生後6日目、妻の退院に合わせて帰省して、初めてわが子と対面した。 病院のロビーで妻の腕に抱かれていた娘は、写真で見ていたよりもずっと小さくて、ずっと可愛かった。 それから十日間、妻の実家で初めての育児生活を過ごした。 娘は、「ふごー」とどこから出ているか分からない声を出したり、気分が良いと「ほー」と口をすぼめてみせたり、げっぷのために担ぐと眉間にしわを寄せておじいさんのような顔をしたりと、色々な仕草を見せては笑わせてくれた。 そのほか、毎日のように顔の印象が変
出産予定日から11日が過ぎて、ついに、夫婦二人の娘が誕生した。 妻は里帰り。入院先の病院も面会禁止のため立会いもできず、東京から応援することしかできない出産だった。 出産前日の夜、妻は誘発分娩のための飲み薬の影響で、前駆陣痛が小刻みにやってくるようになっていた。妻は痛みで声が漏れるということで、一人部屋(陣痛室)を使わせてもらっていた。深夜に妻と電話をした。時折声を上げて痛がっており、聞くだけで可哀想に思った。なんとか励まそうとしたけれど、上手い言葉が掛けられなかった
今日はベビー用品店に行って、前々から決めていたベビーカーと抱っこ紐を買った。自分に課せられた出産前の最後のタスクだった。 妻も今日、出産前の最後のタスク(ずっと放置されてた手作りスタイキット)を完成させた。個性的でとてもかわいいスタイが出来上がっていた。 出産までにやろうと決めていた予定が全て消化され、ついに出産の準備がカンペキに整った……! いつでも産まれておいでね。 本当の本当にラストスパート。 いつ産まれてもおかしくないと思うと、少し浮き足立ってくる感じが
今日は、歯医者の帰りに保活の本を買った。 来年度は妻とともに地方赴任を予定しているため、新天地で保育施設を探さなければならず大変不安だ。 ということもあって、まずは保育施設の仕組みや基本的な注意点を探ろうと思い立ったのだった。(これだけ保活が大変だと騒がれて久しいのに、保活のイロハを解説する本が少なくて意外だった。) 夜、妻と画面越しにオロナミンCで乾杯して(飲むと陣痛がくるという"陣クス"があるらしい)、買ってきた本を取っ掛かりに初歩的なことを勉強し、保育施設の候補
今日から妊娠37週。 もういつ産まれても良い状態になったらしい。 妻も、お腹のベビーも、ここまで本当によく頑張ったなと思う。 正産期と言っても、先日の健診ではまだまだ出てくる気配はなかったらしい。 お腹の中の居心地が良いのだろう。なんだかかわいい。 結婚して3年近くになるが、二人の生活が終わるのが惜しい、と妻が言った。これからもきっと楽しいよ、と伝えた。 確かに二人で好きに外食したり、あちこち出掛けたりはしづらくなると思うし、初めての育児で疲弊するのも簡単に
業務繁忙で連日タクシー帰りだった今週。 日曜の夕方、趣味のサウナでコンディションを整え、人生初の一人梯子酒に繰り出した。 妻の里帰り中に好き勝手呑んだくれているのは、妻の後押しをいただいたからだ。 前にも書いたが、僕の妻は寛大だ。 自分はつわりや胎動、お腹の苦しさや腰痛で苦しむ一方、僕が飲み会続きでも心配こそすれ、嫌な顔一つしないでいてくれる。 今日も、産まれるとできないからやってみたらとご提案いただき、一人酒呑んだくれおじさんと化したのであった。 果たして
三連休を使って、里帰り中の妻がいる地元に帰った。 丸2日ないくらいの滞在時間だったが、マタニティフォトの撮影、ベビー服の水通し等々、沢山予定を詰めていたこともあって、充実しつつもあっという間に過ぎた連休だった。 次に会えるのは出産後。次はベビーと一緒だと思うと、なんだか不思議な感じだ。 またしばらく会えなくなるので、戻ってから妻に手紙を書くことにした。 三連休があまりにあっという間に過ぎたので、手紙の中でその振返りを兼ねて、連休中のイベントごとに感じたことを書き留
ずーっと逆子だった我が子。 そんな我が子が、一昨日、妊娠32週目の健診で、ついに、頭位(頭が下)になっていたと妻が教えてくれた。 ちなみに、前回の健診では初の横位を見せてくれていたので、期待が高まっていた。(妻の骨盤に頭と足をかけ、ハンモックに横になるような姿勢だったと聞いて、想像して少し笑った。) 我が子はその期待に応えてくれた。妻の話を聞いて、つい涙が出そうになった。 妻にとっては、逆子の場合も頭位の場合も、出産のときの苦労は一長一短で複雑な気持ちかもしれ
「画数、気にしてあげて。」 5月の末、妻の里帰りに際して久々に実家に帰ったとき、母に、赤ちゃんの名前はもう決めているのかと問われた。 妻との間では、女の子だったらこれと当たりを付けている名前があった。響きと意味合い(意味合いは半ば後付け)で、直感的に決めた名前だった。画数はもともとこだわりはなかったが、一応ネットで調べてみた。あまり良くはなさそうだった。 「まあなんとなく。画数とかより、意味合いとか響きとかで決めたいなと思ってて。」 返事の後半は蛇足なのだが、かねて妻
今週も忙しかった。 ただでさえ仕事が忙しい上に、人事異動シーズン真っ只中で、送別会、歓迎会があちこちで開催され、体力的にもしんどい日が続いている。 妻の里帰り中に頻繁に飲み会に出席するのはとても気が引けるし、自分ばかりと怒られてもおかしくないと思うのだが、妻は「今のうちに楽しんでおいて」と目くじらを立てないでいてくれている。圧倒的感謝。 今週は、妻の妊娠30週目の検診があった。 お腹の子は元気に育ってくれているようで嬉しい。元々逆子だったのが、ハンモックに揺られる
一人で持て余している3LDKの書斎に入って、今週もノートパソコンに向かってノートを書く。妻の期待(圧)もあって、週に一回必ず更新するようにしている。ルーティンとして大分馴染んできたように思う。 3LDKの3部屋の内訳は、寝室、書斎、和室となっている。寝室は毎晩、書斎は今(あるいはテレワーク時)、和室はアイロンがけの際に使っていて、いずれも全く使っていないわけではない。和室の使い方はやはり勿体ないというか、贅沢な感はあるが、妻とまだ見ぬわが子が帰ってきたらわが子のために捧
今週はとても忙しかった。 近く予定される決裁権者の異動を前に、現体制で手元の案件を処理してしまわなければということで、急ピッチで業務を進めている。自分は担当部署が立案する案件を審査する部署に努めていて、こちらが指摘して、先方が修正して…とキャッチボールを繰り返すようなイメージなのだが、今週は超高速のドッジボールという具合で二度タクシーで帰る羽目になった。 もっとも、計画的に作業が進んでいればこんなことにはならないのだが、そもそも担当部署が立案しない限りは如何ともしがたい
先週末、妻が里帰り出産のため実家に帰省した。 土曜の朝に二人で東京を出発し、長崎の妻の実家まで送り届け、日曜の夜に一人で帰ってきた。 妻のいない暮らしは、端的に言って寂しい。 家族が増えるから、まだ妻も動けるうちにと二人で引っ越した3LDKの部屋は、一人で暮らすには広すぎて持て余してしまう。 この一週間は何かとせわしくて、「ぽつーん」となる時間は少なかった。が、今日はついに、「ぽつーん」としてしまった。 朝・昼の食事はかつて妻の友人が手土産に持ってきてくれたバ
新聞を読んでいたら、「子育てをしながら働くパパ・ママが増える中、『パタニティーハラスメント(パタハラ)』に注目が集まっている」という旨の記事が目に留まった。 パタニティー(paternity)とは父性のことで、育休取得を検討する男性に対して取得を控えさせる、不利益な取扱いをするなど、男性の育休取得への嫌がらせをパタハラと言うらしく、世間知らずながら聞き覚えはなかったのだが、数年前から普及し始めている言葉らしい。 「また『〇〇ハラ』という名のハラスメントが量産されているな…」
先日、朝食にパンを食べたいという妻の発案で、ちょっと足を延ばして、数年前に職場の先輩にオススメされたパン屋さんへ行った。 そのパン屋さんは店内にも席があって、お店で焼いたパンで調理した軽食を提供していた。 妻とシェアして、クロックマダムとサンドイッチ(具材は鶏肉と舞茸)を食べた。これがとても美味しくて、驚いた。 特にサンドイッチ。シンプルな具材ながら、表面はこんがり、中はもちもちとしたパンの食感が際立ち、小麦の香ばしい風味が口いっぱいに広がって、びっくりするほど美味しかった。
28年生きてきて、初めて抱く感情があった。 今日は妻の妊娠20週目の妊婦健診だった。 最近は仕事が暇なこともあり、つわりの症状が重かった妻に代わって、家事(主に妻の弁当づくり)に励んでいた。 その健気な努力の甲斐あってか、産婦人科のお医者様が「そんなに旦那さんが張り切っているなら一緒に来てもらったら?」と妻に仰ったそうで、付き添いは最小限に、という状況にもかかわらず、健診に同行させてもらえることになった。 これまで静止画としてしか見られなかった赤ちゃんの様子(エコー)を、リ