見出し画像

羅城門を未来へ 東寺で構想発表

 ※文化時報2020年10月24日号の掲載記事です。写真はJR京都駅前に展示されている羅城門の10分の1模型。

 かつて平安京の正門としてあった「羅城門」を復活させようと、文化人らでつくる「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」(松浦晃一郎会長)は20日、京都市南区の真言宗総本山教王護国寺(東寺)で、「よみがえる羅城門」の基本構想を発表した。

 羅城門は、桓武天皇が794(延暦13)年に遷都した平安京の正門として建立。2度の大風で倒壊し、980(天元3)年以降は再建されなかった。芥川龍之介の『羅生門』や同作をモチーフにした黒澤明の映画など、さまざまな作品に描かれたことで知られる。

 「明日の京都」は活動の一環として、2016年からJR京都駅北口に10分の1模型を展示。創設10周年を機に、添塀を含めた幅80㍍、高さ24㍍、奥行き21㍍と推定される原寸大で、木造伝統工法を用いて再建を目指すことにした。再建場所や時期、費用など事業内容については未定で、民間事業者に協力を幅広く呼び掛ける。

 国際日本文化研究センター名誉教授の村井康彦副会長は会見で、羅城門は洛中と洛外の境界線として、外の災いを防ぎ内なる邪気を締め出す象徴的な役割を果たしていたことや、再建することで京都に王朝文化をよみがえらせる意義について解説。「新型コロナウイルスの嵐が吹き荒れる今こそ、人々の祈りの場であった羅城門の再建を呼び掛けたい」と語った。

 会見場の東寺は、羅城門と同時代に建立された。その楼上にあった「兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)立像」を、2度目の倒壊後に引き受けて安置。同像は国宝に指定され、東寺宝物館で毎年春と秋に公開されている。

 会見に同席した東寺の砂原秀輝執事長は「平安京で現存する唯一の遺構である東寺に並ぶシンボルとして、羅城門の復活に期待したい」と述べた。

 会見は東京の日本記者クラブでも同時開催。呼び掛け人には、茶道裏千家の千玄室前家元や臨済宗相国寺派の有馬賴底管長も含まれている。

羅城門会見

羅城門の再建を呼び掛ける「明日の京都」のメンバーと砂原執事長(左)
 私たちは宗教専門紙「文化時報」を週2回発行しています。皆さまの「スキ」と「フォロー」をお待ちしております。
 お問い合わせ・ご購読のお申し込みは、文化時報ホームページまで。http://bunkajiho.co.jp/contact.html

サポートをいただければ、より充実した新聞記事をお届けできます。よろしくお願いいたします<m(__)m>