【カリスマと人望と仕組み】チーム内コミュニケーションの話

組織内、特にチームにおけるコミュニケーションやチームビルディングでの、めちゃくちゃベタなお話をします。
あまりにもベタすぎてビックリすると思うので、心を強くもって読み進めてください。

リーダーの変遷:カリスマ・人望・仕組み

組織において、リーダーが人を引っ張っていく手法にはいくつかの種類があります。

カリスマ性をもったボスが引っ張っていく手法

“リーダーとボスの違い”と言われたりすることがありますよね。
・部下に命令してやらせるのがボス
・部下を信じて任せるのがリーダー

↑みたいなヤツですね。
端的な言葉でいうと、「やれ! と言うのがボス、やろう! と言うのがリーダー」なんて表されたりもします。
何らかの強制力をもって命令する、“強いボス”が組織を引っ張っていくとい手法です。
その際に働く強制力とは、職位に由来することもありますが、究極的にはボスがもっているカリスマでしょう。

「この人の言うことを聞いていれば何とかしてくれる気がする。」
「この人についていきたい!」

そんなカリスマによって、組織をまとめ上げる手法です。
主に起業期のベンチャー企業や、ワンマン社長などがこのパターンです。

ムチャな計画や突拍子もない事業を始めるには向いていますし、すさまじいパワーで前進することができます。

ただし部下たちは疲弊してしまいますし、早い段階でご褒美を与えないとカリスマの魔法が解け、その瞬間に組織は瓦解します。

人望で引きつけ、人柄で仕事を回してもらう手法

前述のカリスマワンマンは、ボスと呼ぶにふさわしく、リーダーという感じではありません。

みんなに慕われ、勝手に人が集まってくる。リーダーと呼べるような人は、チーム全員を先頭に立って引っ張っていくような、そういった人望をもった人物でしょう。
そんなリーダーの周囲に集まってきた人たちのなかには、リーダーよりも高い能力をもっている人も大勢います。
事務スキルや営業力など、ある特定の能力で切り取ってみれば、そういう人がいるのも納得できる話です。
ですがなかには、「アンタ、あのリーダーの完全上位互換みたいなスペックだろうが! なんであのリーダーの部下をやってるんだ!?」みたいな、スーパーハイスペック人材もいます。
そういう人々の中心になって動かしていく、いわば渦の中心にいるような人物の最大の武器が、まさしく人望です。

「やれやれ、あの人の頼みだ。しかたがないが、やってやるか。」
「我々が慕うのは、あの人しかいない。」

そんな人望によって組織を動かしていく手法です。
ある程度社員数が増え足元を固める段階になった企業や、何社かグループをもつ企業の課長などがこのパターンです。

「あのリーダーのため」ではあるものの、結局のところ、考えて動くのはメンバー本人です。メンバーの実力を出し切ることができるため、チームはカタログスペック以上の働きを見せる場合が多いでしょう。

ただし、原動力が厚意や善意に由来するため、あまりにもムチャな要求は通らないことが多く、また信頼を失うと組織的な動きができなくなってしまいます。

仕組みで勝手に組織が動いていく手法

前述した2パターンは、あくまでも「一個人の性質」に頼って組織を動かす方法でした。それでは、あまりにも属人化しすぎています。

リーダーは組織を運営するための仕組みを作り、仕組みに従って組織メンバーは動いていく。仕組みが完璧なので、メンバーは標準化された仕組みに従っているだけでいい。
この手法であれば、リーダーはどのような人物が務めてもよく、誰がリーダーになったとしても“勝手に組織が動いていく”という状態になります。
カリスマ性がなかろうと、人望がなかろうと関係ありません。
システマチックに組織を運営していくのであれば、リーダーに求められる資質は仕組みを作れること、そして管理運用できることです。

「このようにルールで決まっているから、ここはこうすべきだ。」
「マニュアルに従っていれば間違いがない。」

このように、システムに従って機械的に組織を運用していく手法です。
事業の方向性と収益性が確定し安定期に入った元ベンチャー企業や、大規模な企業、あるいは何社もが合体して生まれた複雑な背景をもつ企業などがこのパターンです。

マニュアル化されたシステムに従えば良いため、リーダーだけでなくメンバーの属人性も排することができます。いつでも、だいたい同じような成果を上げることが可能となるでしょう。

ただし、予想を裏切るような大きな成果を出すことはありませんし、劇的な変化には弱く、仕組みに組み込まれていない不測の事態に対して脆弱になってしまいます。

歴史上の人物に例えて理解

さまざまな誤解を恐れず、ベタさに打ちひしがれながらも、めちゃくちゃ簡単に理解するならば、以下のように言えるでしょう。
・カリスマの織田信長
・人望の豊臣秀吉
・仕組みの徳川家康

カリスマの織田信長

強権と恐怖で支配(※1)し、当時は考えられないような改革をやってのけた、カリスマ性のあるボス、織田信長。
それまで誰もやらなかった宗教勢力への攻撃をはじめ、楽市楽座など既得権益へ挑戦は、突っ走っていくボス気質の彼でなければできなかったでしょう。ですが最後は、部下の裏切りによって命を落とします。
天下取れなんだ。

人望の豊臣秀吉

人たらし(※2)として名を馳せ、人心掌握術に長け、亡き主君の想いを受け継いで天下統一を成し遂げた人望あるリーダー、豊臣秀吉。
組織の内外に多くの仲間を作り、奇策妙策を次々と成功させて成り上がった彼は、人から慕われていたというエピソードに事欠きません。
ですが彼亡きあと、豊臣家は天下人の地位を追われます。その最期の瞬間まで、豊臣家の支配が盤石ではないことを憂いていたとか。
天下を維持できなんだ。

仕組みの徳川家康

最後に天下人となり、江戸幕府を開いた忍耐の人、徳川家康。
織田信長が「人間50年」と謳っていましたが、家康は関ケ原での勝利を59歳で迎え、完全に豊臣勢力を排した「大坂夏の陣」は最晩年となる74歳でした。
彼が敷いたシステム(※3)は優れており、その後260年ほど続く江戸幕府の基礎となっていました。
家康亡き後も仕組みは改善されながら運用され続けたものの、政権の長期化による軋轢や国外からの影響を受け、ついには『幕府という仕組み』そのものが崩壊します。
天下を取って、少なくとも260年以上も維持するシステムを生み出せた。

チームビルディングとかコミュニケーションの参考にどうぞ

自分の組織が置かれた状態に合わせてコミュニケーションをとりましょう。

また、組織の変化を見据えて段階的に変えて行ったり、それぞれを少しずつハイブリッドするなどするのもいいでしょう。

ぜんっぜん部下がやり方が分からないなら、まずは自分がやり方を示し、その後で部下に命令してやらせる。
だんだんと部下が分かってきたら任せてみる。
最終的にはマニュアル化し、その管理や新しいマニュアル作成も自分の仕事から手離れさせて部下に任せていく。
そういったやり方が考えられます。

どれがいい悪いというわけではなく、それぞれ一長一短です。
これまたベタなお話ではありますが、状況に合わせて、臨機応変にやっていきましょう。

最後に

ベタだベタだって言うけど、「おいおい、言うてもそれほどじゃないだろ?」って思ってたんじゃないでしょうか。
精神が弱い歴史家なら、2行で心停止してもおかしくないほどのベタな内容となりました。
語り尽くされているものの、どうしても言及しておかねばならなかったので、やむを得ずこの内容で記載しました。

たとえベタでも!
学びがあるなら、受け入れようね!

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

注釈

前提として、かなりざっくり解説です。理解しやすくするために名前を出した方々には、謹んでお詫び申し上げます。

※1:尾張は弱兵で有名であり、同じく弱兵ながら大帝国を築いたローマとよく比較されますね。
両者ともに、個の武勇よりも組織としての強さを発揮できたのが理由と言われています。ノブ氏、すっごい組織作りがんばっとるやんか……。
また、ノブ氏はめちゃくちゃ何度も何度も裏切られているのですが、許しまくって、そのたびにまた裏切られたり、書状とかでなだめすかしたり、人心掌握術もめちゃめちゃ熱心に使っています。
が! それだと理解しにくいので、ちょっとみなさんの脳内にいる、すぐにブチ切れて部下を撫で斬りにしちゃうイマジナリーノブちゃんにがんばってもらってください。

※2:羽柴さんも、けっこう強権で横暴だったりしたこともあるようです。当時は普通のことでしたが、あぁ、あんた、権力者になるまではハチャメチャで常識にとらわれないハングリーな感じだったくせに、頂点に上り詰めると急に『普通の権力者』になっちゃうんだね……朝廷とかにも近づいちゃってサ……。フーン……へぇー。って感じではあります。
でも、徳川さん家と対立したとき、石田っちとか恩がある人たちが豊臣家についてきてくれたと考えると、意外と人望による組織も長続きするのかも。
でもそのあと、恩を感じてた人たちが少なくなってからはボロボロ。
関ケ原の敗戦も、なんやかんや根回しの失敗だし。冬夏の陣でもそう。堀埋めちゃったよ。ロビイングヘタか。やはり個人の人望などその程度よ。
が! それだと理解しにくいので、ちょっとみなさんの脳内にいる、「オラ、農民だっけよく分かんねぇけどよぉ、こうしたらいいんじゃねぇのか?」って言って、その手があったか! 的な解決策を導いて、しかもムチャなことでもついてきてくれる仲間がたくさんいる、人たらしのイマジナリーヒデちゃんにがんばってもらってください。

※3:松平のイエちゃん、実は結構神経質だったとか。冷静沈着で忍耐強く、情を排した効率主義の人、というのは、比較的後世の創作も入っているらしいです。
でも、仕組みを作るのがうまかったのはその通りらしい。
みなさんのイマジナリーイエちゃん、そんなに出番なし。

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