【掌編小説】ジャイアントキリング
「それで、一度は断ったんだけど、『取引先との人脈作り』とか『社員間の結束の強化』とか『俺達には君の応援が必要』とか言われちゃうと、新人としては嫌とは言えなくてね……」
12月も半ばに差しかかる頃、大卒後就職1年目の私は、マンション隣室に住む高校3年生の町田哲司君宅に上がり込み、職場のフットサル会の応援に参加させられる愚痴を溢している。
私達の両親は共働きで、哲司君が引っ越して来た7年前から、どちらかの家で一緒に勉強したりゲームしたりして過ごしたものだ。家族ぐるみで交流し