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かまいたちの夜とサウンドノベル

かまいたちの夜というソフトは、チュンソフトが1994年に発売したスーパーファミコン用ソフトである。
これは、チュンソフトの産み出したサウンドノベルシリーズの第2弾で、一番有名な作品だと思う。
100万本を超える売上を叩き出している。

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私はこのゲームが好きで、舞台となった実際のペンション『クヌルプ』にもお邪魔させて頂いたことがある。
一言、最高の宿泊施設である。聖地であり、大切な思い出の地である。
オリジナルロゴTシャツも販売していて、もちろん購入、ミシシッピマッドケーキも頂いた。

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ゲームは、雪山のペンション『シュプール』に訪れた主人公、その友人で恋人未満のヒロイン(こんな漫画みたいな設定、今どきあるかなー)が遭遇する、凄惨な一夜の物語である。
このシュプールは実際のクヌルプの中を何千枚と写真を撮って、加工を施し、時には模型を作り、施設にない部分をでっち上げながら構築した仮想空間をゲーム画面として、ここに人物のシャドウと文章が流れる。
実際に泊まると、ゲーム内ほど広くないことがわかる。

文章は我孫子武丸が書いている。
我孫子武丸は『殺戮にいたる病』を書いていて、叙述トリックの代表的な1作だろう。

サウンドノベルは音と背景のある小説で、ゲームブックの要領で選択肢を選び、そこから生まれる分岐によって、物語は思いもよらぬ方向へと、転がっていく。
『かまいたちの夜』にも、通常のミステリールート、スパイルート、悪霊ルート、ピンクの栞(エロルート)、そして、不思議のダンジョンルート(チュンソフトから発売されたため)などがある。

このゲームは惹句が最高で、『あなたのせいで、死体が増える』というものだ。素晴らしい名句である。ゲームの本質を言い表している。
基本的には、誰一人死なないルートを辿ることがグッドエンディングだが、なかなか難しい。惹句の通り、死体は増える。

そういえば、ゲームのコピーで最高なのは、『ストリートファイターⅡ』の、
「俺より強い奴に会いに行く」だとよく言われている。
これも見事なコピーで、ゲーム内のキャラクターの心情を表すだけではなく、合わせて当時流行っていたゲームセンターの筐体で、見知らぬ強プレイヤーに、プレイヤー自身が会いに行く、というダブルミーニングになっていた。

さて、私のサウンドノベル初体験は第1弾の『弟切草』で、これはトラウマなのである。

当時まだ小学1年とか2年の私は、従姉妹がプレイするのを横で見ていたのだが、怖すぎて、夜眠れなくなった。けれど、怖い内容のくせに、見たいのである。
例のミイラ登場シーンは、PSリメイク版は画像がきれいになったけれども、SFC版には敵わない。初めて、何も識らずに見た当時の私の衝撃は計り知れない。
未だに怖いものは、

『弟切草』のミイラ
『リング』の呪いのビデオ
『八つ墓村』の小川真由美が追いかけてくるシーン

の3つである…。

サウンドノベルシリーズの最高傑作は『街/運命の交差点』と言われていて、
これはウルトラ傑作である。8人の人物の物語を、それぞれの視点へとザッピングしていくことで、物語を組み解いていくのだ。
このようなことは、恐らくは小説では出来ないゲームならでは利点で、中毒するほどプレイした。情報量の多さも半端ない。
ホラー要素は少ないので(何故かサウンドノベルはミステリーと相性がいいためか、若干ホラー要素があり、一人では時々怖くなる……)
このゲームはほぼ全編実写で撮影されているため、撮影が本当に大変だったようで、弁当代が凄かったそうだ。

『かまいたちの夜』はこの後、2が無人島を舞台に作られたり(トリックがまるで金田一少年みたいで笑った)、3が再度シュプールを舞台に、1作めの真相が描かれたり、一新されたり色々あったが、1が最高である。

他にも、『忌火起草』や『428』など、たくさんのシリーズがあるが、やはりシンプルな初期3作が最高である。

ちなみに、同じようなゲームで参入した珍作ソフトで、赤川次郎の『魔女たちの眠り』という同様のノベルゲームもある。
これも、小学生の時に、従姉妹が買ってきて嬉しそうにプレイしていたので、隣で見ていた。
ある日、職場に電話がかかってきて、ただ、「助けて……。」という言葉だけが…的な感じで始まり、そこから呪われた小さな村にいく、吸血鬼をテーマにした話だが、珍作なりに恐ろしかった。けれど、大きくなってネットで
動画を見てみると、画像がしょぼすぎて、記憶の美化というのを体感してしまった。

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ノベルゲームでは、映像もテキストもない、『風のリグレット』というウルトラ珍作があるが、この作品は90年代のゲーム会社の雄、WARPの飯野賢治肝いりの企画である。なんたって、あの坂元裕二がシナリオである。今年のヒット映画、『花束みたいな恋をした』の脚本の坂元裕二である。
飯野賢治は、この時、坂元裕二と組んだことを布石に、300万本売れるRPGを作ると言っていたが、まだまだ若いのに帰らぬ人になってしまった……。

ちなみに、私はエロゲーはプレイしないのだが、『書婬、失われた夢の物語』というソフトがめちゃくちゃ高価なので気になっている。10万円〜20万円くらいするそうだ。

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ノベルゲーはnoteを書かれている方で、ゲームをされない方でもすんなりと入れると思うので、是非ともおすすめである。


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