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あのたび 番外編-シェアハウスで暮らすという選択-


 人口が減少しつつある日本において、東京への若者の流入は増え続けている。その若者がまず困るのは住むところを決めることとその資金だ。

 一人暮らしをしようとすると初期費用に敷金1~2ヶ月、礼金1~2ヶ月、仲介手数料1ヶ月など、家賃が6万円だとするとおおよそ30万円かかる。それに加え家電をイチから揃えねばならず恐ろしく金がかかる。連帯保証人も必要だ。

 大学に合格して上京し、親から支援してもらうという場合は問題ないだろう。そうではなく夢を求めて家出同然に東京へ来たという場合はどうしたらよいだろうか。

 東南アジアを1年1周して沖縄から日本を縦断しながら東京へ帰ってきたボクがまさにそれと同然の状態であった。親にも内緒で海外へ飛び出したので疎遠になっており頼るわけにはいかない。残りの貯金は10万ちょっとしかなかった。

 そこでシェアハウスという選択肢がある。ということを旅行中に旅人から聞いた。令和の現在ではかなり広まったので知っている人も多いが20年前の当時はほとんどなかった。4、5件の会社がシェアハウスを運営している程度であった。

 シェアハウスとは簡単に言うと、一軒家に数人で一緒に住むというものだ。家そのものは運営会社が借り上げていて各部屋に鍵をつけて一ヶ月数万円で貸し出すというものだ。

 借りる側から見てシェアハウスの利点は、初期費用が圧倒的に安いということだ。1ヶ月分の家賃と1ヶ月分のデポジットを払いさえすればもうそこに住める。連帯保証人も必要なく緊急連絡先だけあればよいという物件も多い。キッチンやトイレ、シャワー、洗濯は共同だが、たいていは個室にベッドが付いており、文字通り・事実上、何も買い揃える必要がないのだ!

 着ている服とスリッパだけあれば、もうその日から住める!これはうれしい。(※月々の家賃は通常の一人暮らしと比べ安いわけでもない)

 問題は、全く知らない人たちと暮らすことになるという点だ。しかしボクは東南アジアのドミトリー(相部屋)で暮らしていた経験があるので誰が住んでいても特に気にはならなかった。むしろ外国人などと交流もできて楽しかったりもする。実は今現在もまた違うシェアハウスで暮らしている。慣れると楽だ。

 ただ注意点もある。シェアハウスも運営会社によっていろいろなので事前によく聞いたほうがいい。

・洗濯やシャワーがコイン式という場合がある(無尽蔵に使用されては水道代がかさむという事情や、一人のシャワーが長すぎてなかなか空かないという状況に対応するため) ⇒ 個人的には両方ただで使えるほうが望ましい。

・掃除は誰がするか? ⇒ 外部の業者が週イチで共用部分を掃除などという形式が多いが住人任せなところもある。そういうところはとにかく汚くなりがち

・外国人が住んでいるか? ⇒ 日本人のみの方が安全ではある。一応日本に興味があり暮らしているのだから日本語は多少話せるだろうが全く話せないという人もいる。文化の違いによるトラブルはよく発生する

・友人の宿泊は可能か? ⇒ 防犯の面からNGの場合が多い。事前に申請や周知すればOKというところもある

・ネットは繋がるか? ⇒ 令和の現在では、ほぼすべてのシェアハウスでフリーWiFiが使える所が多い。がみんなが夜にYoutubeや動画を見ると速度がかなり遅くなることがあることは考慮しておいた方がよい。ネット対戦ゲームは難しいかも

 以下、20年前の当時東京へ到着したばかりの自分の日記が残っていた。

 シェアハウスもいろいろで、マンションをぶち抜いて作られた4階の2段ベッドの下で寝ることにした。プライバシーはないがバイトをみつければとりあえずは生活できるという状態であった。
 とにかく変な人が多かった。普通の生活では出会うことのないような方ばかり。今は何をしているのだろうか、現在もつながっている人はいない。

以下当時の日記↓

  2004年3月21日(日)
 前日、前の会社の同期Wの部屋に泊まらせてもらい、旅行の途中で聞いたオークハウスというシェアハウス(南大塚)を下見に行った。他に当てもないので即決。一度荷物を取りに帰りシャワーを使わせてもらって、置手紙を残してW家を去る。日吉は長年通った定食屋しっぽとらがなくなっててショック。旅行前に「あいのり」を薦めてくれた行き付けの美容師さんを探したが見つからなかった。
 相部屋2段ベッドの下段ではあるが、ともかくも住居が決まり、約一年一ヶ月に及ぶ長い放浪生活を句点を打つことになった。
 入居に際して聞いた質問は以下の通り。事実なのでここで書いても問題ないだろう。むしろシェアハウスとはどんなものか知りたい人の役に立てれば幸いだ。場所によって少しルールは違うところもあるので参考程度に。

■タバコ:ベッドルームは禁煙。ラウンジやキッチンは喫煙可
■掃除:不要。ある住人が管理人と金銭契約し週一で行っている。ゴミ出しも同様
■友人の宿泊:住人の知人であれば特例として一泊2300円で可。見学は自由
■駐輪場:スペースが少ないので厳しい。自己責任でとのこと
■荷物:鍵付ロッカーとクローゼットがある。自分のッドの周囲ならOK
■家賃:光熱費込三万八千円。契約日から1ヶ月ごとに支払う。退出は一週間前までに報告
■ネット:ラウンジに一台使い放題。他に各部屋にハブがあるのでPCがあれば無料で使い放題。無線LANも可能。サポートはしていない
■住人数:3F男20人女8人、4F男18人。外人多少
■シャワー:各階に1つ。コイン式100円で15分。近くに銭湯400円
■トイレ:各階に2つ程度
■洗濯:コイン式1回200円
■乾燥:ベランダ有り。近くのコインランドリーに乾燥機有り
■布団:支給される。シーツは各自で洗濯
■TV:ラウンジではCATVが見られる。各部屋に地上波は来ている
■冷蔵庫:自由に使用可能

 パブリックスペースでのタバコ可はかなりキツイ。ほぼ全員吸うので煙いし服ににおいがつく。シャワーと洗濯くらいただでさせてと思うのだが、「好きなだけ使えるとなると長時間占有する人がいるので他の皆の迷惑になる」からだそうだ。
 とりあえず初日。どんな人がいるのかと少し不安もあったのだが、夜にいーじまさんが美味しい日本酒やウイスキー、魚をあぶったつまみなどを提供してくれ、とりあえずなじむことができた。ありがとうございます。代わりに99円ショップで足りなくなったつまみを購入してきました。お互いシェアの精神は大事です。

住人紹介
いーじまさん
 訪問初日のボクにおいしいお酒を振舞ってくれる優しい青年。物静かだがバニーキャバクラで働いているという。4月4日惜しまれながらも退出。同じオークハウスのたまプラへ。シングル部屋がいいとか

みきさん
 坊主で眼鏡の同年代。野球とくに高校野球に詳しく、珍しくも日本ハムファン。

アビちゃん
 カリフォルニア出身の高校生?日本語ペラペラで頭の回転が速い。ラウンジを潤す数少ない女性の一人だったが4月3日大学のために帰国。

ミルコ
 ドイツ人。京都観光をして出戻って来た。あまたの日本女性を手にかけたのち春の訪れとともに帰国

もとさん
 マイナス志向の雄弁家。思わず耳を傾けたくなるほど話がうまい。ある意味ココのまとめ役でもある。世界一周旅行をしたことがあるらしい。

ぶるうす[=自分]
 職無し金無しの暇人。パソコンに詳しいらしい。タバコ嫌いを主張したため浮いた存在となりつつあるが、最近はけん玉で名誉挽回を狙っているらしい。

中村さん
 ココにいる時点で人間終わっていると悟る。何かいい話はないかと常に聞き耳を立てている。前の彼女のまずい料理に辟易し別れたらしい

西さん
 世界中を駆け巡り、日本のバブル天国と外国でだまされのっとられた地獄を経験する。陶芸家。宇宙の神秘について大学で研究しなおそうとしている
小林さん
 3階の掃除を請け負ってくれる紳士的な方。タバコの件で険悪な関係になってしまったのをボクは修復したいと願っています。

金子さん
 パチスロの検査バイトをやりつつ、外国へ行く金を貯めている。イスラエルへ行く予定だったが不穏なため次の候補をさがしているらしい。XBOXのゲーム「ヘイロー」の腕は1級品。治検バイトで精神的体力的にずたずたになった経験がある。

高橋さん
 タイに1年通ってタイ語ペラペラなハンサムガイ

ともみちゃん
 30歳を越えてるという噂がある美女。ノリがよく王様ゲームでキングになったとき、「全員私とチューをする」との命令を!もちろんボクも…

せちさん
 ボクの上の二段ベッドに寝てる方。出版関連のお仕事をしている。もの書き印税生活を目指すものとしていろいろノウハウを学ばねば。

ゆうすけくん
 オーストラリア二年留学後帰国。英語関連の仕事を探している。映画通

2004年3月21日の日記より

とりあえず東京へ、と考えている若者の参考になったらうれしい

ボクが利用したオークハウスはこちら↓

全国のシェアハウスを取り扱っているサイト↓


東南アジア一周ルート


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