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【シアターホームステイレポート】犀の角in上田市海野町商店街

小劇場を軸に、若手演劇人を各地にホームステイさせるという「シアターホームステイ」企画に推薦いただき、11月3日〜6日まで参加してきました!

私のホームステイ先は

「犀の角」

上田市の海野町商店街に位置する「ゲストハウス×劇場」です。
とにかく素晴らしいまち。
というわけでレポートします!




上田市について


センスの多い店が多い

面影BOOK&CRAFT
本と茶「NABO」by VALUEBOOKS
VALUE BOOKS Lab.
コトバヤ

古本屋やセレクトショップ、古着屋など、ハイセンスなお店が多く存在する上田市。それぞれのお店が点と点になり、線になって回遊コースになっているように感じました。

各店舗コンセプトもかなり一貫しており、それに共感した客が利用しているのように思います。
なぜここまでハイセンスな店が集まっているのか、謎は深まるばかり。
おそらく VALUEBOOKS のオープンが最初の鍵であったのではないかということしかわかりませんでした…。

癖強めな老舗喫茶店

珈苑アド
甲州屋
珈琲木の実

まち会社で培われた嗅覚を頼りに、喫茶店を巡りました。
まず甲州屋に辿り着くことに成功。純喫茶最高。

甲州屋を拠点に、まちのおすすめのお店を聞いていきます。
純喫茶でしか知り得ない、まちの情報がきっとあったと思います。
ローカルな案内所。

ネットで調べると全然なかったモーニングにありつけたり、50-60年コーヒーを180円で提供している癖つよな喫茶店など、とにかく香ばしい。

またいきたいです。


めちゃくちゃ飲める上田市

海野町商店街のすぐ近くには飲屋街である袋井町があります。
今時のお店も並ぶ中、かなり渋い店も。

私が言ったのは、ゲテモノが食べられる「くろい蝶」。

蜂の子、蚕、コオロギ
スズメバチの酒漬け

お店のご夫婦はかなりご高齢で、2〜3年以内にはお店を閉めてしまうんだとか。もう一度行かなければ。

かなり密集しており、飲み屋には困らないまちです。(最高)
ちなみにこの度、総じて飲みすぎました。

社会包摂の場として

リベルテのアトリエ
上田映劇

この滞在期間、「リベルテ」「上田映劇」にも訪れました。

リベルテは、精神障害のある人が集い、アート活動をおこなう福祉施設であり、上田映劇は映画館です。

犀の角とも多く連携事業を行っているこの両者に共通していたのが

「地域と繋がる」

ということだったように感じます。
閉じこもるのではなく、まずまちに出てみよう。という姿勢があったように思います。

海野町商店街について


商店街の今

いく先々で、「課題とかってあったりするんですかね」と聞くと

「課題感を感じてないのが課題だね!」

とどのお店の方もおっしゃいます。それが共有されている商店街、すごい。
ただ、マンションによる再開発が進んでいることを懸念されている方は多い印象でした。
地域に根ざすことのないディベロッパーによる食いつぶしが進んでいるのかも知れません。

高いマンションに住むあの人は、都市部に働きに出て、住んでいるだけで、まちで暮らしているわけではない。

これはどのまちでも起きている話なのかも知れません。

犀の角について

ゲストハウス

私が泊まった部屋

宿は犀の角にあるだけではなく、別館もありました。私が泊まったのは別館。一人暮らしを思い出すような部屋(何ならいい部屋)でした。
どちらも大家さんが同じなんだとか。

小劇場

ブラックボックスの舞台。
この舞台の小上がりは、犀の角になる前に入っていたテナントの工事の関係でできていたもので、そのまま生かしたんだそうです。

特徴として、

ブラックボックスだけどブラックボックスじゃない。
完全に黒塗りじゃないんです。

ここは、劇場でもあり、カフェでもある。
両方の機能を共存させるため、カフェスペースは黒塗りにされていません。

「劇場としては不完全」

荒井さんの言葉が印象的でした。
上田市という土地は、東京や名古屋のように都市部ではありません。また、都市部ほど洗練された劇団やプレイヤーがいたり、客がいるわけではありません。だから、都市部と同じやり方をしたとしても、不利であると言えます。

地方都市だからこその、演劇のやり方がある。

日常と演劇の境界線を緩やかにするための劇場づくりがそこにはありました。

カフェ&バー

併設されているカフェ&バーには、宿泊客だけではなく、周辺住民の方もいらっしゃるのだとか。

演劇のための劇場では実現することが難しい「滞在」を可能にしているのは、このカフェスペースがあってこそだと思います。

私設観光案内所として

犀の角には宿泊のためのアーティストから旅行者、カフェ利用のための近隣住民や商店主が常に入り混じるからこそ、様々な情報が蓄積されていきます。そんな情報が蓄積された犀の角を拠点に、多くの人がまちに訪れる流れになっています。

「ああ、犀の角に泊まっている子なのね!演劇の子?」

いく先々で声をかけられ、驚くばかりです。
きっと荒井さんの並々ならぬコミュニケーションがまず前提としてあり、滞在者が商店街を訪れる流れにより、周辺店舗の理解も厚いのかもしれません。


地域に開かれた場として

犀の角の特徴は、この横に連なる窓であるかと思います。
この額縁のようなフレーム感は、地域と繋がるための窓口として意識されたものでした。

荒井さん曰く、
「開きすぎず、閉じすぎず」を大事にされたんだそうです。


窓が開いている=常にまちの景色と繋がっている
→演劇が始まっていても、まちの日常は続いていく
(※カーテンで閉めることも可能)

演劇の風景としてまちの姿が映り込むのは面白いです。

祭りを楽しむ荒井一家。

実際私の旅はどんな感じだったかと言うと


この度で何か脚本を仕上げたというわけではないけれど、

まちの中で演劇があるということとは、舞台が続いていくということはについて強く考えさせられた旅でした。

本当にありがとうございました!

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