見出し画像

自分らしく、無理しない生き方/ドラマ『今夜すきやきだよ』第2話~第9話

テレ東さんのドラマ『今夜すきやきだよ』を視聴し続けている。

好き過ぎる。
このドラマ、好き過ぎる。

(以下、ドラマの内容を含みます)

女性であること、若さに対するモヤモヤ

日本における「女」という固定観念の中で生きてきた身としては、「女性は料理ができて当たり前」「家事が得意だから、いいお母さんになる」というイメージにモヤモヤする主人公たちに対し、「わかる、わかるーーー」の連続である。しかしこのドラマは、それだけに止まらなかった。

例えば年齢的なモヤモヤだ。内装デザイナーのあいこは、先輩である五十嵐が立ち上げたプロジェクトに関する業界誌の取材を、「若い人が前に出る方がいい」という理由から受けるよう提案されて、モヤモヤ。「若さ」で注目され、先輩のそれまでの実績や苦労を自分がさらっていくような形になることに、あいこは納得がいかない。最終的に、五十嵐と2人で取材を受けることになる。

河井青葉さん演じる五十嵐はとても素敵な先輩で、そばにいたら「この人についていく!」と、みんなが思うような人物だ。そんな彼女に、「五十嵐さんの活躍が、私の希望になるんです」と伝えるあいこ。これまで経験した会社勤めで、女同士がリスペクトし合える環境に身を置いたことがないので、このシーンには胸を打たれた。

余談だけど、河井さんは4月から始まるNHK夜ドラ『おとなりに銀河』(ヒロインはあの秋月女史!)に出演すると知り、密かに楽しみにしている。

男らしさって何だ? 男性のモヤモヤ

ドラマの中盤では、男性側のモヤモヤも描かれた。ともこの友人・しんたは、「男らしさ地獄」を嘆く。フリーのWEBライターである彼は、同級生からの「まだそんなことしてるの?」ということばや、「会社に勤めて家族を養う」「頼りがい」といった男のイメージを押しつけられることにモヤモヤ。一方、あいこの彼氏・ゆきは、仕事のアイデアが浮かばす、同僚や先輩に「助けてほしい」のひとことが言えない。これもまた「男らしさ」の呪縛である。弱音を吐いて、ようやく先輩にアドバイスを求めることができたゆきの晴れ晴れとした顔。モヤモヤしているのは女だけじゃないのだ。

クリエイターの「やりがい」と低予算の責任の所在

それから、絵本作家でスランプ気味のともこの「やりがい搾取」問題。依頼されたイラストを仕上げたというのに(しかもレベル高し!)、予算の関係で1点2,000円しか出せなくなったというのはあり得ない……。仕事をした後に料金を下げられるって、いやほんと「なめとんのか!?」と言いたくなる案件だ。哀しいかな、”個人事業主あるある”である。

本来なら、しっかりと自分の意見を言うべきだろうけれど、ともこはこれまでのつきあいと今後のことを考えて、出かかった言葉を飲み込んだ。仕事をもらう側の立場は弱い。話を聞いて「あり得ない」と正論をぶつけるあいこに、イラッとして声を荒げるともこの気持ちは痛いほど分かる。

「“NO”を突きつけることができてこそ一人前」と、同業者にこてんぱんにやられる二次被害も(本人はド正論を言っているだけなんだけど)起こりやすい。これはしんどさが2倍になるので、可能な限りやんわり説教してほしい。

フラットで、互いの価値観を認め合う未来

ドラマの終盤では、結婚を決めたあいことゆきに、次々と問題が浮上。名字や家事分担、価値観の違い……。それぞれの“自分らしさ”に気づいてしまった2人を、ともことしんたが話し合いの場へと導く。あいこやともこ、しんたとの出会いが、ゆきの考え方をずいぶん広げてきた。それがもっとも現われたのが、先週の第9話。互いのことを正直に言い合って、最善の生き方を見つけようとするあいことゆき。その結果が別居婚だった。四半世紀前、「結婚したら隣同士に住みたい」と言って、相手のみならず周囲の同性にもドン引きされた私としては、「でしょ、でしょ? それが一番いいでしょ?」と納得の展開なんだけど、ドラマを観た皆さんはどう思ったのだろう。

こうして、あいこは今まで通りともこと暮らし、ゆきは彼女らと同じマンションへ引っ越してきて、別居婚がスタートする。

ともこも、ようやく新作の絵本を出版できて、これで一件落着!

終わり?
……ではなかった。

第10話では、別居婚の次なるステージ「子どもが生まれたらどうするの?」問題が描かれるらしい。

生きづらさ、はやく取っ払ってしまおう。
毎週ドラマを観ながら、みんなにも自分にも言い聞かせる。できればもう少し観ていたい。先週の餃子も手巻き寿司も、4人で楽しそうだったな。

#テレビドラマ感想文 #今夜すきやきだよ #蓮佛美沙子 #トリンドル玲奈 #スキしてみて #俳優 #エンターテイメント #テレ東 #ドラマレビュー #テレビドラマ #コラム

この記事が参加している募集

スキしてみて

テレビドラマ感想文

記事を読んでくださり、ありがとうございます。世の中のすき間で生きているので、励みになります! サポートは、ドラマ&映画の感想を書くために使わせていただきます。