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本とわたし

世界は図鑑から始まった



わたしは小さい頃から図鑑が好きだった。
自分は第一子ゆえに上の影響はない。
だから親が与えたのが先なのか、図鑑と出会ったのが先なのかわからないけれど初めて名前と目の前のものが一致したときの感動は覚えている。

チャイルドブックという、毎月なのかな?幼稚園を通して配られていた本があって、それについていた付録のポケット図鑑。
年中か年長かわからないけれど季節の草花の名前がわかるものがついてきた年があった。


こどもの頃、夏の終わりから秋になるとさわると手が染まってしまう赤紫色の実。ラグビーボール型でトゲトゲがついている服にくっつく実。
それらの名前をこの図鑑で知ったとおもう。

ヨウシュウヤマゴボウ、オナモミ。春に咲くいい匂いがしてカメラのフィルムケースにつめたのはジンチョウゲ。ユキヤナギ。
詰めて水をいれたら香水になるんじゃないかと期待した。
なかでもインパクトがあったのがアメリカセンダングサ。なんとなくゴロがカタコト長くてすごい!と思ったものだった。

そして外国の木の実として掲載されていたカシューナッツの実、というのがとても不思議な形ですごい!変なの!!と思ったこと。

そんなきっかけがあってだと思うのだけど、その後植物の図鑑や星座の図鑑、地下の生き物たち、などたくさん広げていったのを覚えている。
いまみたくネットの世界ではないし、本に載ってる情報もそんなに多いわけじゃないから名前を覚えるくらいしかなかったけれど、少なくとも庭木になにが生えてるのか知りたくて調べてドウダンツツジ、ていうのかあ、とか、親が庭で育てたイチゴが食べ頃になった頃すべてつついてしまって親にあの鳥!あったまきちゃう、と言われてたのがオナガだということ、低学年の頃、いつもの公園の緑道でピイピイ鳴いてる雛を拾って連れて帰ったときもイシバッタを捕まえては雛にやりながらどうもモズっぽいことなどもそこで教わった。

物語と図書館へ

大きくなってからはやがて物語に移行し、苦手な話、面白い話、綺麗だ!と感動する言い回しの本、とたくさん出会い、中学も高校もフリーターだったときもとにかく図書館へは足を運んだ。幸いにもフリーターだったとき以外、専門学校生のときも一人暮らしのときも運良く歩いていける範囲に図書館がそばにあって。

いまは自転車でいく距離だけどこどもが生まれてからも上の子が三歳の頃はよく連れてった。下の子が歩けるようになってから図書館は鬼ごっこができる(本棚でかくれやすいから迷路的な感覚?)と思われてしまい、逃げるようになる息子を追いかける状態になったときに一時的に足が遠のいたけれど、話がわかるようになってからは連れていってた。

ただ、年々自分で選ぶ情熱をもった娘は自分で借りにいけるようになったし、かたや迷路のごとく鬼ごっこしたくなってた息子は全く本に関心はもたなかったのでしばらくの間は遠のいたりもした。

しばらく読まないと自分がなんの本を読んでたのか忘れていて、そんな近年久々に再開した。
3番目が大きくなって絵本から文章主体の本を伝えていくとき、なにがベストかわからなくて借りにいった最近。
いろんな本を借りては読んで、そのために通うほうが多かったから自分のは料理本くらいしか借りてなくて。

立ち止まって書棚の前にたつ。

春休みなのもあって前に借りたのを返しがてら借りにいくとき、こどもたちになにか借りてくる?と声をかけた。
本が好きで図書館大好きで自分で選びたいのは1番目だけなので、普段は残りの下2人は寝る前の読み聞かせの本をわたしが選んだり、リクエストされたシリーズを少し借りてきてあげるくらいな最近。
(ようは本人が選びにいきたい!という熱意はない程度のひまつぶしである)

今回はいいかなー、春休みだしほかのことしたい!

まあ読まない人らからするとそういうもんかあ、と久々に自分のために本棚の前に立った。いつもあのこにはこれどうかな?の目線でみていたことに気付く。
では自分は?
自分の本を選ぶとなるとはて···?ひさびさすぎてもはや感性を忘れていた。

困ったのでなんとなくぐるりと端からまわって気になった本をとっていく。

ドレスの図鑑、民族衣装の図鑑、テキスタイルデザインの図鑑、世界のかわいい刺繍がずらっとのってる写真集、サンドイッチの本、珈琲の本、お菓子の本、料理の本。
春休みはみんないるし、物語をよむ時間はなかなかとれないから少なめに数冊、、と手にとって思ったこと。

ああ、よく考えたら料理の本も図鑑だな、と。つくるために読む本もあるけれど、どちらかというと眺めて読むのが楽しいのもある。作らないような国のレシピが載ってるのも借りる。
そして読み物は歴史や文化、民俗、がすき。

再確認する。図鑑が好きなのは根本的に変わってないな、というところも。
暮らしのなかでの動きが載ってる本がすきなことも。(民族衣装や世界の刺繍技術的なものや、ドレスのもそのときの時代やその国の文化が左右するものだった)

物語を3冊ほど、それを読み終わって返す頃はこどもたちは3人進級してひとつ学年が上がる。新しい始まりのときに自分のための本を借りにいくときはもうひとつ、自分のことを知った上でよりヒットするものを借りられるかな。ひとつ楽しみができた。