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乳がんアラ還 急浮上

顔を洗って日焼け止めクリームだけ塗り、アイブローで眉位置だけ明記し、タクシーで20分、外来に到着。主治医の外来日だけれど、予約外受診になるため、いつ診てもらえるかわからない。
次の抗がん剤投与はもう・・・と主治医にどう伝えようかと何度も予行演習はしたし、こんなに体が痛いのに誰も説明もなく、主治医は鎮痛剤も提案しなかったことに不信感が残る。待ち時間が伸びるごとに恨み節も比例して・・・と思ったら、座って10分で診察室に呼ばれた。

『そんなに痛い?』と私の顔を覗き込みながら主治医は苦笑している。『笑い事じゃないよ~』と半べそになる。『ごめんごめん』と主治医はさらに笑う。
正直こんなに痛みが出るひとは初めてですと言われ、事前に鎮痛剤を処方されなかったことに納得する。どうも私は特別だったらしい。2種の鎮痛剤を処方される。
これで、鎮痛剤入れの底が見えてきた不安から解消。アイテムを手に入れただけで、安心した。気持ちの問題か。

すぐに対応してくれた外来の予約外担当さん、ありがとう。予約外枠に詰め込んでくれた看護師さん、ありがとう。予約外で早々に診てくれた主治医、ありがとう。

4日ぶりの外。今日初めて、空を見上げる。前から気になっていた病院前の昔ながらの喫茶店に入店し、カウンターに腰かけてコーヒーを注文する。コーヒーは、昨日から雪平鍋で煮込んでいたんですね、という味だったが、ありがたく思う。

春の日差しのせいか、ゆっくりなら、どこまでもどこまでも歩けそうな自分の足取りに戸惑う。もうええ、思っていたことも、まだいけると思える。

歩行器のおばあさんの後をゆっくり、丸太町通りを西に向かって歩き始める。
どこまでいけるやろ。

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