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ランチ酒 原田ひ香

登場してくる食事、酒の描写が素晴らしい。
グルメを楽しみたくなる物語。



大都会、東京の喧騒や臨場感も溢れ、今やまっ昼間から飲めるお店も増えて、タイトルから休日のお洒落なランチを楽しむストーリーかと思いきや、切なさや哀しさが漂い、読後はガッツが湧き、生きてくことに貪欲になれる、とても読みやすくて面白かったです。

深夜の見守りを生業とする主人公の祥子。
見守りと聞いて看護や介護を想像したが全く予想を外れた。
何か怪しいカウンセラーのような仕事でもなく、一定の距離感を保ちつつも依頼人の悩み事を聞き、己の葛藤や人生観と重ねながら会話をしていくシーンは圧巻。
繊細でありながらも力強さや勇気をもらえます。
主人公祥子の逞しい人間力が素敵です。
短編が進むにつれ彼女自身の状況も進み、無常感でなく前に展開していく変化も胸に迫りました。

バツイチの祥子は一人息子を元夫にとられモヤモヤと何かが燻り続いてる。祥子の内面の葛藤、特に短い恋愛期間を経て抗いようのなかった流れも含めて共感するところもあった。
元旦那は同じ男として許せないやつだ。
この辺りの描写にも掴まれました。

夜中限定の深夜の仕事を終え、真っ直ぐに家に帰りたくない祥子が背徳感や贅沢な気分を満喫しながらの食事と酒のマリアージュ。

食べることはとても楽しくて生きることだと!
明日に向かって生きてやる!

シリーズ物で続編があるので楽しみに読みたい。
また好きな作家さん、作品が増えました。


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