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その300円、どう使う?

子どもの頃よく親にゲーセンに連れて行ってもらった。
ゲーセンに行くと母親から300円を支給される。
「これで自由に遊んでこい」という意。
この300円を何のゲームに使うのかを子どもながらに考えるのが楽しかった。

私はまず弟や父親など誰か相手をしてくれる人がいる場合、エアホッケーを好んで遊んでた。
ストレートだったりジグザグだったり、円盤が机上を猛スピードで動くのが好きだった。
まずは100円を体験型ゲームで使う。
その次は記憶が曖昧だが、ポケモンのポスターが出てくるガチャみたいなものをよくやっていた。
これは確か100円を入れたら絶対にポスターが貰えるゲームだったと思う。
親は「部屋に貼るところがないよ」と言いながらも、貼り換えをしながら新しく手に入れたポスターを部屋に貼ってくれた。
ここで100円は必ずアイテムが手に入るものに使う。
最後の100円はメダルゲームに使っていた。
100円で遊べるゲームを増やすという感覚だった。
このあたりのお金の使い方は子どもの頃から計画的だったなぁと思う。
その人の性格が出る。
直感的に使うタイプ、考えてから使うタイプ。
私も弟も考えて使うタイプだったと思う。
父親がいるときは追加で100円をくれたりする。
支給金がなくなったとき、どう父親に財布を開かせるかが私達の課題になる。
あーだこーだ言いながら父親をやりたいゲームの前に誘導し、お金を出してくれるようにおねだり。
父親はアミューズメント施設に行くと少し気前がよくなるタイプだった。
当時は何を考えているか分からない父親だったが、おそらく子どもを喜ばせたい気持ちは、それなりにある人だったのだと今になって思う。

そんな感じで私と弟が遊んでいる横で母親はクレーンゲームで遊ぶことが多かった。
母に関しては300円という制限はない。
気づいたら1000円以上ゲームに課金している。
当時のクレーンゲームはそんなに渋い設定ではなかった。
アームの掴む力も弱くなかったし、まぁ頑張れば取れるレベル感だった。
母も当時のレベルで言えば上手い方だったので、私の家はプーさんのぬいぐるみで溢れていた。
子どもながらに横で見ていてびっくりするぐらいゲーセンで課金することもあったので、今思えば母のストレス発散方法のひとつだったのだと思う。
今の時代なら、スマホゲームにハマると課金して後には引けなくなるタイプの人だなとは思う。

ゲーセンで思い出深いのが、クレーンゲームでケーキが取れるという専門のお店が流行ったとき。
テレビでケーキをクレーンゲームでゲットしている光景を見て衝撃を受けた私は母親をけしかけて連れて行ってもらった。
ケーキ専用のパッケージ(スーパーなどで売っているケーキのプラケースをもう少し固くした素材)にケーキが入っており、冷蔵機能付きクレーンゲームの中に並べられている。
崩れる心配はなかったし、衛生面も安心・安全らしい。
持って帰るときは保冷バッグももらえた。
コツをつかむまでが難しかったが、慣れてきたら家族分のケーキ+αぐらいは手に入れることができた。
まぁぶっちゃけ普通にケーキ屋さんで買ったほうが安くは済むのだが…。
クレーンゲームでケーキを取れるというエンタメが当時は珍しくて楽しかった。
私が行ったその店は今は閉店している。
テレビで宣伝された直後は物珍しさでお客さんがたくさん来てたが、一回行けば満足してしまった。
そう思うとビジネスって大変。
奇をてらった変わった物を作っても、最初は物珍しさで来てくれるお客さんが、リピーターとして次回も来てくれるとは限らない。
そういう意味では専門店として特化するよりは、分かりやすいサービスで勝負したほうが勝てるのかなぁと素人は思うのだった。

最近はゲーセンに行くことが全くなくなったが、たまにメダルゲームはしたくなるときがある。
メダルで積まれたタワーとか壊しに行きたい。


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