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わたしの名前

わたしたち夫婦は他の夫婦とちょっとだけ違うことがある。
ほんとにちょっとだけ。
夫であるわたしが結婚してから妻の性を名乗っている。

いわゆる婿養子的なことではない。
ちなみにわたしは姉が一人いる末っ子長男で妻は弟がいる長女。
何かしらの事情に迫られて苗字を変えざるを得なかったなんてことでもない。

ただ、自分が変える方がわたしたちには合っていると感じたからだ。
とカッコつけた言い方で澄ましてしまうこともできるが、同棲の際に
私が妻が賃貸中のアパートに引っ越して、生々しい話妻の方が収入も多い。
郵便がくると大方私が対応するので、妻の性を名乗ることが多かった。
そんな状況で自分の姓を妻が名乗ることがいまいちイメージしづらかったといったところだろうか。

一応私からこの件に関しては提案させてもらった。
妻は私からの提案になぜか大笑いしながら受け入れてくれた。
面白いことを考えるねと。なぜあそこまで笑っていたかは未だわからないが…。
とはいえ、一緒に諸々の名義変更の手続きにいったり、人とは違った自分たちらしい形といういい意味での自意識がわたしたちの絆を深くしているとは思っている。
そんな大層な人間ではないが、我ながら世論に流されずいい選択ができたなと誇りに思っている。
(色々な方がいるので男性側が苗字を変えるべきという話ではない念のため)

とはいえ、地方ではそういった選択は若干首を傾げられる。
あー婿養子ってことねとわかってもいないのに納得したフリをされたり、
なぜか大変だったねと言うような憐みの目で見られたり。
別にいいのだが、役所から「妻の氏にマークが入ってますがこれは間違いではないですか?」とわざわざ電話がかかってきたときはさすがに呆れてしまった。万が一のためにということでマニュアル化されているのだろう。多少同情する面もあるが、逆のパターンではそんなお伺いは立てないだろう。

何が言いたいかというと、夫婦の姓の問題くらい話し合えばどうとでもなるということだ。
もし、女性側が自分の苗字気に入っているからそのままにしたいなという思いがあるならそれを伝えてみてもいいと思う。
男性側も相手が自分の姓を名乗ることを当然だと思わないでほしい。
経験したから言えることだが、苗字を変えたからといって別に世界が終わったりはしない。
それよりもおめでたい新たな人生の門出の日にちょっとしたしこりが生まれたまま放置される方が怖いことなのではないだろうか。

男なのに苗字を変えました!がアイデンティティにならないくらい、これからの未来が先鋭化していけばいいなと思う。

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