見出し画像

[詩]2023/山の蕾

山の麓ですら

もくもくと煙が上がっていて

その煙がそのまま雲になって

ジリジリと地面の音が響き渡っている

雄大に駆け回っているあの馬たちは

この災いを知らぬ

雲になった煙がそのうち雨を降らせる

その激しい雨が

地面にいる無数の虫たちを踊らせる

馬はひっそりとその場で立ちすくんでいる

何てことだろう

私たちは風雨にさらされるとすぐに

人工的なものに隠れたがるのに

自然は無駄なことなど一つもない

例えそれが気の遠くなるような長い時間だったとしても

雨が上がったあと

私は岩の上に立って

暫く流れる時間と、

佇む自然と、

一緒に過ごしてみた

その瞬間、私は自然と同体であった

なんて、気持ちの良い時間だったのだろう

自然と一体になる時間がこの世で一番尊いのだと

悟ったのであった。

そこに我はいなかった。

ただ、皆と生きているんだという実感を

深く心に刻み込んでいたのであった。

そして、今日も

失われた自然を求めて…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?