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映画「異人たち」のこと。

【昨年の秋、映画祭で観たときの感想】

誰にも言えない喪失感を抱えながら、ひとりで生きることの寂しさに苛まれ、圧倒的な孤独感に押し潰されそうなとき、この映画がひとつの救いになるかもしれない。

主人公が抱えている心痛のひとつひとつを、美しく幻想的な映像とともに、丁寧に解きほぐしていくところがとても映画的で素晴らしかった。この先の人生で、もう一度観たくなる日が必ず来ると思う。

1回目を観てから、山田太一さんの原作本も読んだんですが、まさに“夏の夜の夢”と言った感じでとても良かった。


【劇場にて、2回目鑑賞後の追記】


ひとりぼっちは寂しいけど、他人と関わるのは怖い。誰もがこの2つの感情に、襲われ、囚われ、そして打ちのめされながら生きている。大切なのは、「怖い、寂しい」と誰かに伝えることであり、「I know(知ってる)」と言ってもらうことなのだ。寂しいのは自分だけじゃないと知るために。

2回目の鑑賞だと、主人公の喪失感や孤独感だけでなく、ハリーや両親が抱えているそれぞれの痛みや悲しみも伝わってきた。ただ、それと同時に、彼らの主人公に対するやさしさや愛情までも丁寧に描かれているところが、この作品の素晴らしいところだと思う。

窓からの景色、エレベーターの鏡、車窓、窓越しに見える両親の姿なども印象的でした。

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