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樋口有介「ぼくと、ぼくらの夏」(高校生コンビの青春ミステリー)

樋口有介の「ぼくと、ぼくらの夏」が創元推理文庫から再版されるということを知り、読み返してみました。

「ぼくと、ぼくらの夏」は映画<コットンクラブ>が上映された1985年の高校生の夏休みが舞台。同級生の自殺に不振を持った的屋(ヤクザ)の娘(麻子)と、警察官の息子のぼく(主人公)の二人が、事件を解明する青春ミステリーです。
父親と麻子の母親との昔の関係や、美人の担任教師とのやりとり、自殺した少女の中学生時代の交友関係などの話を織り交ぜながら、ストーリーが展開します。

本書は1988年のサントリーミステリー大賞の読者賞を受賞した作品ですが、私が読んだのは文庫本になった1991年頃(30年くらい前)だと思います。

今回読み返してみて、今の若者はどう感じるかはわかりませんが、おじさん的にはあまり古さを感じませんでした。ただ、話の最後の方はぼくが一人で行動した話が中心となってしまい、相棒の麻子が出てこないのはちょっと残念な感じがしました。

文庫本の帯のユーモア推理というのは、ちょっと違う感じがしました。主人公の語り口調にやや違和感をもつ方もいるかもしれませんが、読みやすい青春ミステリー小説だと思います。

このような感じのミステリーが好きな方は、米澤穂信の「春季限定いちごタルト事件」から始まる小鳩君と小佐内さんのコンビの<小市民>シリーズもお薦めです。


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