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対談・鼎談

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文學界noteに掲載されている、対談・鼎談記事をまとめました。
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記事一覧

高橋弘希×ピエール中野「ロックバンドは終わらない――邦楽ロック五〇年クロニクル」

音楽エッセイ『近現代音楽史概論B』が十二月に刊行になる高橋弘希氏と、「凛として時雨」のドラマー、ピエール中野氏の初対談。LUNA SEAはなぜ「バンドを生むバンド」だったのか。ロックバンドは今後も存続しうるのか。同世代にして埼玉県育ちの二人が、九〇年代~二〇〇〇年代を中心に、邦楽ロック五〇年の歴史を語りつくす。 ◆プロフィール 高橋弘希(たかはし・ひろき)●1979年、青森県生まれ。2014年「指の骨」で第46回新潮新人賞を受賞。17年『日曜日の人々(サンデー・ピープル)

【対談】奈倉有里 × 逢坂冬馬「二人の合言葉は本」

実の姉弟であり、同時期に初めての単著を上梓した、ロシア文学者・奈倉有里氏と、小説家・逢坂冬馬氏。対談集『文学キョーダイ!!』の刊行を記念して、「異性を書く」をとりまく問題、ロシア情勢、そして危機下の「文学の力」について語り合う。 ◆プロフィール 奈倉有里(なぐら・ゆり)●1982年、東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒、東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。著書『夕暮れに夜明けの歌を』で紫式部文学賞、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』でサントリー学芸賞

【対談】柴田聡子×川野芽生「言葉を空に投げる」

初の長編小説『奇病庭園』を刊行した川野氏と、初のエッセイ集『きれぎれのダイアリー』を刊行する柴田氏が、文学と音楽の世界からみつめた「ことば」と人間の在り方を語る。 ◆プロフィール 川野芽生(かわの・めぐみ)●歌人・小説家。一九九一年生まれ。二〇一八年に連作「Lilith」で第29回歌壇賞を、二一年に歌集『Lilith』で第65回現代歌人協会賞を受賞。八月に初の長編小説『奇病庭園』を上梓。そのほかの著書に『無垢なる花たちのためのユートピア』、『月面文字翻刻一例』などがある。

【対談】高瀬隼子×市川沙央「小説家になるために必要なもの/差し出したもの」

実体験と創作の関係性。 「話す自分」と「書く自分」。 そして、芥川賞との「距離」について──。 高瀬氏の新刊『うるさいこの音の全部』をめぐって、同作に「今一番共感できる」と語る、市川氏との初対談。 ◆プロフィール 高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)●1988年愛媛県生まれ。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。22年「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川龍之介賞を受賞した。他の著書に『水たまりで息をする』『いい子のあくび』

【対談】辻原登×絲山秋子「小説の余白に信を置く」

常に外からやってくる「小説の言葉」を、いかに感受するか。住みよい場所を見つけることの重要性。 井伏鱒二が描く「粗忽者」について――。 文學界新人賞選考委員と受賞者、20年を経ての対話。 ◆プロフィール 辻原登(つじはら・のぼる)●1945年生まれ。85年「犬かけて」でデビュー。90年「村の名前」で芥川龍之介賞、99年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、05年「枯葉の中の青い炎」で川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で大佛次郎賞、10年『許さ

【対談】荒井良二✕江﨑文武|一人のための音楽と百年後の絵本

江﨑氏が絵本『きょうはそらにまるいつき』に感銘を受け、荒井氏に作詞を依頼したことで生まれた曲「きょうの空にまるい月」。 曲の制作秘話、アーティスト/音楽家になるまで、 そしてこれからについて語り合った、初対談。 ◆プロフィール 荒井良二(あらい・りょうじ) 1956年生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞したほか、2005年には日本人として初めてアス

【鼎談】円城塔✕千葉雅也✕山本貴光|GPTと人間の欲望の形

ChatGPTなどLLM(大規模言語モデル)は われわれの思考をどのように変えうるか。 かねてよりその可能性についてそれぞれの仕方で思索を深めてきた三氏が 記号接地問題から精神分析、文学までを縦横に語る。 ◆プロフィール 円城塔(えんじょう・とう) 1972年生まれ。作家。著書『Self-Reference ENGINE』『道化師の蝶』『エピローグ』『プロローグ』『文字渦』『ゴジラS・P〈シンギュラポイント〉』等。 千葉雅也(ちば・まさや) 1978年生まれ。作家・立命

市川沙央⇄荒井裕樹 往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」

「ハンチバック」で鮮烈なデビューを飾った市川氏と、同氏が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井氏による、社会の「健常者優位主義」をめぐる対話。 プロフィール 荒井裕樹 あらい・ゆうき●1980年生まれ。二松学舎大学文学部准教授。専門は障害者文化論、日本近現代文学。著書に『差別されてる自覚はあるか――横田弘と青い芝の会「行動綱領」』『障害者差別を問いなおす』『まとまらない言葉を生きる』『凜として灯る』等。 市川沙央 いちかわ・さおう●1979年

【鼎談】村田沙耶香✕犬山紙子✕朝吹真理子|童話発、BL経由、文学行き

毎日LINEでやり取りする三人が語る、幼少期からの読書遍歴。 『にんじん』『南総里見八犬伝』から 松谷みよ子、氷室冴子、コバルト文庫を通り、BLまで! ◆プロフィール 村田沙耶香(むらた・さやか) 1979年生まれ。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞し、デビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。

【特集 甦る福田恆存】対談 中島岳志✕浜崎洋介|神なき世界をどう生きるか

■冷戦後の出会い  中島 福田恆存について浜崎さんと対談するのは、ほぼ十年ぶりですね(「図書新聞」二〇一二年一一月二四日号、後に『総特集 福田恆存――人間・この劇的なるもの』に収録)。  浜崎 もう、そんなに時が経ってしまってたんですね(笑)。  中島 浜崎さんは二〇一一年に『福田恆存 思想の〈かたち〉 イロニー・演戯・言葉』(新曜社)という非常に素晴らしい福田論を発表した。僕は感銘を受けて、すぐに朝日新聞で書評を書きました(二〇一二年一月二二日付)。僕は密かにいつか福

【鼎談】多和田葉子✕関口裕昭✕松永美穂|文学と文学研究の境界を越える──『パウル・ツェランと中国の天使』をめぐって

多和田氏がドイツ語で書いたパウル・ツェランの詩をめぐる小説を、ツェラン研究の第一人者である関口氏が翻訳した。詩の魅力と翻訳の自在さが詰まった本書について語り合う。 ◆ プロフィール 多和田葉子(たわだ・ようこ) 1960年生まれ。小説家・詩人。『穴あきエフの初恋祭り』『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』『太陽諸島』など著書多数。 関口裕昭(せきぐち・ひろあき) 1964年生まれ。ドイツ文学者・比較文学者。明治大学教授。著書『評伝 パウル・ツェラン』『翼ある夜 

【鼎談】下西風澄✕山本貴光✕吉川浩満  心はどこから来て、どこへ行くのか

心の三千年史を考察した『生成と消滅の精神史』を上梓した下西氏と心と脳の問題を探究してきた山本氏・吉川氏が、AIやインターネットに翻弄される心の行方を語り合った。 ■「心」は発明された  山本  今日は下西風澄さんの新著『生成と消滅の精神史 終わらない心を生きる』(小社刊)をめぐって下西さんに、吉川浩満くんと私の二人でお話を聞きたいと思います。まだお読みになっていない方もいるかと思いますので、はじめにこの本の全体像をお伝えしましょう。本書のテーマは「心」です。ただし、一

【対談】國分功一郎✗ブレイディみかこ    「〈沈みゆく世界〉から立ち上がる」

気候変動、ウクライナ戦争、インフレ……、混迷を深める時代に希望はあるのか? エッセンシャルワーカーのストライキとクリスマスのCM、アナキズムとスピノザなど、哲学者と作家がいま目の前にある光景を観察し、考え、語り合った。 (構成・斎藤哲也) ■看護師までがストを始めた  國分 大変ご無沙汰しております。今日は「文藝春秋100周年オンラ

〈対談〉田中慎弥×阿部公彦       「私小説じゃなきゃダメなんだ」   

西村賢太はなぜ私小説にこだわったのか? なぜその作品に惹き込まれるのか? 親交のあった作家と文芸評論家が作家の謎、作品の魅力を語り合った。 構成●吉田大助 (発売中の文學界7月号、特集「西村賢太 私小説になった男」より、田中慎弥氏と阿部公彦氏による対談「私小説じゃなきゃダメなんだ」の冒頭です) ■世界が変わった 阿部 西村さんが亡くなられたことは、当日(二月五日)の夕方に、スマホのニュースサイトが報じた記事を通して知りました。最初はとにかくびっくりするばかりで、その後も