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寺ヨガ?…いいえ、ヨガ寺

※文化時報2021年12月6日号の掲載記事です。

 お寺を会場に開かれるヨガ教室「寺ヨガ」が普及する中、「ヨガ寺」と呼ばれて親しまれるお寺が、京都にある。浄土宗大本山百萬遍知恩寺の塔頭(たっちゅう)、瑞林院(河合真人住職、京都市左京区)。教室が週3回も開かれ、大本山を巻き込んでイベントを行うほど、ヨガへの熱量が高い。それでも河合住職は「やってほしいと頼まれて、開催することになった」と、どこまでも自然体だ。(大橋学修)

 11月23日、瑞林院と百萬遍知恩寺で開かれた「まんまるマルシェ」。「つながって調和して循環する」をコンセプトに、瑞林院内では、ヨガ教室や心をリラックスさせる音楽の演奏、タイ古式マッサージなどを実施。百萬遍知恩寺の境内では、健康食品販売や足つぼマッサージなどのブースのほか、ヴィーガン=用語解説=料理を提供するキッチンカーも登場した。

 百萬遍知恩寺の阿弥陀堂前に設置した運営本部では、マルシェ開催に合わせた特別御朱印の授与も行った。「○幸笑」と書いて「マルシェ」と読ませる御朱印。ヨガなどで心身ともに健康になった人々の輪が広がり、社会全体が幸せと笑顔であふれるようにとの願いを込めた。

2021-12-02 浄土宗・瑞林院・まんまるマルシェ02

特別御朱印を手にする河合住職

 企画したのは、ヨガインストラクターの瀧本沙弥さんと岩谷早希さん。瀧本さんは「同じエネルギーを持った人が集まり、思いが広がるようなことがしたかった」。岩谷さんは「集まった人たちが、今回を契機に新たに活動してもらえればうれしい」と話し、二人はこう口をそろえた。

 「瑞林院は寺ヨガではなく『ヨガ寺』。ヨガに特化しているから」

主宰者ではなく仲間

 瑞林院がヨガ教室を始めたのは2018(平成30)年。心身の不調を感じていた河合住職がヨガを勧められ、教室に通うようになったことが契機だった。「こんなに良いものなら、皆に体験してほしい」と、お寺で開くことにしたという。

 週3回の教室とは別に、半年前からは一日中ヨガを堪能する日を、月1回のペースで開くようになった。

 その日は料理上手の河合住職が「世界を巡る」と称し、各国のヴィーガン料理を振る舞う。インド、韓国、中国、ベトナム、カンボジアと、月ごとにレシピを調べて、ヴィーガン向けにアレンジしている。

 料理を提供するようになったのは、参加者にねだられたから。河合住職は教室の主宰者や住職というより、ヨガに親しむ仲間として映っているようだ。呼ばれ方も「河合住職」ではなく「マヒトさん」だという。

 半年前から通う大野木由香さんは「知人が楽しそうにヨガ寺の話をするので参加した。ヨガ教室を開くお寺は多くあるけど、住職がヨガ仲間になっているのは瑞林院だけ」と話していた。

 河合住職は「ヨガ教室でも十分交流しているが、参加者たちが個別に相談しに来ることが増えてきた」と話す。ヨガに特化したお寺が、結局はお寺らしい役割を担っている。

【用語解説】ヴィーガン
 肉や魚、乳製品、卵など、動物由来の食材を口にしない完全菜食主義者。動物を搾取することなく生きるべきだとする「ヴィーガニズム」に由来し、動物由来の衣服や装身具を身に着けない人もいる。

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