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ウェイン・ショーター死去/『Adam's Apple』より〝Footprints〟

 突然のウェイン・ショーター死去の報にふれて、やはり何かを聴きたいという思いにかられた。メッセンジャーズ、マイルスグループ、ウェザー、それらを縫うように存在するソロ……ショーターの遍歴はジャズがエレクトリック化しフュージョンを準備する流れとがっつり重なるものなので、どの時期を選ぶかで「その人にとってのショーター」が浮き上がる。そういう意味ではマイルスと並ぶくらいに「ジャズというジャンル自体みたいな人」だったんだなあと改めて思う。映画『ブルーノート・レコード』は、そんなショーターに対するミュージシャンたちの尊敬の気持ちが、画面越しに伝わってくるものだった。

 ……そういう御託は抜きにして、たんに自分のいちばん好きなショーターはなんだろうと考えてみる。マイルスグループから『マイルス・イン・ザ・スカイ』を選ぶとか、ウェザーで一番好きな1枚目にするか、とかいろいろ考えたけど、自分にとってのショーターはたぶんこれだろうと、『Adam's Apple』をかけている。
 ショーター作曲の〝Footprints〟はマイルスのクインテットでも演奏されているけど、こっちはなんていうか、やっぱりブルーノートっていう音の肌合いがあって、それがこの曲想を、寄り道なしに、まっすぐに届けてくれる感じがする。ハービー・ハンコックのピアノも文句なしに素晴しい。
https://music.apple.com/jp/album/footprints/715539054?i=715539172

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