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大人だって寂しいし、悩みながら生きている/ドラマ『最後から二番目の恋』

ここのところ、TVerで過去のドラマが山ほど配信されている。先日、でん六のピーナッツチョコを頬張りながらチェックしていたら『最後から二番目の恋』が配信されているのを見つけてしまった! 

ドラマが放送されたのは2012年。10年も経っちゃったか。

主人公は、キョンキョンが演じるテレビ局のプロデューサー・吉野千明。恋愛の酸いも甘いも経験してきた45歳独身。仕事にやりがいを感じながらも、若いスタッフとのギャップや、老後、健康のことを考えるようになってきた。そんなとき、鎌倉の古民家で暮らしてみようかと下見に出かけることに。物語は、ここからスタートする。

千明は、ある一軒家を購入して鎌倉へ引っ越してくる。隣家には、中井貴一さんが演じる妻と死別した市役所勤めの長倉和平(50歳)を筆頭に、自宅でカフェを切り盛りする弟の真平(坂口憲二さん)、繊細で引きこもりがちな妹・万理子(内田有紀さん)、和平の娘・えりな(白本彩奈ちゃん)といった面々が暮らしている。結婚して独立している長倉家の長女・典子(飯島直子さん)も入り浸り気味だ。

千明と和平は、出会いから最悪だった。お隣さん同士になっても口げんかは絶えないのだが、そこは45歳と50歳。大人ならではのウイットに富んだ会話が面白い。また長倉四兄妹それぞれの個性が、ドラマをかなり魅力的にしている。このドラマで、内田有紀さんの新たな一面を発見した気がする。

そういえば、和平の部下で恋模様にも参戦する知美を演じるのは、佐津川愛美さんだ。この役柄も、なかなかクセが強い。いまだに私の中では『婚活探偵』の第2話が占領中。ひとりで思い出し笑いである。これからもずっと活躍してほしいな、佐津川さん。

魅力的な登場人物たちに加えて、舞台が鎌倉であることも物語の肝だ。普段はせわしくしながらも、先の人生をゆっくり考えるようになった主人公の心境に、鎌倉の風情はぴったりはまっている。

「いつか鎌倉に行ってみたい」と思っていたところ、数年前チャンスに恵まれた。このドラマとNHKで放送された『ツバキ文具店』が頭にあったんだけど、訪れたのが週末だったのがいけなかった……。すし詰めの電車で疲弊し、立ち止まれないほどの人の波に身を委ねて鶴岡八幡宮まで歩き、散策っぽいことができないまま帰路についたことは後悔が残る。週末の鎌倉が、あんなに混雑するものだとは。完敗。地元の方々は、どうやって自分たちの暮らしを守っているのだろう。鎌倉散策、いつかリベンジしたい。

ドラマのジャンルとしては「大人の青春恋愛コメディ」といったところ。千明や長倉家の人たちを中心に、家族や仕事、恋愛のことで悩んで立ち止まっては互いをさらけだしたり尊重し合ったりする様子は、ホームドラマのようでもある。

千明の心のつぶやきは、当時心に沁みた。あれから10年経って、相変わらず先のことを考えては沈む暮らしを、自分がまだしているなんて思わなかったけど。

30歳になった頃には目の前に進むべき道が見えているはずと思っていた。40歳の頃には生き方を確立できているはずと思っていた。半世紀生き抜けた頃にはやりたいことをやり終えて、あとはのんびり暮らせたらいいなと願っていた。全部まぼろし~(笑)。トホホ。「まあ、生き方に正解なんてないよ」と、今は自分に言い聞かせている。

大人たちの恋模様と、登場人物たちが自分らしい生き方を見出していく姿に、けっこう勇気づけられるドラマだと思う。また主人公の千明が、キョンキョン自身と重なって見えたことも人気ドラマになった理由のひとつじゃないだろうか。

私はこのドラマでヤエル・ナイムを知った。今でも挿入歌に起用された「Go To The River」を聴くと少し元気になるから、この曲の入ったアルバムはよく聴いている。


観たことがない人も、観たことがある人も、ぜひこの機会に。コメディの中井貴一さん、大好きです。

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