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汚れた床に夢のスクリーン

春休みが始まる終業式、
3月末の土曜日、
昼前に小学校からウチに帰ると
ボクらが急いで向かうのは近所の映画館と相場は決まっていた。
『ドラえもん』劇場映画初日だからだ。

よい子は親や兄姉らと観に来てたけど、
ボクらは別に“ええとこの子”でもないし、
親も別に電車に乗って観に行くような場所でもなく
最寄駅近くにあり歩いて行ける距離だったので
こどもだけでも
「毎年の恒例行事」
として許してくれる家庭が多かった。

ワクワクしながら劇場に入ると
ヒトいきれで少しムッとして熱気を感じる。
普段はたいして客もいないド田舎の劇場の書き入れ時。

ボクらはまずコーラを買う。
みんなでお金を出してお菓子を買う。
小学校高学年の頃は
“ええしのぼん(いいところの息子)”の友だちが
スネ夫のごとく奢ってくれたりもしたっけな!(笑

この劇場は歩くとネチョネチョとスニーカーの底にまとわりつく感覚がある。
大衆向け中華料理店なんかで体験するアレ。
映画館なのになんでかって???
答えは簡単、
ボクらクソガキがジュースをこぼすからである‥。(笑

春は『ドラえもん』に興奮し、
夏は『東映まんがまつり』を楽しんだ。
調べてみると東映まんがまつりは
冬もあったそうですが
あまり記憶にございません。。。

そんな我が町の劇場には
ふたつのスクリーンがあり、
ひとつは大きなスクリーンで大作を、
もうひとつは…

ピンク映画

を上映していたのだ!!!!!

ちなみにトップ画像は在りし日の
その劇場の写真をネットで探してきて
オイラが加工したもので、
右側は大作、左側はピンク映画の入り口でござります。

当然クソガキなんでドラえもんのついでに
隣のピンク映画のポスターをチラ見…ガン見しており、

「いつかおとなになったら見にいこうぜ!!!」

っとみんなで画策したもんですよ。(笑

しかし中学生頃やったと思いますが
その劇場は閉館しました。

1度も左側の劇場には足を踏み入れることもなく、
ボクらの儚くエロい夢は消え去った。。。

ひとつの夢は惜しくも?(笑)
叶えることは出来なかったけど、
映画館で夢をたくさん見てきた。

それはオトナになった今も変わらない。
ボクは映画に、音楽に、漫画に、テレビに、
いろんなエンタメ作品に夢を見る、
こどもの頃と同じ眼差しで…
いやちょっと邪な眼差しかな…???(笑

いまでもネチョっとした床を歩くと
ボクはあの劇場を想ひ出すんだ…

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