画像が組み込まれ、それが永遠に続いていきます。

ドロステ効果で異次元の世界へ



5コマ目の中で、唯一すべて見えている縦の窓枠に注目してもらいたいです。

その右側すべてを含めた絵と、「2つめの窓枠」の中の絵は、同じ構造をしているのではないのでしょうか。

これがドロステ効果に見えなくもない理由です。


視線誘導に関しては、上部の横の窓枠に沿って誘導されます。

そして、そこから下の建物へと視線が誘導されます。

その後、建物のシルエットに沿って、右斜め下に誘導。

最後は、下部の横の窓枠のラインに沿って、左へ。

これは、「2つめの窓枠」の中の絵で1度視線を止めさせて、この絵に仕掛けられたドロステ効果を見せることが狙いなのではないかと考えられます。


「3つめの窓枠」

視線誘導は「下部の窓枠」「執事の顔」「外の建物」です。

外の建物は執事の顔との対比で、パースが成り立っているように見えます。

そのため、あたかも遠くの景色を見ているように感じます。


執事の頭部の上に若干の空間が空いているのは、次のコマへの視線誘導のためだと考えられます。

もう1度はじめから述べたいと思います。

「下部の窓枠」「執事の顔」「外の建物」→「縦の窓枠」→「上部の横の窓枠」→「執事の頭部のライン」→「6コマ目」

です。


今回はここまでです。

お疲れ様です。

ありがとうございました。


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