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イベント「UXR Inquiry vol.4〜データアナリストがUXリサーチに向き合う意味とは?〜」の登壇資料を公開します

こんにちは、freeeでデータアナリストを担当しているBunです。
21年UX Research Advent Calendarの12/20を担当させていただきます。

先日メルカリ社主催のUXR Inquiry vol.4〜データアナリストがUXリサーチに向き合う意味とは?〜に登壇させていただきました。

Sansan社, Mercari社, freee社の3社で定量定性分析の取り組みについて組織作り、分析に対する解釈、具体的な実例などをテーマにお話しさせていただきました。
また、本イベントは多くの方に参加していただき、当日もとても好評でした。

本イベントは録画や資料の公開をしていないのですが、イベント後のアンケートでも公開してほしいというお声を頂いたため登壇内容を公開することにしました。

1社目の会社ではネット広告の分析業務に携わっていました。ネット広告の分析業務の特徴としては、①PDCAを全て自分で回せる②アクションの透明性が高いので振り返りがしやすい③数をこなせる、という3点があります。そのため、定量分析の基礎スキルを身につけるには最適な環境でした。また、当時利用していた広告運用ツールは全て手作業で変数のチューニングをしていたことも優先度を決める良い訓練になっていました。

そんな中でぶつかった壁が「改善箇所はわかるが、原因が何かわからない」ということでした。問題箇所(Where)はわかるがなぜ問題なのか(Why)がわからず、広告文やLP、サイトなど根拠や再現性のある改善ができませんでした。

そこでもがき苦しみながらたどり着いた先がUXでした。当時はなんちゃってUXデザイナーが多く本当にこれがUXなのだろうかと懐疑的だったため、すぐに実務をやるのではなくアカデミックから入ることにしました。
UXの理論から語られている本がとても少なく、海外のオンラインスクールや洋書を取り寄せたり良いと思った本の参考文献を乱読する等とても苦労しました。

主に脳の情報認知について勉強していました。どんなことを学んだのかをスターバックスを例に説明すると、一般的には利用数が多い駅前にあり、競合は周辺にあるであろうタリーズ、ドトールなどが挙げられます。しかし、スタバの捉え方は人によって違います。

自分の場合、家だとあまり集中力が続かないのでカフェで勉強をするときにスタバを利用します。その理由は、スタバは勉強している人が多いので騒がしくない、パーソナルスペースが他のカフェよりも広い、雰囲気が落ち着いている、家から近い等、個人的には勉強するのに最適だと考えています。そのため、勉強する最適な場と言う観点だと他のカフェは選択肢に含まれません。このように、自分とスタバがある環境の中でどのようにスタバを認知しているかによってスタバの捉え方が変わってきます。(左図)

また、環境を作り上げているのはモノだけでなく他の人も含むため、環境は変化し続けます。スタバの近くにショッピングモールができて主婦や家族層が増えれば集中できる環境ではなくなります。(右図)

つまり、環境↔︎人↔︎対象物の関係性の中でどのように情報が作用して認知/行動するか、という観点がユーザー体験を作る上では重要であり、それらの理解や変化を追い続けるためにUXリサーチをどのように行うかという視点が身につきました。

UXに付随する学術的な理解を深めることのメリットは2点あると考えています。

1点目は、UXに関する理論がわかることです。
上記で説明したような部分や、ペルソナやエクスペリエンスマップを作るときにどの情報を入れるのか要点がわかるようになりました。
また、仮説に対してどの手法を選択するのがベストなのか根拠をもとに実施することができるようになりました。

2点目は、センスが磨かれることです。
理論をある程度理解できると、具体と抽象を行き来しながらUXリサーチができるようになりました。ユーザーインタビューを始めとしたUXリサーチはやろうと思えば誰でもできるものですが、どの情報をユーザーから引き出すべきか細部に違いが出せるようになったのではないかなと考えています。

個人的な解釈ではありますが、データ分析のサイクルを回し続けてイシューの解像度を上げ続けることが重要であり、これは定量も定性も変わらないと考えています。
また、定量定性調査は手段でしかないので、問いや仮説検証に合わせてどの調査手法を選択して調査や分析をするかが重要なのではないかと考えています。

上記の解釈に対して、重要だと考えていることは3点あります。

1点目は質の良い分析サイクルを速く回すことです。
質を上げるためにビジネス目標や要件定義などの前提条件ができているか、速く回すために技術力や経験が十分にあるかがポイントだと考えています。また、サイクルを回し続けるとドメイン知識が1箇所に集中するため、インプット量が違和感を生じる機会を増やし、そこから問いや仮説が立てやすくなると考えています。

2点目は多角的な視点を持ってサイクルを壊すことです。
他のロールのメンバーやそもそも論、インパクトは大きいのか、ユーザー視点だとどうか等、多角的な視点でサイクルを壊して作り直すことが解像度の高さにつながると考えています。

3点目は最適な手法を選択し、最適な扱い方を理解することです。
これに尽きると思います。UXリサーチは実施するハードルが低く、得た情報の質や重要性が客観的に判断しづらい部分があると思います。そのため、理論を学んでセンスを磨き、手法の選択や実行に対して細部にこだわることでインプットの質をある程度担保することが大切なのではないかなと考えています。

定量定性分析を協業するかは各組織のやり方に合わせれば良いと思いますが、自分は1人でやっているのでその際に感じるメリットは主に3点あります。

1点目はインタビューの感度が高くなることです。
定量定性分析を1人でやるとインプット量が必然的に増えるので、ユーザーインタビューをしているときに違和感や問いが生じやすくなります。

2点目は自分のペースでサイクルを回せることです。
UXリサーチャーのスケジュールや工数に合わせる必要がないので、スピード感を求めている自分としては良いかなと考えています。

3点目はチーム内での立ち回りのしやすさです。
定量定性分析をし続けることでビジネスとユーザーの両方に詳しくなれるので、チームをリードしやすくなると考えています。


最後に弊社データアナリティクスチームの紹介です。
働きやすい環境で優秀なメンバーに囲まれながら仕事ができており、今でもfreeeはとても良い会社だと思います。
現在(21年12月末時点)も絶賛募集中なので、もしよければご応募お願いしますm

また、定量定性分析について自分もさらなるスキルアップをしたいと考えているので、もしこのテーマに興味がある方がいましたらTwitterのDMでご連絡いただけると大変嬉しいですm
お気軽にご連絡くださいm

Appendix
UXリサーチを勉強する際におすすめのコンテンツをまとめたnoteがあるのでもし良ければこちらもご覧くださいmm


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