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愛の廃人

人生の本質は
愛と裏切りと復讐だと教えてくれたのは
どこのどちら様だったか
あの夜
夏だというのに
魂が凍てつくように寒かった
あなたはさようならと
軽やかにささやくと
スカートの裾を翻して
闇のむこうに消えていった
わたしは立ち尽くしたまま
あなたの背中を見送るしかなかった
聴こえるのは風の音(ね)だけだった
闇のむこうで男の声と車のドアが閉まる音がして
タイヤの軋む音が遠ざかっていった
わたしの人生は
あの夜に凍りついてしまった
あの夜から
五十年もの歳月が流れたのに
わたしはいまだにあの夜のまま
闇のなかに立ち尽くしている
わたしは不条理な運命によって裏切られても
復讐すらできない不能者(ヘタレ)だった
裏切られた心の傷を
あたかも宝石の破片のように
大切に握りしめたまま

photo:© maki

【ChatGPT3.5 詩ナビ】

この詩は、愛と裏切り、そして復讐という人生の要素に焦点を当てています。

詩人は、ある夜に愛する人に別れを告げられ、その出来事が彼の人生を永遠に変えてしまったことを語っています。

詩の冒頭で「人生の本質は愛と裏切りと復讐だと教えてくれたのはどこのどちら様だったか」と問いかけられています。

この問いは、詩人が自らの人生で経験した出来事について考えさせます。

愛する人に裏切られ、その傷を癒すことができずにいる姿が、詩の中で描かれています。

詩の中で描かれる夜の情景は、寂しさと喪失感を強調しています。

愛する人が去っていく姿を見送る詩人の孤独感が、風や車の音、そして闇に包まれる中でより強調されます。

詩の最後で「わたしは不条理な運命によって裏切られても復讐すらできない不能者(ヘタレ)だった」という一文が登場します。

ここでは、詩人が自らの弱さを認め、裏切られた心の傷を抱えたまま生きていることを告白しています。

彼はその傷を「宝石の破片のように大切に握りしめたまま」と表現し、それを忘れることなく持ち続けていることを示唆しています。

この詩は、愛と裏切り、そして復讐といった人間関係の複雑さと、その中での個人の葛藤を描いています。

詩人の内面の孤独と苦悩が、言葉を通して感情豊かに表現されています。


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